身近な金属錯体
ノーベル化学賞受賞のニュースを聞いて、MOF(金属有機構造体)って何だっけ?と一瞬戸惑った。
ニュース記事などの解説図を見て、あぁ、金属錯体か、と腑に落ちた。
金属錯体なら、勉強したことがあるので馴染みがある。
ノーベル賞を受賞した MOF の研究により、有機物と金属が規則的に配置されたスポンジ状の構造物を設計し開発することができるそうだ。
MOF は CO2 や PFOS のような厄介な物質の貯蔵や、CO2 をメタノールなどに変換する触媒としての機能が期待されている。
MOF は金属錯体の一種だが、構造が規則的で、目的に合わせて設計できる人工的な物質である。
ざっくり「金属錯体」と言うと、生物由来の様々な物質が含まれる。
たとえば……。
クロロフィル、つまり植物の葉に含まれる「葉緑素」も、金属錯体だ。
ポルフィリン環という有機化合物の輪っかの中に、金属イオン(マグネシウム)がはまっている。
クロロフィルは、光のエネルギーを利用して、水を酸素と水素に分解するという、光合成の最初の段階で重要な役割を果たしている。
触媒の働きをする金属錯体と言えるだろう。
クロロフィルがなければ、儂らが吸う酸素も、食物にする有機物(糖類や脂質やタンパク質)もできない。
非常に重要な金属錯体なのだ。
もっと身近な金属錯体もあり、誰もが毎日使っている。
というか、使わないと死んでしまう。
その金属錯体は「ヘム」というもので、血中色素のヘモグロビンの中核をなす。
クロロフィルと似た有機化合物の輪っかの中に、マグネシウムではなく鉄を含んでいる。
血の色、血の匂いは、ヘモグロビン中の鉄イオンに由来するのだ。
ヘムは、酸素を取り込み、運搬する金属錯体である。
ヘムに酸素が結合すると、ヘモグロビン分子は鮮やかな赤色、動脈血の色になる。
ヘムから酸素が離れると、ヘモグロビン分子は暗い赤色、静脈血の色になる。
なんだかこのところ急に寒くなり、一昨日の木曜日(10月22日)には富士山の初冠雪を観測した。
昨年より15日早いが、平年よりも21日遅いそうである。
もっとも、ウチから見たところ、六合目付近まで白くなっていたので、例年の初冠雪とは様子が異なる。
例年は、山頂付近がちょこっとだけ白くなり、すぐに雪が溶けてしまうことが多い。
富士山の手前に見える愛鷹山も、稜線のあたりには紅葉の気配がある。
もう少し待てば、ヒメシャラやドウダンツツジやイロハモミジやハゼノキが真っ赤になるだろう。
紅葉の赤色は、ヘムの赤色とはまったく関係がない。
紅葉の赤色は、アントシアン(アントシアニン)という赤紫色の色素によるもので、これは金属錯体ではなく、糖類が変化してできたものだ。
秋になると緑の葉のクロロフィルが分解され、もともと葉に含まれていた黄色や橙色の色素(キサントフィルとかカロチノイドとか)と、アントシアンにより赤くなる。
木々の葉に含まれる金属錯体が分解されるのを待って、山へ行こう(面倒くさい言い方だなぁ)。
























































































