北伊豆・玄岳に登った
公園を散歩していると、東から南に箱根と伊豆の山々が連なっている。
箱根と天城の間に見えるなだらかな山が玄岳(くろだけ)で、その山頂のすぐ下を道路(伊豆スカイライン)が通っている。
3年近く前にカミさんと登ろうと思ったのだが、ちゃんとした登山靴を履いていなかったのと強風が吹いていたのとで断念した。
ガイドマップに「山頂まで15分」と書いてあったので大したことなかろうと甘く見たら、そこそこ登りにくい道だったのだ。
ということで、よく晴れて風もさほど強くなかった昨日(1月14日)、一人で再挑戦した。
ウチを10時過ぎに出て、伊豆スカイライン「西丹那駐車場」に着いたのが11時過ぎ。
伊豆スカイラインをもう少し北に行くと「玄岳駐車場」があるが、登山口に近いのは「西丹那駐車場」のほうである。
次の写真は登山口から駐めた車を振り返ったところ。
もう駐車場からこの展望である。
補助ロープの張られた道をちょっと登って笹原に出ると、相模湾が見えた。
中央の建物は旧玄岳ドライブインで、現在は廃墟になっている。
1970年までは熱海高原ロープウェイの駅舎だったそうだ。
山頂にはコースタイム通り15分で着いた。
国土地理院の地図によると、玄岳の標高は798.4mとなっているが、山頂看板の表記と違う。
北側の眺め。
箱根と富士山。
10万歳程度の「若い」火山たち。
西側の眺め。
富士山の手前に愛鷹連峰。
沼津アルプスの向こうに駿河湾、そしてその向こうに身延山系、さらに遠く南アルプス。
南に達磨山など伊豆半島の山々。
その手前に葛城山などの山と沼津アルプス。
……あれだけ上り下りに苦労したのに、ここから見ると低いなぁ、沼津アルプス。
これらの海底火山の残骸が地上の山になったのは、伊豆半島が本州に衝突したとき、つまり50万年くらい前だろうか。
南東に伊豆大島と初島。
伊豆大島は海上に顔を出した海底火山、初島は隆起した海底。
東側には相模湾。
真鶴半島の向こうは三浦半島で、よく見ると江ノ島が見える。
横浜や東京の市街は霞んでいる。
弱い風が吹いていたが、危険はないと判断してガスストーブで湯を沸かし、カップヌードルを食べた。
山頂には10人ほどの登山者がいたが、ここで昼飯を食べたのは儂だけ。
この展望を独り占めである。
昼食中に遠くから昼のチャイムが聞こえてきた。
沼津アルプスでは、昼のチャイムだけでなく、工場の音や建築現場の槌音、犬の吠える声など、下界の生活音が常に聞こえていた。
玄岳では、昼のチャイム以外の下界の音は聞こえなかった。
東富士演習場に向かう自衛隊の双発ヘリの音が少々耳障りではあった。
山頂に居る間に、Android アプリ PeakFinder で山座同定してみた。
ちょっと位置がズレているのは、儂の調整ミスである。
しかし、南アルプス間ノ岳は見えなかったと思うが……。
箱根の向こうに顔を出している山頂に見覚えがあるなぁと思ったら、やはり丹沢大山だった。
昼食後、山頂をあとにして氷ヶ池(こおりがいけ)に向かう。
ロープだけでなく、鉄パイプで作られた梯子まである急坂を下り、伊豆スカイラインの下のトンネルをくぐって樹林を抜けていく。
後ほど地図で示す通り、けっこうぐにゃぐにゃと進む向きの変わる道である。
氷ヶ池は、ここしばらく雨が降っていないためか水が少なく、風も吹いていたので逆さ富士は見られず。
氷ヶ池を巻くように進む道をそのまま進むと、丹那へ下りてしまうので、途中の分岐で玄岳へと向かう。
背丈を超す高さのスズタケとネザサの間の細い道が、背の低い笹原の急登に変わる。
腿を上げるのがしんどくなったころに傾斜が緩くなり、展望が開ける。
西丹那駐車場に着いたのは13時半だった。
……ということで、短時間のご近所ハイクだったが、天候と展望に恵まれた良い山旅であった。
それだけでなく、人類の活動など屁でもないようなタイムスケールの地殻変動を「眺める」ことができたのが面白かった。

(伊豆半島ジオパーク「伊豆半島の成り立ち」から引用)
玄岳は多賀火山という巨大火山の火口壁の名残りだそうだ。
そこで、氷ヶ池は蔵王のお釜のような火口湖なのかと思ったら、そうではないとのこと。
氷ヶ池は渓流が断層で断ち切られてできた、せき止め湖らしい。
多賀火山は伊豆半島が本州に激突する前(50万年以上前)に活動していた火山だから、箱根のほうが後から噴火して、多賀火山(と同時期の火山群)の裾野を覆ったのだろう。
伊豆半島が本州をぐいぐい押して盛り上がった丹沢は、多賀火山と同時期に生まれたと考えてよいだろうか。
伊豆半島の衝突の影響は南アルプスにも及び、100万年で3000m隆起した(現在も隆起し続けている)。
押された本州(ユーラシアプレート)と伊豆半島(フィリピン海プレート)の裂け目から噴き上がった溶岩により、愛鷹山と富士山ができるのは、「ごく最近」ということになるだろうか。
なんか、たかだか数万年の人類文明って何なんだろうなぁ、と考えてしまう。
『悲しき熱帯』(じつは未読)のレヴィ・ストロースの言葉を思い出す。
世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう。











































































