2024/11/23

リベンジ山行

プーチンが(ウクライナの発表によると)ICBM(後にロシアは中距離弾道ミサイルと発表)を使って空爆を行った。
今回は通常弾頭だったらしいが、核弾頭を搭載すれば、いよいよ核戦争になってしまう。

なんということだ。

明日にも人類が滅びるかもしれないので、晴れたら山に向かおう、と思った。

昨日(11月22日)、多少の雲はあったが、概ね晴れていたので、とりあえず桃沢川沿いに登って、つるべ落としの滝の手前あたりで昼飯食って帰ってこようと、家事を済ませてから出かけた。

10時45分、水神社駐車場で登山靴(トレッキングシューズ)を履き、ショートスパッツを装着。
これで靴の中に入ってくる土くれや小石や小枝に悩まされることもないぞ、と気分良く歩き始めたら、林道のゲートに「通行禁止」の札が掛けられていた。

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つるべ落としの滝あたりで通行禁止になっている可能性は考えていたが、登山口からかぁ〜。

ちょっと考えて、長泉森林公園に移動することにした。
池の平から位牌岳に至る稜線歩きにルート変更することにしたのだ。
曇って寒かった先週の山行のリベンジである。

ちなみに、スパッツまで着けてしまったトレッキングシューズを脱ぐのが面倒だったので、そのまま運転したが、まったく問題なかった。
さすがスズキの車である。
長時間の運転となると、足首に負荷がかかるので難しいだろうが。

11時10分、長泉町森林公園駐車場着。
11時50分、池の平展望公園着。

積雲の底が近くて、愛鷹山や位牌岳の山頂に引っかかりそうである。

雲の影が駿河湾に落ちていて、平たく小さな島が連なっているように見えた。

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池の平から位牌岳に至る稜線の道を歩く。
何度も雲が頭上をよぎり、雲間からの陽光で対面(トイメン)の斜面の紅葉が輝く。

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先週昼食を摂った地点を通過する。
ときおり吹く風が冷たかったからだ。

13時10分、標高1120mの地点で昼食とする。
景色も日当たりもよく、風も弱ってきたので、このあたりで良かろうと考えた。

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ひょっとするとここは、2022年11月に昼飯を食ったところと同じ場所かもしれない。

駿河湾と愛鷹山、位牌岳(の手前の山?)を眺めながら、湯を沸かし、カップヌードルを食べた。

位牌岳方面の斜面のどこからか、シカの鳴き声が聞こえた。
オスがメスを呼ぶ、ラブコールである。

ほんのちょっと、山頂だけだが、富士山も見えた。

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位牌岳から裾野市方面へ伸びる尾根の木々も色づいていた。

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昼食後、同じ尾根を引き返す。

標高1032mのピークと1250mのピーク(位牌岳のすぐ手前)の間は痩せ尾根だ。
尾根上の道は細くて、細かな上下を繰り返す。
道の両側は切れ落ちた急斜面なのだが、木が生えているので全く怖くない。

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そんな稜線歩きを楽しみながら、紅葉と黄葉の写真を撮った。

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逆光だから露出が難しいかなぁと思ったが、だいたいカメラ任せ(絞り優先オート)か、プラスマイナス0.3evの露出補正でなんとかなった。

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遠景の伊豆半島をくっきり表現するには、-0.7evの露出補正が必要だった。

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標高1000mくらいでは、ブナの黄葉は終わり、登山道や林床は褐色のブナの落ち葉で覆われていた。

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苔の上の紅葉。

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じつはこの苔は、稜線に露出した岩の上に生えたものだ。
この岩は、溶岩だろうか、溶結凝灰岩だろうか。

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紅葉・黄葉の鮮やかさを強調するときは、明るめに補正(+0.3ev)すると良いようだ。

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馬の背状の稜線。
シカの食圧によるものか、ササは枯れている。

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カエデの黄葉と、葉の残るブナ。
ブナの幹にはキノコがたくさん生えている。
ツキヨタケだろう、たぶん。

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標高900mのブナの下限と思われるあたりでは、まだ黄葉が残っていた。

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池の平の手前で広葉樹林は終わる。

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14時40分、池の平展望公園着。
池の平から先はヒノキの植林の中を下る。

15時15分、長泉町森林公園駐車場着。
帰路、ガソリンスタンドに寄ってから家に帰った。

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2024/11/13

黄葉と紅葉を見に行って、寒さに震えた

昨日(11月12日)、「今日しかないなぁ」と思って愛鷹山へ紅葉と黄葉を見に出かけた。
今週の晴れ間は12日(火)と13日(水)しかない予報で、13日は車検その他の用事が入っていたからだ。
来週は、いまフィリピン付近にある四つの台風の影響があるそうだし……。

ということで、曇ってはいたが、池の平から位牌岳方面へ稜線を歩くことにした。
位牌岳まで行くつもりはなく、途中の景色の良いところで昼食とって帰ってこよう、という計画である。

10時45分に長泉町森林公園の駐車場から歩き始めたら、いきなり通行禁止の札が。

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どうやら沢沿いに登って、つるべ落としの滝から位牌岳に登るルートに崩落箇所があるらしい。
今回は、尾根沿いのルートなので問題ないだろうと判断して登る。
ちなみに、駐車場にはすでに7台ほどの車があったが、皆さんどこへ行ったのだろう。

ヒノキの植林の中、丸太や擬木で土留した階段を上がって、11時5分に展望台着。
低く垂れ込めた雲の下から、駿河湾と伊豆半島が見えた。

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左端に東伊豆の大室山、右のほうに西伊豆の大瀬崎や戸田のあたりが見えるので、伊豆半島全体が視界に入っていることになる。

11時20分、池の平到着。
若い男性の登山者2名と行き会った。

曇っていて愛鷹山方面の展望が悪い。
先月登った馬場平と愛鷹山の間の鞍部あたりが、ちょうど雲の底にあたるようだ。
雲の底の高さは標高1100mくらいだということになる。

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池の平から位牌岳方面へ。
細い尾根道を行く。

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この岩は溶岩なのか?
火砕流が固まったものなのか?

途中、土砂崩れの跡があった。

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表土が崩れ落ち、下のほうに火山岩と土、立木が沢を埋めているように見える。
むき出しになっているのは赤土、つまり火山灰が降り積もったものだが、この火山灰はどの火山のものだろう。
富士山か、愛鷹山か、それとも遠方の大規模噴火か……。

紅葉はまだ最盛期とはいえず、カエデも緑色のままのものが多い。
そのなかで、ときおり真っ赤に紅葉している株もちらほら。

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大汗かいてヒーヒー言いながら登っていたら、下山してくる登山者(複数)に道を譲られた。
中高年の男女4人。
位牌岳はガス(霧雲)の中だったそうだ。

正午のチャイムが遠く響いてくる。
沼津市と長泉町のチャイムが混ざって妙な響きになっている。

腹が減ってきたので、登山道の脇のどこかで湯を沸かしてカップラーメンを食べようと考えたころ、風が出てきた。
南西から北東へ、木々の梢をビュービューと鳴らして風が行き過ぎる。

さっきまで長袖Tシャツ1枚で汗をかいていたのだが、冷えるのでフリースのジャケットを羽織る。
痩せ尾根が続いていて、なかなか座り込んで湯を沸かすスペースが見当たらない。
もう少し先に行けばあるかな?と歩き続けて、標高1060mくらいのところまで登った。

尾根の風上側ではあるが、少しくぼんでいて風が弱まりそうな平坦な場所が、登山道の脇にあった。
たぶんシカの踊り場だったのだろうが(ダニがいた)、ブナの落ち葉が降り積もって、うまいクッションになっている。

ここで昼食にすることにした。
時刻は12時半。
風が直接吹き付けたりしないが、冷たい。寒い。
ということで雨具のジャケットを引っ張り出して羽織る。
ゴアテックスの雨具なので蒸れないから、ウインドブレーカー代わりになる。

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落ち葉の上に手製のストーブ台(アルミホイルを巻いた木の板)を置き、湯を沸かす。
湯が湧くのを待ちながら、ペンシルカルパスを食べる。
湯が湧いたらチリトマトヌードルに注ぎ、3分待つ間にチーズかまぼこを食べる。

ガス(霧雲)になりかけの湿った風が吹き抜けるので落ち着かなかったが、温かいものを食べるとホッとする。
外界の沼津市あたりには陽が射しているようで、光る駿河湾が見えた。

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位牌岳のほうは……と見ると、雲の中のようだ。

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この先へ進んで、雲の中に入るのも嫌だなぁ……。

そこで、ストーブなどを片付けて、13時過ぎに引き返すことにした。

空が青くなく、日差しもないとなると、ブナの黄葉も冴えない。

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13時50分、池の平まで戻ったら、晴れてきた。

愛鷹山の山頂は見えるが、馬場平や袴腰岳に雲の底がかかっているので、雲は上がっていくのではなく、流れて消えているのだろうか。

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昼飯食ったあたりの稜線にも陽の光が当たっているようだ。

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でもまぁ、寒かったから、晴れるのを待っていられなかったし、見ていると雲は流れていくものの、完全に消えるわけではない。
また新たに雲が生まれて稜線にかかったりしているので、引き返すのは妥当な判断だったと思う。

けっこう膝もガクガクしてきたので、登山ルートやペース配分を決めるとき、年齢というパラメータも考慮しなくちゃならないなぁ、と改めて感じた。

池の平から、相模湾を眺めながら防火帯を下る。
5年前の今日(2019年11月12日)、こんと最後に池の平を訪れたときのことを思い出す。

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14時40分、森林公園駐車場に到着。
森林公園内の赤土が、登山靴の裏、ビブラムソールの溝にいっぱい詰まっていたので、それを木の枝でこそげ落としてから、帰路についた。

途中、麓の栗林でニホンザルの群れに遭遇。

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アカンボを連れた母ザルもいた。

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車の窓から、コドモの動画を撮った。

このあたりの畑では、電気牧柵を設置するなどサルなどの害に対応している。
だからサルを見て喜んで写真など撮っていていいのかなぁ、と少々申し訳ない気もしたのだった。

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2024/11/10

秋の夕暮れ

秋は、夏から冬への傾斜、というか斜面の途中、というイメージを持っている。
おそらく地球温暖化の進行により、その傾斜は急斜面になっていくのだろう。

……なんてことを考えながら、扇風機を仕舞い、竹のカーペットをホットカーペットに替え、夏用の布団を冬用の布団に替え、居間の腰窓にポリカーボネートの内窓をセットするなど、防寒対策を進行中の昨今。

それなのに、まだ幼虫の姿で大丈夫か? と心配になった庭のルー(ヘンルウダ)のナミアゲハ。
立冬を過ぎてるよ?!

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一昨日・昨日、晴れていたので夕暮れ時の散歩の際、門池公園で写真を撮った。

このカキは渋柿だ、多分。

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茶(チャノキ)の花。
小さくて白い椿のような花。

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サクラの枝越しの上弦の月。
このサクラの枝に引っ掛かったはずの紙飛行機は、どこへ行ってしまったのだろう。

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130年の観測史上最も遅い初冠雪が観測されたはずの富士山。
その手前の愛鷹山の稜線部はそろそろブナの黄葉が見頃のはず。
弁天島の石垣の上にちょこんととまっているのは……。

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カワセミ。
この個体は、下嘴が赤いのでメス。

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なんだかジュリア集合(フラクタル図形)みたいだなぁ、と思った雲。

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ジャージャーと警戒の声を上げるシジュウカラ。
彼が警戒しているのは、儂です。

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カルガモ、オオバン、コサギ、チュウサギという珍しい集合写真。
なぜかこのコサギとチュウサギは仲が良くて、よく一緒にいるのを見かける。

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日没直前の門池。

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-0.3ev くらいの補正をかけると、肉眼で見た感じの印象に近くなる。
こういう補正を、ファインダーを覗きながらダイヤルを回すだけでできることは、スマートフォンに対するデジタルカメラの優位性の一つだと思う。

 

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2024/11/02

マクロレンズで秋の庭の花を撮る

急な解散総選挙があったり、女川原発が再起動したり、ガザでは空爆が続いたり、ロシアが北朝鮮軍兵士をウクライナに派兵したりと、なんだか世の中ガチャガチャで溜め息しか出ないが、ようやく季節は秋に傾いたらしい。

カメラに60mmマクロレンズを装着して庭に出る。

芝生に生えたコミカンソウが小さな果実をつけていた。

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果実をクローズアップすると、小さなミカンのような形だ。

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駐車場のコンクリートの隙間からヒメツルソバ(ポリゴナム)が茎と葉を広げ、ポンポンのような花を咲かせていた。
たくさんの花の集合体で、ピンク色なのは蕾と咲いている花、受粉して果実が成長中の花は白っぽい。

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花をクローズアップすると、5弁の離弁花であることがわかる。

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次の写真はオニタビラコ。
こちらも5弁だが、合弁花なので先端が五つに分かれた1枚の花びらに見える。

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マクロレンズは拙者の際にその能力を発揮するが、スナップ写真にも向いているそうだ。
公園にオオバンとコガモが渡ってきたので、マクロレンズで撮ってみた。

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手前右寄りの4羽がオオバン、右奥の足が短いのがコガモ。
フォーサーズシステムの60mmマクロは、35mm(フィルムカメラ)換算で120mmの中望遠になる。
野鳥を単独のクローズアップではなく、生態写真や風景写真として撮るとき、マクロレンズを使うという選択肢もあるかも。

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2024/10/25

狂い咲きの河津桜

昨日夕方、門池公園を散歩していたら、河津桜(カワヅザクラ)が数輪咲いていた。

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本来は1月末から2月に咲く花なので、いったい何を間違えたのか。
先週あたり、少々寒い日があったものの、今週はまた夏日が連続している。
こういう気温の乱高下で開花のスイッチが入ってしまったのだろうか。

春に咲く花は、夏の終わりには翌年の蕾を準備している。
だから、こんなふうに「季節外れ」の時期に咲くこともある。

これを「狂い咲き」とか「異常」と考えてよいのだろうか。
こういう「異端」な生き方を含む「多様性」を持つ生物こそが、気候変動を生き延びることができるのではなかろうか。

するとこれは「異常」なのではなく、「季節外れ」の気候に対する「正常」な適応の一種なのかもしれないなぁ、と思った。

……などと考えながら池にかかる木橋を渡っているとき、鋭いチチチッという鳥の声が聞こえた。
散歩中にときおり耳にする声だなぁ、何だっけ?
そうだ、カワセミだ!

ということで声のした方向をよく見たら、ボート練習用の桟橋に、2羽のカワセミがいた。

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どうやらカップルのようで、奥がメス、手前がオスである。
メスは下の嘴が赤く、オスは黒いので区別ができる。

ちなみにオスのカワセミが翡、メスのカワセミが翠で、合わせてカワセミ(翡翠)である。

オスが飛び立ち、鳴きながら水面近くを滑るように飛んでいくと、メスが慌てて後を追う。

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水面から突き出した杭にとまったり、水辺のシマサルスベリの枝へ飛んでスズメを追い払ったり、と忙しなく移動していた。

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2024/10/23

愛鷹連峰袴腰岳・馬場平稜線散策……のつもりが……

愛鷹連峰を南側の麓から眺めると、最高峰の越前岳(1504.2m)は見えず、愛鷹山(1187.5m)から位牌岳(1457.5m)に至る稜線が目立つ。

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愛鷹山と位牌岳、その間の袴腰岳(1248m)には登っているが、愛鷹山と袴腰岳の間の稜線は歩いたことがなかった。
この稜線には馬場平(1203m)があり、昨年愛鷹山から眺めたときにはブナとヒメシャラの巨木がたくさんあって面白そうなところだと思った。
次の図は地理院地図を利用して作成したもの。

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昨日(10月22日)、どうやらこの日が最後の晴天であり、その後雨が続きそうな気配だったので、馬場平を目指してみることにした。

ルートは水神社から愛鷹山登山口まで地図にない登山道を歩き、一服峠(約1300m)まで登って稜線に到達、そこから南下して袴腰岳、馬場平を経て愛鷹山北側の鞍部に至る。
そこから登山口(林道の柳沢橋)へ下り、水神社に戻る。
推定コースタイム6時間15分。

結構長丁場になるので、風呂掃除はカミさんに託して9時前に出発。
9時20分水神社駐車場着。
9時25分発。

これまで一服峠や愛鷹山に登るときには、登山口まで林道を1時間歩いたが、今回は地図にない登山道を登った。
地図にないといっても、整備された道なので危険なことはない。

10時15分、登山口着。
ハシゴを登り、一服峠へ至る尾根に取り付く。

ススキが茂り赤土がむき出しになった崩壊地から箱根を眺めたり、崩れやすい細い道にヒヤヒヤしながら登る。

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ヒノキの植林地を抜ける頃から腹が鳴り始める。
おまけに足がなかなか上がらなくなる。

体力よりも先に足に来たか!
このあたりが高齢者登山(もはや中高年登山ではない)の怖いところだ。
ヒーヒー言いながらも歩けることは歩けるものの、足が上がらない。

トレッキングポール代わりのモノポッド(一脚)にすがって登り続けたが、一服峠の手前のブナ林で昼食休憩をとることにした。
もともと気持ちの良いブナ林で昼飯にしようと思っていて、一服峠から袴腰岳の稜線東側あたりかなぁと考えていた。
ちょっと手前になってしまったが、まぁ良しとしよう。

12時10分、ブナの疎林の緩やかな斜面にザックを下ろし、座布団用のパッドを敷き、ガスストーブ(コンロ)を設置する。

例によって湯を沸かしてカップラーメン(シーフードヌードル)を食べた。
湯を沸かす間、湯を注いで3分間待つ間にチーかまとペンシルカルパスを食べた。

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湯を沸かす間、食べている間、聞こえる音は鳥の声と風の音、葉のそよぐ音だけ。
見上げれば、やや色づいた枝葉が空をゆるく覆っている。

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こうやって林の中でゆっくり食事することも、今回の山歩きの大きな目的の一つである。

40分ほど休んだ後、登りを再開し、13時に一服峠着。
ここから稜線を南下する。
稜線にはツツジやアセビなどの低木が茂っているが、ブナやヒメシャラの大木も見かける。
ヒメシャラは幹の表皮が赤っぽくてツルツルなので目立つ。

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この稜線からは鋸岳(次の写真の手前の岩峰)や越前岳の眺めが良い。
雲がなければ富士山もよく見えるのだが、この日は五合目くらいから下しか見えなかった。

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13時25分、袴腰岳を通過。
富士市街や相模湾が見えるようになる。
駿河湾越しに三保の松原が(松原というより砂嘴が)見える。

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上の写真、田子の浦港近くの田んぼのあたりをズームアップすると、トンボが飛んでいるのがわかる。
たぶんアキアカネで、このあたりから馬場平を過ぎるあたりまで、たくさん飛んでいた。

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馬場平の手前で、一度赤土の斜面を下る。
このあたりの稜線は、門池公園を散歩中にギリギリ見えるところだ(愛鷹山から東に伸びる尾根に遮られて、馬場平は見えない)。
そこで、ここから門池公園が見えるはず……と思って探したら、見えた。
次の写真の中央が門池、右下にはグルメ街道、右上には国道1号バイパス。

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14時、馬場平着。
山頂付近は広い平坦地で、ブナやヒメシャラの巨木が目立つ林となっている。
林床にはブナの果実もたくさん落ちていた。

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平坦で歩きやすいのでモノポッドを突くこともなく(両手に持って横に構えたりしながら)のんびり歩く。
鼻歌や変な笑い(ヘヘッ)が出てきそうなくらいである(出ていたかもしれない)。

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林を抜けると湿った草原状の植生になり、シカの痕跡がやたらと多い。
集団で駆け抜けたらしい足跡や、大量のフンやヌタ場もあった(次の写真はブナ林を振り返って見たところ)。

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ブナの巨木が枯れて林に明るいところができ、シカが増えて草原状態を維持しているのだろうか。
アセビ(上の写真の右側の丸っこい茂み)やマユミ、ミヤマシキミ(次の写真)といった有毒植物が多く見られるのも、シカが忌避するからで、シカがこの景観を作っていることの証拠といえそうだ。

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マユミが亜高木(やや大きな木)になっていることには少々驚いた。

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ミヤマシキミにしろマユミにしろ、赤くて綺麗な果実をつけるが、有毒である。
この場合の赤は警告色で、サクランボやイチゴの誘引色とは異なる。
「この色ならば食べられる」というような単純な線引きはできないのだ。

今回の山歩きでは、キノコもたくさん見かけたが、食べようとは思わなかった。
キノコこそ、有毒か食用可の見分けが難しい。
今回、他の登山者とは行き会わなかったが、新しい登山靴の足跡は見かけた(その足跡の上にシカの蹄の跡が載っていたが)。
登山道の脇にツキヨタケが落ちていて、おそらく登山者がシイタケやヒラタケかと思って採ったものの、結局捨てたものだと思う。
それを何箇所かで見かけたので、なんとなく笑ってしまった。
というか笑い事でないと困る。持って帰って食ったりしていないだろうね……。

馬場平からシカ臭い赤土とササの斜面を下りて、愛鷹山北側の鞍部に到着(14時40分)。
次の写真は振り返って馬場平の方を見たところ。

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鞍部は草原状で、ここはおそらくシカの楽園なのだろう。
昼間なのでシカの姿は見なかったが、ブナ林の中では気配を感じた。
動物の気配、というか小枝を踏んで歩く音がしたのだ(ザックに熊鈴をつけて鳴らして歩いているので、ケモノはみんな避けていく)。

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体力に余裕があれば愛鷹山(上の写真)の山頂まで往復しようかと考えていたのだが、体力ではなく脚力がヤバい。
この場合のヤバいは本来の意味、つまりよろしくない事態である。
時間もかかることから(往復想定40分程度)、愛鷹山登頂は諦めて、ここから下山することにする。
秋の陽のつるべ落とし、早くも日差しが傾いてきた。

林道柳沢橋までの道は、昨年往復したときよりも荒れていた。
赤土が露出して滑りやすくなっているところや、沢筋の板状節理が崩れてルートがわかりにくくなっているところがあった。

安山岩の板状節理はマグマが地上近くで固まったものだから、愛鷹連峰が火山であることを示す。
赤土も元は火山灰だから火山活動の結果だが、これは愛鷹山(火口は位牌岳西側)に由来するのか、他の火山に由来するのか?
沢筋では赤土が流れ落ちて板状節理が見えるので、赤土のほうが年代が新しいと考えてよいのか?

それにしても下り道では、赤土やら溶結凝灰岩(火砕流が冷え固まったもの)が風化してできたかけらやらが登山靴に入り込むのが厄介だ。
適度な防寒耐風性があるモンベルのジャージパンツを履いていたので、裾をミドルカットの登山靴の履き口を覆うように心がけていたのだが、それでも土くれや小石、落ち葉や小枝が入り込む。
ショートスパッツを買ったほうが良いのかもしれない。

なんてことを考えながら、16時に林道柳沢橋着。
ここから林道をたらたら歩くと1時間かかり、文字通り日が暮れてしまう。
愛鷹山登山口はすぐ東側なので、そこから水神社目指して、来た道を下る。

ヒノキの成林の中を行く道は、早くも薄暗く、木の根につまづいたり、重なった板状節理で滑ったりする。
これだから山を歩くときには、ミドルカットの登山靴が欠かせない。
ローカットだったら足首を捻挫してしまうだろう。

トレッキングポール代わりのモノポッドの力(というか自分の腕力)を借りて転倒を防ぎつつ、16時35分、水神社駐車場着。
そういえば今回の山歩きでは、モノポッドは転倒防止や登降の補助に使っただけで、カメラ撮影には使わずじまいだった……。

……ということで、休憩時間を含めて7時間超、歩いている時間だけで(推定)6時間超の山歩きは、脚力に不安を感じて「散策」どころではないという結果となった。
いやまぁ、袴腰岳から馬場平までの稜線や、馬場平のブナ林あたりは「散策」の気分だったのだが、そこまでの登りのアプローチと下りがしんどい。
急な登り下りでは脚力の限界を感じるし、膝も傷める。

こういうハードな山歩きは年齢的にも難しくなってきたのだろうか。
歩行時間3時間くらいの気軽な山歩きや、標高差の小さい平坦なルートを選んで歩くようにしたほうが良いのかもなぁ。

とはいえ、山歩きを辞める気はまったくないので、近隣で面白そうな、そして楽そうなルートを探そうと思うのだ。

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2024/10/14

夏の終わり=緑のカーテン撤去

ようやく少し涼しくなったので、ダイニングの窓の外の緑のカーテンを撤去。
緑のカーテンと言っても、毎年勝手に生えてくるリュウキュウアサガオを誘導して、ベランダから4本吊るした園芸用の細引きにつるを絡めるようにしただけのものだ。
そのリュウキュウアサガオのつるを剪定ばさみで切り、細引きとペグを回収して、撤去完了。

今年は庭先に出没するカメムシが多かったが、リュウキュウアサガオにつくカメムシは例年よりも少なかった。

ちなみに、リュウキュウアサガオにつくカメムシはホオズキカメムシで、庭のカツラにつくのはチャバネアオカメムシである。
チャバネアオカメムシもよく見ると可愛い顔をしている(個人の感想です)。

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そのカメムシも庭の木々では見かけることもなくなり、夏の終わりを実感するが、油断できない。
網戸の隙間や洗濯物や干した布団にくっついていることがあるからだ。
カメムシは成虫で越冬するので、冬越しに適した場所を求めてアチコチに潜り込むのだ。

とはいえ、庭では元気に飛び回っている虫もいる。
とりわけウラナミシジミは数匹が乱舞して、イヌタデやらローズマリーやらツユクサ(の名残)やらにとまったり、卍飛行をしたりしている。

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新しく買ったマクロレンズの被写界深度をまだ把握できていなくて、狙ったところにピントが合っていなかったりする。
OM-5 には深度合成とかの高度な機能もあるようだが、まだ使いこなせていない。

使いこなせる日は来るのだろうか?

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2024/09/27

9月最後の山歩き

昨日(2024年9月26日木曜日)、水神社からつるべ落としの滝の手前まで登り、昼飯を食って帰ってきた。
9月に入っても異常な暑さの日が続き、迷走台風が来るなど天候が不純だったので、なかなか山歩きができなかった。
日本列島の南岸にまた熱帯低気圧が近づき、台風となって週末に大雨を降らせそうだという予報である。

ということで、9月最後の晴れの日に山に出かけることにした。

例によって部屋と風呂の掃除をしてから10時前に家を出て、10時20分ごろ水神社の駐車場着。

駐めた車の後部が斜面に接触していないかを確認しようと背後に回ったら、ツルニンジンが咲いていた。

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同じ斜面にアザミが咲いていて、スジグロシロチョウが吸蜜していた。

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林道を歩いていると、カラ混群に遭遇。
最初にヤマガラとサンコウチョウに気付いた(写真はない)。
しばらく見ていたら、群れの中にソウシチョウを発見。

特定外来生物が在来種と混群を作っていることに驚いた。

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前回(9月5日)に歩いたときは雨の後だったので、ふだん水のない沢に流れや溜まりができていた。
今回は、いつも通りの水の枯れた沢が多い。

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ちなみに、上の写真と同じ場所は、前回は次のような具合だった(「コクワガタの川流れ」の動画と同一のもの)。

千畳岩あたりの湿った山道を歩いていると、ヤマアカガエルがピョンピョンと跳んで道を横切っていった。

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上の写真でヤマアカガエルの左に見える緑色の落ち葉はヒノキで、若い果実も落ちているのがわかる。
ヒノキの若い果実はカメムシの大好物だそうだ。
林道にはヒノキの果実と一緒にチャバネアオカメムシの死骸も落ちていたし、ブーンと飛んできてズボンにとまった虫を見たら、チャバネアオカメムシだったりした。
ウチの庭のカツラに大勢で取り付いて樹液を吸っている奴らは、こういう山の中で大量発生しているのだろうか。

千畳岩にも流れはなく、周囲の登山道も湿ってはいるものの靴が泥まみれになるほどではない。

シカのヌタ場も乾いていた。

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貧血気味だとして投与されている鉄剤の影響で体調が万全ではないこともあり、今回はつるべ落としの滝まで行かず、途中の様子の良い涸れ沢で昼食にした。

ちょうど良い高さで上面が平坦な岩があったので、ここを食卓(?)とすることにした。

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ちなみに、岩に立てかけたモノポッド(一脚)の下の地面に見える足跡は、シカのものである。
このあたりはシカの渡河点らしい。

岩の上にガスストーブをセットして、湯を沸かす。
ストーブの下に敷いているのはアルミホイルで包んだ木切れ(素麺の箱の一部)で、平面を保つのと、岩の上の苔(地衣?)へのダメージ軽減を意図しているが、効果があるのかどうかは不明。

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チリトマトヌードルに熱湯を注いだら、3分待つ間にチーズかまぼことカルパスを食べる。

眼の前の景色は、水音のない静かな沢で、ときおり遠くでシジュウカラやエナガの声がする。
ちなみにここは、前回食事を摂った地点から20メートルほど下流で、前回は流れのほとりだったはずだ。

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用足しついでに、荷物をその場に置いたまま左岸(下流に向かって左側)の斜面を登ってみた。
30メートルほど離れたところを、シカが一頭逃げていった。
声(警戒音)を立てることもなく、ゆっくり斜面を登る姿は明るい茶色の夏毛で、ほどなく低木の間に消えたため、オスかメスかもわからず、写真も撮れなかった。

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シカの去った斜面の林をぼーっと眺めるうち(こういう瞬間が大好きなのだ)、自分が獣たちの領域に入っていることに、はたと気づいた。

このあたりの林には、シカだけではなくクマもいるはずだ。
山道を歩いているときには、ザックに吊るした熊鈴とシェラカップを、チリンチリン、カランカランと鳴らしている。

いまこの瞬間は、カメラとモノポッドしか持っていない。

いかん、油断した。
そそくさと斜面を下り、沢へ戻って荷物をまとめた。

もう少しのんびり過ごしたいところではあったが、曇りがちになってきたので、もと来た道を戻る。

沢には大きな倒木が見られる。
根元から倒れた木は、その根の間にいくつも岩を抱えている。
マグマ溜まりに由来する柱状節理や板状節理、溶岩流は硬くて木は根を張ることができないので、岩にしがみつくのだろう。

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板状節理から剥がれ落ちた欠片のガレ場で足を滑らしたり、ミソサザイと接近遭遇したりしながら(近すぎて写真を撮れず)、いくつかの涸れ沢を渡り、斜面をトラバースする。

木の葉が少しづつ色付くなど、秋の先触れも見られた。

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林道へ出て、杖にしていたモノポッドを畳み、ポテポテと歩く。

路傍のアザミではイチモンジセセリが吸蜜していた。

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イチモンジセセリを撮っていたら、ササの枯れた稈(かん)にミヤマアカネがとまった。

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駐車場近くの路傍には、アケボノソウがたくさん咲いていた。
背の丈近い高さの個体もあって、ちょっとびっくりした。

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アケボノソウの花弁はふつう5枚だが、4枚のものがあった。
よく見ると、萼片も4枚、雄蕊(おしべ)も4本である。

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14時過ぎに駐車場に着いた。
4時間ほどの、気楽な山歩きだった。

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2024/09/06

愛鷹山・つるべ落としの滝往復

台風10号は熱帯低気圧となって過ぎ去ったが、各地に突風と大雨の被害をもたらした。
ウチのあたり(静岡県東部)は台風から遠く離れているのに、アウターバンドの雨雲が次々と押し寄せ、かなりの雨が降った。

雨がやんで二日後の昨日(9月5日)、愛鷹山のつるべ落としの滝まで登った。

つるべ落としの滝は、渇水期には消えてしまうことから別名「まぼろしの滝」という。
愛鷹山は火山なので、愛鷹山に降った雨は火山灰や火砕堆積物を抜けて地下へ浸透してしまう。
そのため、豊富な水が流れる沢は、雨の直後しか見ることができない(この話は何回か書いてるな……)。

大雨の二日後の晴天は、絶好の山歩き日和なのである。

被災した方々には申し訳ないが、明日は我が身、楽しめるときには楽しませてもらおう、と思っている。

ということで、部屋と風呂の掃除をしてから支度を整え、9時半に自宅を出発、10時に水神社駐車場着。

林道を歩いて(崩れた箇所をユンボで補修している横を抜け)、つるべ落としの滝登山口に10時45分到着。
スマートフォンで記録代わりの写真を撮っていたら、上空を大きな猛禽類が飛んでいる(次の写真の左上の黒い点)。

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慌てて OM-5 を取り出し、撮影し拡大してみたら、クマタカだった。

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この林道の先、一服峠への登山口に至るあたりでも、クマタカを見かけたことがある。
7月18日に黒岳に登ったときにも、林の上をピィピィ鳴きながら飛ぶ猛禽がいた(クマタカかどうかはわからない)。
愛鷹山には、クマタカのような大型の猛禽はどれくらい棲んでいるのだろう。

山道の荒れ方は思ったよりも酷くなくて、念のため持って行ったノコギリも、1回しか使わなかった。
雨の後には倒木で道を塞がれることも多いのだが、今回は倒木よりも水量が多くて、沢を渡りにくいことが多かった。

ふだんはまるで水のない、あるいはチョロチョロ流れている程度の沢なのに、あちこちに小さな滝ができていた。

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そんな沢の写真や動画を撮ったり、苔や虫を観察したりしていたので、つるべ落としの滝に到着したのは12時15分だった。

滝の水量が多くて水音も大きく、飛び散る水滴はミストのようにあたりにたなびき、寒いほどだった。
うるさいし寒いので、ここで昼食を摂ることはあきらめ、滝壺で顔を洗って下ることにした。

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板状節理の観察ポイントの下あたりで沢に降り、ラーメンを作った。
おそらく一昨日には水底だったところなのだろう、小石と砂利が平らに堆積していてストーブを置きやすかった。

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ラーメンを食べながら眺めていたのは、次の写真のような景色。
この沢にこれだけ水の流れや溜まりができているのは珍しい。

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水溜りに足を浸して冷やしたり、手ぬぐいを洗ったりとのんびり過ごして、ゆっくり下山。

水神社の駐車場に戻ったのは15時20分だった。

次の写真は駐車場近くの林道の脇の、マツカゼソウで吸蜜するスジグロシロチョウ。

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2024/07/31

地球が人類に優しかった時代は終わるのか

連日、熱中症警戒アラートが発報されている。
昨日は夕方になっても気温が33℃を超えていたので、散歩を諦めた。

庭のカツラは相変わらずセミに人気で、アブラゼミとクマゼミが並んで樹液を吸っている。

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居間から3メートルほどのところでセミに鳴かれると、テレビの音声も家人との会話も落ち着いた思考も邪魔される。
そこで、午前中の掃除を終えたとき室温が30℃を超えていたら、エアコンを設定温度28℃で始動する。
昨年秋に掃き出し窓に断熱仕様の内窓を追加したので、セミの鳴き声は囁きほどになり、エアコンの効きも良い。

ほっと一息……。

しかしまぁ、冷房しないと生命に危険が及ぶような高温とは……。

日本の夏はもはや、生命維持装置なしには生存できない環境なのだろうか。

エアコンが壊れたり停電したりすると、人々が死ぬ……って、まるでSFである。
シュワルツェネッガー主演の映画『トータル・リコール』で、火星のスラムの人々が、権力者によって停止された換気装置のプロペラを見つめる絶望的な表情を思い出す。

地球の歴史を考えてみれば、ここ数万年は例外的に気温が安定している時期だった。
人類の活動に伴う二酸化炭素濃度の極端な増加をきっかけに、一気に不安定化していっても不思議はない。

このまま温暖化が暴走して「地球沸騰時代」となるのか、海底深層流の変化や太陽放射の異常などにより、逆に氷河期に突入するのか。

どちらにせよ、人類の生存と、脆弱な文明の維持は困難になるだろう。
……なんてことを、今のところエアコンが順調に作動していることに感謝しつつ考えた。

梅雨明け後は雨が少ないが、それでも庭の草は伸びる。花も咲く。

昨年10月、まだ咲いていると書いた抱葉荒地花笠(ダキバアレチハナガサ:バーベナの一種)が咲き始め、ときおり蝶もやってくる。

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昨年、花が咲いた後どうなるかと見ていたら、芥子粒のように細かい種子をたくさんばら撒いて、地上部は枯れた。
根は冬越しをして、春に出てきた芽から育った株に、いま花が咲いている。

種子は庭のあちこちに散ったようで、芝生からいくつもの小さな株が出てきている。
厄介な害草(狭義の雑草)になりそうなので、今年は種子をばら撒く前に刈ってしまおうと思っている。

さて、次の写真もダキバアレチハナガサだが、食物連鎖の現場を撮ったものである。

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中央の花穂と左の花穂の間に、ハナグモがいる。
このクモは、どうやらアリを食べているようだ。
そのアリは、ダキバアレチハナガサの蕾についているアリマキ(アブラムシ)の世話をして、分泌液をもらっていたのだろう。
アリマキは、もちろん、ダキバアレチハナガサの樹液(木じゃないけど)を吸っている。

ダキバアレチハナガサ→アリマキ→アリ→ハナグモ、という食物連鎖が、小さな花の先で見られたわけだ。
ウチの庭でさらに観察していれば、クモがトカゲに食われるシーンに出くわしたかもしれない。
熱中症警戒アラートが出ているので、じっと観察するのはやめたほうが良いけどね。

(補足)
セミもアリマキも、半翅目というグループの昆虫である。
注射針のようになっている口器を植物に突き刺して、樹液を吸う。
また、翅を畳んだとき、後翅は前翅に覆われるが、その前翅は甲虫類と違って硬くない、という特徴が共通している。

ちなみに、「半翅目」は「カメムシ目」と呼ばれることもあり、当然カメムシも同じグループに入っている。
カメムシも翅を畳んだとき、後翅は前翅に覆われる。
その前翅は、付け根のほうの半分くらいが(甲虫ほどではないが)革のように硬くなっている。
これが「半翅目」の名前の由来らしい。

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