2025/10/25

身近な金属錯体

ノーベル化学賞受賞のニュースを聞いて、MOF(金属有機構造体)って何だっけ?と一瞬戸惑った。
ニュース記事などの解説図を見て、あぁ、金属錯体か、と腑に落ちた。
金属錯体なら、勉強したことがあるので馴染みがある。

ノーベル賞を受賞した MOF の研究により、有機物と金属が規則的に配置されたスポンジ状の構造物を設計し開発することができるそうだ。
MOF は CO2 や PFOS のような厄介な物質の貯蔵や、CO2 をメタノールなどに変換する触媒としての機能が期待されている。

MOF は金属錯体の一種だが、構造が規則的で、目的に合わせて設計できる人工的な物質である。
ざっくり「金属錯体」と言うと、生物由来の様々な物質が含まれる。
たとえば……。

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クロロフィル、つまり植物の葉に含まれる「葉緑素」も、金属錯体だ。
ポルフィリン環という有機化合物の輪っかの中に、金属イオン(マグネシウム)がはまっている。

クロロフィルは、光のエネルギーを利用して、水を酸素と水素に分解するという、光合成の最初の段階で重要な役割を果たしている。
触媒の働きをする金属錯体と言えるだろう。

クロロフィルがなければ、儂らが吸う酸素も、食物にする有機物(糖類や脂質やタンパク質)もできない。
非常に重要な金属錯体なのだ。

もっと身近な金属錯体もあり、誰もが毎日使っている。
というか、使わないと死んでしまう。

その金属錯体は「ヘム」というもので、血中色素のヘモグロビンの中核をなす。
クロロフィルと似た有機化合物の輪っかの中に、マグネシウムではなく鉄を含んでいる。
血の色、血の匂いは、ヘモグロビン中の鉄イオンに由来するのだ。

ヘムは、酸素を取り込み、運搬する金属錯体である。
ヘムに酸素が結合すると、ヘモグロビン分子は鮮やかな赤色、動脈血の色になる。
ヘムから酸素が離れると、ヘモグロビン分子は暗い赤色、静脈血の色になる。

なんだかこのところ急に寒くなり、一昨日の木曜日(10月22日)には富士山の初冠雪を観測した。
昨年より15日早いが、平年よりも21日遅いそうである。
もっとも、ウチから見たところ、六合目付近まで白くなっていたので、例年の初冠雪とは様子が異なる。
例年は、山頂付近がちょこっとだけ白くなり、すぐに雪が溶けてしまうことが多い。

富士山の手前に見える愛鷹山も、稜線のあたりには紅葉の気配がある。
もう少し待てば、ヒメシャラやドウダンツツジやイロハモミジやハゼノキが真っ赤になるだろう。

紅葉の赤色は、ヘムの赤色とはまったく関係がない。
紅葉の赤色は、アントシアン(アントシアニン)という赤紫色の色素によるもので、これは金属錯体ではなく、糖類が変化してできたものだ。
秋になると緑の葉のクロロフィルが分解され、もともと葉に含まれていた黄色や橙色の色素(キサントフィルとかカロチノイドとか)と、アントシアンにより赤くなる。

木々の葉に含まれる金属錯体が分解されるのを待って、山へ行こう(面倒くさい言い方だなぁ)。

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2025/09/02

「四季」ならぬ「二季」になってしまうのか?

9月になったとはいえ、連日最高気温30℃超えのため、昼前から就寝まで、居間では冷房を稼働させている。
夜も風がないと寝苦しいので、寝室でウインドエアコンを稼働させる。
こんな日々なので、停電になったら生きていくことすら難しいのではないかと考えさせられる。

いつまでも夏かと思わせるような日が続き、気付いたら冬になってしまうのかもしれない。
春と秋が消滅しそうだ。

植物は温度よりも日長(昼の長さ・夜の長さ)を季節変化の指標としているものが多い。
そこで、庭の木や草は、少しずつ秋の様相を見せつつある。
コムラサキの果実も色づいてきた。

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こうして植物は、夏のうちから冬に備えて秋を迎えるつもりでいるのだろうが、秋が来なかったら「アレ?」ってことになるのだろうか。

植生に影響を与える「暖かさの指数」や「寒さの指数」がどうなってしまうのか、一度計算してみようかと考えている。
日本の文学が発生して以来の慣れ親しんだ環境、つまり「たおやかな日本の自然」が、大きく変わってしまう可能性はあるだろうか。

北海道でブリが大漁で、東北でイセエビが大漁だそうだ。
米どころでは干ばつ、かと思えば「降れば土砂降り」で、今年の米の出来具合も不透明だ。
環境の変化に伴う、食料や経済への影響は、この先どの程度やってくるのだろうか。

地球温暖化に伴い、気象が極端化して日本は「四季」がなくなり「二季」になってしまう、という気象学者の予想が現実化しつつある。
半世紀くらい前から予想されていた「地球温暖化の世界」が、いよいよやってきたわけだ。

自分の身に降り掛かってくると、こういうことなのかぁ、と実感させられる。
なるほど、「空調装置がないと生きていけない世界」なのだね。

地球が、地球人の生存に不適切な惑星になっていってしまうのかもね。
地球の環境の変化に耐えかねて、地球人が地球から出ていく未来がやってくるのか?
完全にSF的な発想だけど。

それにしても、いつまで汗だくの日々が続くのだろうか。

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2025/07/23

認知バイアスって、雑草みたいに引っこ抜けないもんかなぁ

7月20日の参院選の結果を見て、先日予言した大災害が起きなけりゃいいが、と不安になる日々。

それにしてもまぁ、認知バイアスに踊らされるっていうか、語られる内容を吟味せずに自分に都合の良いように解釈して、(儂から見れば)誤った選択をする人の多いことよ。

なんてことを考え続けると健康に良くないので、庭に出て、勢いづく雑草を抜いたり刈ったりする。
「雑草取り」もじつはあまり健康に良くない。

何しろ暑いので、熱中症と脱水症に注意しなければならない。
それに、「雑草とはなにか」「なぜタイムなどの外来種の群落を保持するために、カタバミなどの在来種を駆除しなければならないのか」などと考え始めると、どえらく疲れるのである。
その結果、この数日昼寝の時間が長くなって、ブログの更新が滞ったりする。

もう一つ副作用があったのだが、それについてはまず、道具の説明から入らなくてはならない。
草取りの際には作業手袋をはめ、手で抜いたり、刈り込み鋏で刈ったり、根掘りで掘ったりするが、メヒシバなどを「引っこ抜く」には、次のような道具を使う。
矢印の先端の部分が二股になっていて、この部分をメヒシバなどの株の根元に突っ込み、テコの原理で引っこ抜くのである。

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メヒシバの根元の部分は、次々と新しい茎が出てきて、株分かれしている(次の写真の丸で囲った部分)。

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イネ科に特徴的な分蘖(ぶんげつ)というものだが、このような形態をとっているために、メヒシバやオヒシバは、芝生においてしばしば厄介な雑草となる(ダジャレっぽいなぁ)。
キク科のヒメジョオンのような雑草は、芝刈りの際に地上部を刈ってしまえば絶える。
イネ科の雑草は、地上スレスレに成長点があり、刈り残しから分蘖するので、なかなか絶えないのである。

そこで、前述の道具を使って株ごと、根こそぎ除去するのだ。

ちなみに、中学校理科などで、植物の根の構造について、「キク科などの双子葉類は主根・側根」「イネ科などの単子葉類はひげ根」と習ったと思う。
このとき、なんとなく、「主根・側根のシステムのほうが、ひげ根よりも優れているのでは」と感じたりしなかったろうか?

じつは儂は中学生のとき、そういう印象を持った。
だがこれは、「きれいな花の咲く双子葉類のほうに馴染みがあり、好感を持っているから」生じた認知バイアスによるものである。
馴染みがあるものに好感を持ち、異質なものには拒否感を持つって、ありがちだよねぇ。
「プーチンさんとは話したことがあるが、ウクライナの大統領は知らない」からロシアの言い分を聞くべきだとか抜かした元首相が居たねぇ。

生物学的には「どちらが優れている」ということはないが、より広範な環境に適応できているのは単子葉類のほうだ。
地球上の陸地の各地で、降水量の少ない、あるいは気温の低い地域には、イネ科植物を主とする草原ができる。

それに、単純に「単子葉類はひげ根」と言い切れないところもある。
実際にメヒシバやスゲやカヤツリグサを引っこ抜いていると、「主根か?」と思うくらい太い根があったり、ランナー(匍匐茎)があったりと、じつにさまざまな地下部を目にする。

何事においても「キャッチフレーズからの印象」を信じ込んだり、「思い込み」で行動してはいけないのである。
認知バイアスと闘おう!

さて、夕方散歩に出ると、ときおり幻日を見る。
現実でも幻覚でもなく、幻日(sun dog)である。

次の写真(19日に撮影)の右側、ドコモの通信塔の向こうに夕陽が輝いている。
その左側、同じ高度のところに、虹のかけらのような幻日が見える。

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幻日は、太陽から22度離れた位置にある雲の粒(氷晶)がプリズムの働きをして、太陽光線を屈折されることによって起こる現象である。
22度という角度は、だいたい、手をいっぱいに伸ばして、広げた親指の先から小指の先までくらいである。
上の写真の反対側(右側)にも出ているかなぁと思ったのだが、あいにくそちらは厚い雲だったので、幻日は見えなかった。

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幻日とか彩雲とか虹とか、太陽光が反射・屈折して生じる大気現象は美しい。
いにしえの人が吉兆と思ったのも頷ける。

しかしもちろん、儂が吉兆現象(?)を見ても、イスラエル軍がガザの空爆を止めるわけではない。
単に儂が、たまたま良い位置にいた(太陽と薄雲と儂の角度が適当だった)ということに過ぎない。

「吉兆を見たから良いことが起こる」あるいは「凶兆を見たから悪いことが起こる」なんてことはない。
因果関係を無制限に拡張して、あり得ない幸いや災いを想像してしまうのも、ヒトの認知バイアスの困ったところである。
悪いこと(良いこと)が起こったからには原因があるはずだ、と考えて、運不運を呪ったりするのは無駄なことだ。

儂は、夕方に薄雲が出ていれば幻日が現れる可能性が高い、という科学的因果関係を知っているから、散歩中、ちょくちょく空を見る。
だから、雲の位置や濃さなどのタイミングさえ合えば「見ることができて当然」なのである。
タイミングというのは偶然であって、運ではない。
運不運なんていう考えも、認知バイアスの産物だろう。

副作用の話を忘れてた……。

この数日、散歩の折に「草取りの後遺症」に悩まされている。
雲や鳥を見るため空を仰いでいるときはよいのだが、虫や花を探して地上に目を落とすといけない。

公園の芝生などに生えたメヒシバやオヒシバの株を見ると、草抜きの道具を持ってきて引っこ抜きたくなるのである。

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2025/07/05

梅雨明けと大災害

昨日(2025年7月4日)、静岡県を含む東海地方が梅雨明けしたと見られる、との発表があった。

異様に短く雨の少ない梅雨だったように思う。
雨が少ない割に、そして晴れ間も見られた割に、気持ちよく散歩のできない日々だった(という話は前回も書いたなぁ)。

そのため散歩中に撮った写真も少ない。
次の写真は6月25日の夕方、雨の後に陽が射したので、出てるかもなぁと思い、東のほうを見たら発見した虹の端っこ。

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箱根山麓の三島スカイウォークや山中城跡があるあたりが、七色に輝いていた。

前回、ハグロトンボの写真を撮った水辺には、ミソハギが咲き始めていた。

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ほかに似た花がない独特の色と咲き方である。
花弁の数も、双子葉類には珍しく6枚である。

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さて、トカラ列島悪石島周辺では地震活動が続いていて、NHKのニュース防災アプリから頻繁に通知が来る。
夜中に寝ているときに頻繁に通知音が鳴り、都度ビックリするわけだが、実際に揺れているの現地の人たちは眠るどころではないだろう。
早く終息してくれることを願う。

今日7月5日も震度3程度の地震が続いている(17時現在)。
7月5日に日本で大災害が起きるという「予言」があって、海外からの渡航客が減っているとかいうニュースを見た。

大災害の予言については高校生のころから「ノストラダムスの大予言」やら何やらで耐性ができているので、もちろん真剣に受け止めたりしない。
大騒ぎする人を見て、「あぁ、バーナム効果で信じたいものを信じているのだなぁ」と思うだけだ。

そんな予言以前に、南海トラフ巨大地震が「30年以内に80%の確率で発生する」という「予測」があるので、多少の備えはできている。
もちろん、この「予測」も、根拠となる記録が正しいものかどうかという議論があったりするわけだが、議論できる(反証可能である)という点において科学的である。
「予言」というやつは、根拠も議論の余地もない(反証可能性がない)から、科学的ではありえない。

ということでひとつ、儂も大災害の「予言」をしておこう。

7月20日の参議院選挙で妙な主張をする候補者や政党に投票してしまう有権者が多いと、日本には「大人災」が起きるであろう。

悪くすると、タモリの予言「新しい戦前」が現実のものとなってしまいそうで、こっちのほうが地震や噴火より怖いかも。

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2025/04/18

愛鷹林道をちょっとばかり歩く

昨日17日(木曜日)、よく晴れて、前日までのような強い風も吹かないようなので、愛鷹山に出かけた。

つるべ落としの滝へ至る道が好きなのだが、昨年11月の大雨により登山道が閉鎖されている。
どうやら水神社の上流側の林道が崩れているようで、復旧工事中らしい。
工事中のところを無理やり通るのは気が引けるので、一服峠登山口方面へ登ることにした。

国土地理院の地図や登山地図には載っていないが、馬頭観音を経由して、沢沿いと尾根沿いの登山道がある。
尾根沿いの道はちょっとわかりにくいところがあるので、中級者以上向けかも知れない。

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沢沿いの道は、ほとんどヒノキの植林の中の道で、ヤマルリソウくらいしか咲いている花がなかった。
時折、沢の音が聞こえてきて、ミソサザイやウグイスのさえずりが響いていた。

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ヤマルリソウはワスレナグサの仲間なので、花序(花の連なり)が螺旋状に巻いている。

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登りきって愛鷹林道に出たところが、一服峠登山口。
過去に何度か、ここから一服峠に登ったことがあるが、今回は林道を南へ歩いてみる。
家を出たのが10時ちょっと前だったし、久々の愛鷹山なので、今日は足慣らしのような感じなのだ。

林道脇にミツマタが並んでいた。

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ミツマタの花を見に、黒岳あたりに行こうかと思っていたが、ちょっと遅いかな、と諦めかけていたところだったから、これは嬉しかった。

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ミツマタのほか、キブシも花の盛りだった。

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山歩きを始めたころ、誤って「キフジ」と覚えていた仲間がいた。
そう言われてみれば、花の様子は「黃藤」「木藤」みたいな気がしないでもないが、違う。

キブシ(木五倍子)の名は果実がブシ(五倍子)の代わりになる木であることに由来する。
五倍子(ブシ、フシ)はヌルデの葉の虫癭(ちゅうえい:むしこぶ)から作る染料(タンニン)である。

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林道というのは、日光がよく当たり風も通るので、林縁(りんえん:林のへり)の植生を観察できる。
ヤブにならないように刈り込んだり、法面が崩れたりと、環境の変動も大きいので、伐開地(ばっかいち)や荒れ地に生えるような植物も多い。

モミジイチゴも伐開地によく見られる低木だ。
来月末には、オレンジ色の果実が食べられるみられるだろう。

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この時期、ヤマザクラが咲いていることも期待していたのだけれど、一服峠登山口から南西側の林道沿いには、ヤマザクラは少なかった。
北西側の、つるべ落としの滝登山口のあたりの林道沿いや、池の平の西側斜面のほうにはヤマザクラが多いのだけどね。

林道沿いのどこかで昼飯にしようと考えながら歩いたのだが、なかなか良い場所がない。
開けた草地など、居心地が良さそうだなと思って立ち止まると、なんだかオシッコ臭い。
どうやらシカが休み場にしているようだ。

半世紀近く前、学生のころ、林道はシカやクマなどの野生動物の分布域を制限するのではないかと危惧されていた。
しかし案外、野生動物は林道を移動や生活の場として利用していたりするのだ。

そんなこともあり、草地は諦めて、路傍の適当な土盛りの上に腰を据えて、砂利道にストーブを置いて湯を沸かした。

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モノポッド(一脚)を置いたすぐ脇に、小さな白いスミレが咲いていた。
たぶんフモトスミレだろう。

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林道の山側の法面の火山岩の表面に、タチツボスミレが咲いていた。
タチツボスミレの順応性の高さについては前にも書いたが、本当に驚かされる。

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カップヌードルを食べているうちに風が出てきた。
座布団マットが崖下に飛んでしまって慌てたり、風にちぎれた木の芽がシェラカップの白湯に落ちてきたりした。
そんなこんなで、楽しくなくなってきたので、引き上げることにした。

林道をポテポテ歩きながら、林の切れ目から沼津市街や駿河湾を眺める。
いつも散歩している公園や自宅のあたりも見えて、なんだか狭い範囲で生活しているよなぁ、と、いつもながらに思う。

そういや、もうかれこれ半世紀近く、あちこちの林道を歩いてきたなぁ、と気付いた。
林道が好きなわけではない。
登山靴では砂利道も舗装路も歩きづらいので、どちらかというと嫌いである。

それでも仕方なく、登山道へのアプローチや、天候が悪いときの回避ルートとして、あるいは野生動物を観察するために、林道を歩いてきた。
北は北海道から南は東京都(八丈島)まで、東はやはり北海道から西は京都府まで、けっこうあちこち歩いている。
中でも丹沢や足尾山地や八ヶ岳周辺では、頻繁に林道を歩いた。

でもって、またこれからも、愛鷹山や伊豆の林道を歩くのだろうなぁ。

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2025/04/06

ポリネーター

庭のローズマリーが花盛りである。

ミツバチがやってきて、花から花へと忙しなく蜜を吸って飛び回っていて、その頭から背中(胸部の背側)にかけて、花粉がたくさん付いている。

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ローズマリーの花弁のうち、下側の花弁はミツバチが花の奥の蜜を吸うときに着陸するのにちょうどよい「足場」となる。
ミツバチがその「足場」に乗ると、雄蕊(めしべ)の先端がミツバチの後頭部に接触する。

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ミツバチは、葯(やく:花粉袋)が後頭部に押し付けられたことを嫌がる様子もなく、むしろ前脚を使って葯を頭にこすりつけているようにも見える。
花粉を巣に持ち帰って、幼虫の餌とするのだろう。

ミツバチ以外にも、ヒゲナガハナバチやハナアブ類もたくさんやってくる。
イエバエもやってきて、蜜を舐め、花粉を体に付けている。

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これらの昆虫は、雄蕊から雌蕊(めしべ)へと花粉を運ぶ役割をしている。
もちろん、昆虫自身が「花粉を運んで、花の受粉を助けてあげよう」と考えているわけではない。
蜜を求める行動が、結果的に花粉を媒介することになっているのだ。

このように、植物の受粉に欠かせない役割を果たす動物をポリネーター(花粉媒介者)という。

庭のローズマリーには、メジロもやってくる(窓ガラス越しの写真なので、ちょっとボヤけている)。

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メジロもポリネーターなのである。

上の写真ではわかりにくいので、2024年2月の記事「梅に鶯ならぬ河津桜に目白」の写真を再掲する。
くちばしや額に、カワヅザクラの花粉が付いている。

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昨日、雑木林の林床に、いくつものウラシマソウが花を咲かせているのを見た。

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浦島太郎の釣り竿に見立てた長い付属体(花の集合体の先端)が、仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる花びらのようなものからはみ出している。
この付属体や仏炎苞に、ポリネーターを呼び寄せる面白い仕組みがあったはずだと思って調べたところ、次の記事を見つけた。

神戸大学プレスリリース「ウラシマソウの『竿』の適応的意義を解明――『竿』は主要な花粉の運び手を『釣る』道具だった」
https://www.kobe-u.ac.jp/ja/news/article/2022_06_28_01/

虫や鳥に限らず、様々な動物がポリネーターとして花粉を運ぶ。
これについてはいろいろと面白い話があるので、ナショナルジオグラフィック2011年3月号「花粉の運び屋たち」などを参照していただきたい。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/magazine/1103/feature04/

ポリネーターがいなければ、植物は受粉せず、種子ができない。
ポリネーターは景観や環境の維持に欠かせないだけでなく、農業生産にも大きな役割を果たしている。

にも関わらず、環境破壊や農薬散布、環境ホルモンのような生殖撹乱物質によって、昆虫や野鳥の生活が脅かされている。
環境保全というのは、虫や鳥のためではなく、人間のためでもあるのだが、その点なかなかご理解いただけないのが歯がゆいところである。

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2024/12/27

空を見ながら歩く

今週は西高東低の気圧配置のため、太平洋側では晴れの日が続いている。
毎日、富士山や愛鷹山や箱根や伊豆の山々がよく見える。

ところが、テレビとブルーレイレコーダーの調子が悪いので買いに行ったり、テレビが届いたり、冷たい強風が吹いたりして、山歩きができずにいる。
まぁ寒いし疲れ気味なので(テレビ台周辺の大掃除をしたせいかも?)、家事と散歩くらいの運動で充分足りているような気もするが……。

さて、冬になってマウンテンパーカーを着るようになってから、手袋その他の小物をポケットに入れられるので、ボディバッグを持たず、双眼鏡とカメラをむき身でぶら下げて散歩している。
すると、散歩中に遭遇する近所の人に、鳥の観察ですか、と聞かれる。

もちろん、冬はカモなどがいっぱい渡ってくるし、木が葉を落として枝先の鳥が見やすくなるので、双眼鏡を持って歩くと楽しい。
双眼鏡がなくても、カワセミなどの鳥は観察できるけれど、あれば遠くから眺めているだけでも楽しい。

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儂が野鳥の観察をするようになったのは小学校の5年生のころからだが、鳥だけを見ているわけではない。

卒論を雑草の生態で書いたときから、植物の形態が気になって仕方がない。
コゴメウツギの黄葉を見つけたので撮ってみた。
まるでアラベスク(唐草模様)のように規則的だ。

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植物を含め、生物の形態は「ごちゃごちゃ」だとか「ランダム」だとか、「規則性がなく無秩序である」と捉えている人は多い。
理系でも、非生物系出身だとそういう誤解をしていて、「理科の中でも生物は教えにくい」とのたまう。

いやいや、じっくり見てみようよ。

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散歩中、上を見て歩くことも多い。
この時期は散りつつある紅葉や、裸になった枝先が面白い。

そしてその梢の更に上の空でも面白い現象が起こるので、なおさら上を見る。
上を見たり、足元を見たり、はたから見たら挙動不審だろうなぁ。

おまけにわんこが寄ってくれば、しゃがみ込んで撫で回すし。

日没前1時間程度の散歩が多いので、太陽高度が低いときに発生する現象によく遭遇する。

一昨日(12月25日水曜日)には、対応の左右に幻日が見えた。

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昨日(12月26日木曜日)には、太陽のすぐ上に彩雲が出ていた。

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彩雲は、上空の薄い雲(つまり細かい氷の粒の集まり)で屈折した光が、虹のスペクトルに分かれて見える現象だ。

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風が強いので、彩雲はみるみるうちに形を変えて移動し、消えてしまった。
彩雲が見えていたのは、ほんの10分ぐらいだろう。

こういう現象に遭遇するから、空を見ながら歩くことがやめられないのである。

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2024/11/23

リベンジ山行

プーチンが(ウクライナの発表によると)ICBM(後にロシアは中距離弾道ミサイルと発表)を使って空爆を行った。
今回は通常弾頭だったらしいが、核弾頭を搭載すれば、いよいよ核戦争になってしまう。

なんということだ。

明日にも人類が滅びるかもしれないので、晴れたら山に向かおう、と思った。

昨日(11月22日)、多少の雲はあったが、概ね晴れていたので、とりあえず桃沢川沿いに登って、つるべ落としの滝の手前あたりで昼飯食って帰ってこようと、家事を済ませてから出かけた。

10時45分、水神社駐車場で登山靴(トレッキングシューズ)を履き、ショートスパッツを装着。
これで靴の中に入ってくる土くれや小石や小枝に悩まされることもないぞ、と気分良く歩き始めたら、林道のゲートに「通行禁止」の札が掛けられていた。

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つるべ落としの滝あたりで通行禁止になっている可能性は考えていたが、登山口からかぁ〜。

ちょっと考えて、長泉森林公園に移動することにした。
池の平から位牌岳に至る稜線歩きにルート変更することにしたのだ。
曇って寒かった先週の山行のリベンジである。

ちなみに、スパッツまで着けてしまったトレッキングシューズを脱ぐのが面倒だったので、そのまま運転したが、まったく問題なかった。
さすがスズキの車である。
長時間の運転となると、足首に負荷がかかるので難しいだろうが。

11時10分、長泉町森林公園駐車場着。
11時50分、池の平展望公園着。

積雲の底が近くて、愛鷹山や位牌岳の山頂に引っかかりそうである。

雲の影が駿河湾に落ちていて、平たく小さな島が連なっているように見えた。

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池の平から位牌岳に至る稜線の道を歩く。
何度も雲が頭上をよぎり、雲間からの陽光で対面(トイメン)の斜面の紅葉が輝く。

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先週昼食を摂った地点を通過する。
ときおり吹く風が冷たかったからだ。

13時10分、標高1120mの地点で昼食とする。
景色も日当たりもよく、風も弱ってきたので、このあたりで良かろうと考えた。

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ひょっとするとここは、2022年11月に昼飯を食ったところと同じ場所かもしれない。

駿河湾と愛鷹山、位牌岳(の手前の山?)を眺めながら、湯を沸かし、カップヌードルを食べた。

位牌岳方面の斜面のどこからか、シカの鳴き声が聞こえた。
オスがメスを呼ぶ、ラブコールである。

ほんのちょっと、山頂だけだが、富士山も見えた。

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位牌岳から裾野市方面へ伸びる尾根の木々も色づいていた。

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昼食後、同じ尾根を引き返す。

標高1032mのピークと1250mのピーク(位牌岳のすぐ手前)の間は痩せ尾根だ。
尾根上の道は細くて、細かな上下を繰り返す。
道の両側は切れ落ちた急斜面なのだが、木が生えているので全く怖くない。

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そんな稜線歩きを楽しみながら、紅葉と黄葉の写真を撮った。

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逆光だから露出が難しいかなぁと思ったが、だいたいカメラ任せ(絞り優先オート)か、プラスマイナス0.3evの露出補正でなんとかなった。

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遠景の伊豆半島をくっきり表現するには、-0.7evの露出補正が必要だった。

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標高1000mくらいでは、ブナの黄葉は終わり、登山道や林床は褐色のブナの落ち葉で覆われていた。

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苔の上の紅葉。

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じつはこの苔は、稜線に露出した岩の上に生えたものだ。
この岩は、溶岩だろうか、溶結凝灰岩だろうか。

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紅葉・黄葉の鮮やかさを強調するときは、明るめに補正(+0.3ev)すると良いようだ。

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馬の背状の稜線。
シカの食圧によるものか、ササは枯れている。

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カエデの黄葉と、葉の残るブナ。
ブナの幹にはキノコがたくさん生えている。
ツキヨタケだろう、たぶん。

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標高900mのブナの下限と思われるあたりでは、まだ黄葉が残っていた。

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池の平の手前で広葉樹林は終わる。

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14時40分、池の平展望公園着。
池の平から先はヒノキの植林の中を下る。

15時15分、長泉町森林公園駐車場着。
帰路、ガソリンスタンドに寄ってから家に帰った。

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2024/11/13

黄葉と紅葉を見に行って、寒さに震えた

昨日(11月12日)、「今日しかないなぁ」と思って愛鷹山へ紅葉と黄葉を見に出かけた。
今週の晴れ間は12日(火)と13日(水)しかない予報で、13日は車検その他の用事が入っていたからだ。
来週は、いまフィリピン付近にある四つの台風の影響があるそうだし……。

ということで、曇ってはいたが、池の平から位牌岳方面へ稜線を歩くことにした。
位牌岳まで行くつもりはなく、途中の景色の良いところで昼食とって帰ってこよう、という計画である。

10時45分に長泉町森林公園の駐車場から歩き始めたら、いきなり通行禁止の札が。

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どうやら沢沿いに登って、つるべ落としの滝から位牌岳に登るルートに崩落箇所があるらしい。
今回は、尾根沿いのルートなので問題ないだろうと判断して登る。
ちなみに、駐車場にはすでに7台ほどの車があったが、皆さんどこへ行ったのだろう。

ヒノキの植林の中、丸太や擬木で土留した階段を上がって、11時5分に展望台着。
低く垂れ込めた雲の下から、駿河湾と伊豆半島が見えた。

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左端に東伊豆の大室山、右のほうに西伊豆の大瀬崎や戸田のあたりが見えるので、伊豆半島全体が視界に入っていることになる。

11時20分、池の平到着。
若い男性の登山者2名と行き会った。

曇っていて愛鷹山方面の展望が悪い。
先月登った馬場平と愛鷹山の間の鞍部あたりが、ちょうど雲の底にあたるようだ。
雲の底の高さは標高1100mくらいだということになる。

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池の平から位牌岳方面へ。
細い尾根道を行く。

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この岩は溶岩なのか?
火砕流が固まったものなのか?

途中、土砂崩れの跡があった。

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表土が崩れ落ち、下のほうに火山岩と土、立木が沢を埋めているように見える。
むき出しになっているのは赤土、つまり火山灰が降り積もったものだが、この火山灰はどの火山のものだろう。
富士山か、愛鷹山か、それとも遠方の大規模噴火か……。

紅葉はまだ最盛期とはいえず、カエデも緑色のままのものが多い。
そのなかで、ときおり真っ赤に紅葉している株もちらほら。

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大汗かいてヒーヒー言いながら登っていたら、下山してくる登山者(複数)に道を譲られた。
中高年の男女4人。
位牌岳はガス(霧雲)の中だったそうだ。

正午のチャイムが遠く響いてくる。
沼津市と長泉町のチャイムが混ざって妙な響きになっている。

腹が減ってきたので、登山道の脇のどこかで湯を沸かしてカップラーメンを食べようと考えたころ、風が出てきた。
南西から北東へ、木々の梢をビュービューと鳴らして風が行き過ぎる。

さっきまで長袖Tシャツ1枚で汗をかいていたのだが、冷えるのでフリースのジャケットを羽織る。
痩せ尾根が続いていて、なかなか座り込んで湯を沸かすスペースが見当たらない。
もう少し先に行けばあるかな?と歩き続けて、標高1060mくらいのところまで登った。

尾根の風上側ではあるが、少しくぼんでいて風が弱まりそうな平坦な場所が、登山道の脇にあった。
たぶんシカの踊り場だったのだろうが(ダニがいた)、ブナの落ち葉が降り積もって、うまいクッションになっている。

ここで昼食にすることにした。
時刻は12時半。
風が直接吹き付けたりしないが、冷たい。寒い。
ということで雨具のジャケットを引っ張り出して羽織る。
ゴアテックスの雨具なので蒸れないから、ウインドブレーカー代わりになる。

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落ち葉の上に手製のストーブ台(アルミホイルを巻いた木の板)を置き、湯を沸かす。
湯が湧くのを待ちながら、ペンシルカルパスを食べる。
湯が湧いたらチリトマトヌードルに注ぎ、3分待つ間にチーズかまぼこを食べる。

ガス(霧雲)になりかけの湿った風が吹き抜けるので落ち着かなかったが、温かいものを食べるとホッとする。
外界の沼津市あたりには陽が射しているようで、光る駿河湾が見えた。

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位牌岳のほうは……と見ると、雲の中のようだ。

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この先へ進んで、雲の中に入るのも嫌だなぁ……。

そこで、ストーブなどを片付けて、13時過ぎに引き返すことにした。

空が青くなく、日差しもないとなると、ブナの黄葉も冴えない。

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13時50分、池の平まで戻ったら、晴れてきた。

愛鷹山の山頂は見えるが、馬場平や袴腰岳に雲の底がかかっているので、雲は上がっていくのではなく、流れて消えているのだろうか。

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昼飯食ったあたりの稜線にも陽の光が当たっているようだ。

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でもまぁ、寒かったから、晴れるのを待っていられなかったし、見ていると雲は流れていくものの、完全に消えるわけではない。
また新たに雲が生まれて稜線にかかったりしているので、引き返すのは妥当な判断だったと思う。

けっこう膝もガクガクしてきたので、登山ルートやペース配分を決めるとき、年齢というパラメータも考慮しなくちゃならないなぁ、と改めて感じた。

池の平から、相模湾を眺めながら防火帯を下る。
5年前の今日(2019年11月12日)、こんと最後に池の平を訪れたときのことを思い出す。

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14時40分、森林公園駐車場に到着。
森林公園内の赤土が、登山靴の裏、ビブラムソールの溝にいっぱい詰まっていたので、それを木の枝でこそげ落としてから、帰路についた。

途中、麓の栗林でニホンザルの群れに遭遇。

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アカンボを連れた母ザルもいた。

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車の窓から、コドモの動画を撮った。

このあたりの畑では、電気牧柵を設置するなどサルなどの害に対応している。
だからサルを見て喜んで写真など撮っていていいのかなぁ、と少々申し訳ない気もしたのだった。

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2024/11/10

秋の夕暮れ

秋は、夏から冬への傾斜、というか斜面の途中、というイメージを持っている。
おそらく地球温暖化の進行により、その傾斜は急斜面になっていくのだろう。

……なんてことを考えながら、扇風機を仕舞い、竹のカーペットをホットカーペットに替え、夏用の布団を冬用の布団に替え、居間の腰窓にポリカーボネートの内窓をセットするなど、防寒対策を進行中の昨今。

それなのに、まだ幼虫の姿で大丈夫か? と心配になった庭のルー(ヘンルウダ)のナミアゲハ。
立冬を過ぎてるよ?!

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一昨日・昨日、晴れていたので夕暮れ時の散歩の際、門池公園で写真を撮った。

このカキは渋柿だ、多分。

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茶(チャノキ)の花。
小さくて白い椿のような花。

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サクラの枝越しの上弦の月。
このサクラの枝に引っ掛かったはずの紙飛行機は、どこへ行ってしまったのだろう。

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130年の観測史上最も遅い初冠雪が観測されたはずの富士山。
その手前の愛鷹山の稜線部はそろそろブナの黄葉が見頃のはず。
弁天島の石垣の上にちょこんととまっているのは……。

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カワセミ。
この個体は、下嘴が赤いのでメス。

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なんだかジュリア集合(フラクタル図形)みたいだなぁ、と思った雲。

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ジャージャーと警戒の声を上げるシジュウカラ。
彼が警戒しているのは、儂です。

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カルガモ、オオバン、コサギ、チュウサギという珍しい集合写真。
なぜかこのコサギとチュウサギは仲が良くて、よく一緒にいるのを見かける。

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日没直前の門池。

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-0.3ev くらいの補正をかけると、肉眼で見た感じの印象に近くなる。
こういう補正を、ファインダーを覗きながらダイヤルを回すだけでできることは、スマートフォンに対するデジタルカメラの優位性の一つだと思う。

 

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