2024/10/23

愛鷹連峰袴腰岳・馬場平稜線散策……のつもりが……

愛鷹連峰を南側の麓から眺めると、最高峰の越前岳(1504.2m)は見えず、愛鷹山(1187.5m)から位牌岳(1457.5m)に至る稜線が目立つ。

Img_20241015_170127

愛鷹山と位牌岳、その間の袴腰岳(1248m)には登っているが、愛鷹山と袴腰岳の間の稜線は歩いたことがなかった。
この稜線には馬場平(1203m)があり、昨年愛鷹山から眺めたときにはブナとヒメシャラの巨木がたくさんあって面白そうなところだと思った。
次の図は地理院地図を利用して作成したもの。

Sketch1729673909460

昨日(10月22日)、どうやらこの日が最後の晴天であり、その後雨が続きそうな気配だったので、馬場平を目指してみることにした。

ルートは水神社から愛鷹山登山口まで地図にない登山道を歩き、一服峠(約1300m)まで登って稜線に到達、そこから南下して袴腰岳、馬場平を経て愛鷹山北側の鞍部に至る。
そこから登山口(林道の柳沢橋)へ下り、水神社に戻る。
推定コースタイム6時間15分。

結構長丁場になるので、風呂掃除はカミさんに託して9時前に出発。
9時20分水神社駐車場着。
9時25分発。

これまで一服峠や愛鷹山に登るときには、登山口まで林道を1時間歩いたが、今回は地図にない登山道を登った。
地図にないといっても、整備された道なので危険なことはない。

10時15分、登山口着。
ハシゴを登り、一服峠へ至る尾根に取り付く。

ススキが茂り赤土がむき出しになった崩壊地から箱根を眺めたり、崩れやすい細い道にヒヤヒヤしながら登る。

Pa221213

ヒノキの植林地を抜ける頃から腹が鳴り始める。
おまけに足がなかなか上がらなくなる。

体力よりも先に足に来たか!
このあたりが高齢者登山(もはや中高年登山ではない)の怖いところだ。
ヒーヒー言いながらも歩けることは歩けるものの、足が上がらない。

トレッキングポール代わりのモノポッド(一脚)にすがって登り続けたが、一服峠の手前のブナ林で昼食休憩をとることにした。
もともと気持ちの良いブナ林で昼飯にしようと思っていて、一服峠から袴腰岳の稜線東側あたりかなぁと考えていた。
ちょっと手前になってしまったが、まぁ良しとしよう。

12時10分、ブナの疎林の緩やかな斜面にザックを下ろし、座布団用のパッドを敷き、ガスストーブ(コンロ)を設置する。

例によって湯を沸かしてカップラーメン(シーフードヌードル)を食べた。
湯を沸かす間、湯を注いで3分間待つ間にチーかまとペンシルカルパスを食べた。

Img_20241022_121052

湯を沸かす間、食べている間、聞こえる音は鳥の声と風の音、葉のそよぐ音だけ。
見上げれば、やや色づいた枝葉が空をゆるく覆っている。

Pa2212172

こうやって林の中でゆっくり食事することも、今回の山歩きの大きな目的の一つである。

40分ほど休んだ後、登りを再開し、13時に一服峠着。
ここから稜線を南下する。
稜線にはツツジやアセビなどの低木が茂っているが、ブナやヒメシャラの大木も見かける。
ヒメシャラは幹の表皮が赤っぽくてツルツルなので目立つ。

Img_20241022_133050

この稜線からは鋸岳(次の写真の手前の岩峰)や越前岳の眺めが良い。
雲がなければ富士山もよく見えるのだが、この日は五合目くらいから下しか見えなかった。

Pa2212242

13時25分、袴腰岳を通過。
富士市街や相模湾が見えるようになる。
駿河湾越しに三保の松原が(松原というより砂嘴が)見える。

Pa2212292

上の写真、田子の浦港近くの田んぼのあたりをズームアップすると、トンボが飛んでいるのがわかる。
たぶんアキアカネで、このあたりから馬場平を過ぎるあたりまで、たくさん飛んでいた。

Pa221232

馬場平の手前で、一度赤土の斜面を下る。
このあたりの稜線は、門池公園を散歩中にギリギリ見えるところだ(愛鷹山から東に伸びる尾根に遮られて、馬場平は見えない)。
そこで、ここから門池公園が見えるはず……と思って探したら、見えた。
次の写真の中央が門池、右下にはグルメ街道、右上には国道1号バイパス。

Pa221230

14時、馬場平着。
山頂付近は広い平坦地で、ブナやヒメシャラの巨木が目立つ林となっている。
林床にはブナの果実もたくさん落ちていた。

Pa221233

平坦で歩きやすいのでモノポッドを突くこともなく(両手に持って横に構えたりしながら)のんびり歩く。
鼻歌や変な笑い(ヘヘッ)が出てきそうなくらいである(出ていたかもしれない)。

Pa2212382

林を抜けると湿った草原状の植生になり、シカの痕跡がやたらと多い。
集団で駆け抜けたらしい足跡や、大量のフンやヌタ場もあった(次の写真はブナ林を振り返って見たところ)。

Pa2212422

ブナの巨木が枯れて林に明るいところができ、シカが増えて草原状態を維持しているのだろうか。
アセビ(上の写真の右側の丸っこい茂み)やマユミ、ミヤマシキミ(次の写真)といった有毒植物が多く見られるのも、シカが忌避するからで、シカがこの景観を作っていることの証拠といえそうだ。

Pa221214

マユミが亜高木(やや大きな木)になっていることには少々驚いた。

Pa221244

ミヤマシキミにしろマユミにしろ、赤くて綺麗な果実をつけるが、有毒である。
この場合の赤は警告色で、サクランボやイチゴの誘引色とは異なる。
「この色ならば食べられる」というような単純な線引きはできないのだ。

今回の山歩きでは、キノコもたくさん見かけたが、食べようとは思わなかった。
キノコこそ、有毒か食用可の見分けが難しい。
今回、他の登山者とは行き会わなかったが、新しい登山靴の足跡は見かけた(その足跡の上にシカの蹄の跡が載っていたが)。
登山道の脇にツキヨタケが落ちていて、おそらく登山者がシイタケやヒラタケかと思って採ったものの、結局捨てたものだと思う。
それを何箇所かで見かけたので、なんとなく笑ってしまった。
というか笑い事でないと困る。持って帰って食ったりしていないだろうね……。

馬場平からシカ臭い赤土とササの斜面を下りて、愛鷹山北側の鞍部に到着(14時40分)。
次の写真は振り返って馬場平の方を見たところ。

Pa221249

鞍部は草原状で、ここはおそらくシカの楽園なのだろう。
昼間なのでシカの姿は見なかったが、ブナ林の中では気配を感じた。
動物の気配、というか小枝を踏んで歩く音がしたのだ(ザックに熊鈴をつけて鳴らして歩いているので、ケモノはみんな避けていく)。

Pa221247

体力に余裕があれば愛鷹山(上の写真)の山頂まで往復しようかと考えていたのだが、体力ではなく脚力がヤバい。
この場合のヤバいは本来の意味、つまりよろしくない事態である。
時間もかかることから(往復想定40分程度)、愛鷹山登頂は諦めて、ここから下山することにする。
秋の陽のつるべ落とし、早くも日差しが傾いてきた。

林道柳沢橋までの道は、昨年往復したときよりも荒れていた。
赤土が露出して滑りやすくなっているところや、沢筋の板状節理が崩れてルートがわかりにくくなっているところがあった。

安山岩の板状節理はマグマが地上近くで固まったものだから、愛鷹連峰が火山であることを示す。
赤土も元は火山灰だから火山活動の結果だが、これは愛鷹山(火口は位牌岳西側)に由来するのか、他の火山に由来するのか?
沢筋では赤土が流れ落ちて板状節理が見えるので、赤土のほうが年代が新しいと考えてよいのか?

それにしても下り道では、赤土やら溶結凝灰岩(火砕流が冷え固まったもの)が風化してできたかけらやらが登山靴に入り込むのが厄介だ。
適度な防寒耐風性があるモンベルのジャージパンツを履いていたので、裾をミドルカットの登山靴の履き口を覆うように心がけていたのだが、それでも土くれや小石、落ち葉や小枝が入り込む。
ショートスパッツを買ったほうが良いのかもしれない。

なんてことを考えながら、16時に林道柳沢橋着。
ここから林道をたらたら歩くと1時間かかり、文字通り日が暮れてしまう。
愛鷹山登山口はすぐ東側なので、そこから水神社目指して、来た道を下る。

ヒノキの成林の中を行く道は、早くも薄暗く、木の根につまづいたり、重なった板状節理で滑ったりする。
これだから山を歩くときには、ミドルカットの登山靴が欠かせない。
ローカットだったら足首を捻挫してしまうだろう。

トレッキングポール代わりのモノポッドの力(というか自分の腕力)を借りて転倒を防ぎつつ、16時35分、水神社駐車場着。
そういえば今回の山歩きでは、モノポッドは転倒防止や登降の補助に使っただけで、カメラ撮影には使わずじまいだった……。

……ということで、休憩時間を含めて7時間超、歩いている時間だけで(推定)6時間超の山歩きは、脚力に不安を感じて「散策」どころではないという結果となった。
いやまぁ、袴腰岳から馬場平までの稜線や、馬場平のブナ林あたりは「散策」の気分だったのだが、そこまでの登りのアプローチと下りがしんどい。
急な登り下りでは脚力の限界を感じるし、膝も傷める。

こういうハードな山歩きは年齢的にも難しくなってきたのだろうか。
歩行時間3時間くらいの気軽な山歩きや、標高差の小さい平坦なルートを選んで歩くようにしたほうが良いのかもなぁ。

とはいえ、山歩きを辞める気はまったくないので、近隣で面白そうな、そして楽そうなルートを探そうと思うのだ。

| | コメント (0)

2024/09/27

9月最後の山歩き

昨日(2024年9月26日木曜日)、水神社からつるべ落としの滝の手前まで登り、昼飯を食って帰ってきた。
9月に入っても異常な暑さの日が続き、迷走台風が来るなど天候が不純だったので、なかなか山歩きができなかった。
日本列島の南岸にまた熱帯低気圧が近づき、台風となって週末に大雨を降らせそうだという予報である。

ということで、9月最後の晴れの日に山に出かけることにした。

例によって部屋と風呂の掃除をしてから10時前に家を出て、10時20分ごろ水神社の駐車場着。

駐めた車の後部が斜面に接触していないかを確認しようと背後に回ったら、ツルニンジンが咲いていた。

P9261128

同じ斜面にアザミが咲いていて、スジグロシロチョウが吸蜜していた。

P9261130

林道を歩いていると、カラ混群に遭遇。
最初にヤマガラとサンコウチョウに気付いた(写真はない)。
しばらく見ていたら、群れの中にソウシチョウを発見。

特定外来生物が在来種と混群を作っていることに驚いた。

P92611312

前回(9月5日)に歩いたときは雨の後だったので、ふだん水のない沢に流れや溜まりができていた。
今回は、いつも通りの水の枯れた沢が多い。

P9261133

ちなみに、上の写真と同じ場所は、前回は次のような具合だった(「コクワガタの川流れ」の動画と同一のもの)。

千畳岩あたりの湿った山道を歩いていると、ヤマアカガエルがピョンピョンと跳んで道を横切っていった。

P9261134

上の写真でヤマアカガエルの左に見える緑色の落ち葉はヒノキで、若い果実も落ちているのがわかる。
ヒノキの若い果実はカメムシの大好物だそうだ。
林道にはヒノキの果実と一緒にチャバネアオカメムシの死骸も落ちていたし、ブーンと飛んできてズボンにとまった虫を見たら、チャバネアオカメムシだったりした。
ウチの庭のカツラに大勢で取り付いて樹液を吸っている奴らは、こういう山の中で大量発生しているのだろうか。

千畳岩にも流れはなく、周囲の登山道も湿ってはいるものの靴が泥まみれになるほどではない。

シカのヌタ場も乾いていた。

P9261138

貧血気味だとして投与されている鉄剤の影響で体調が万全ではないこともあり、今回はつるべ落としの滝まで行かず、途中の様子の良い涸れ沢で昼食にした。

ちょうど良い高さで上面が平坦な岩があったので、ここを食卓(?)とすることにした。

Img_20240926_115140

ちなみに、岩に立てかけたモノポッド(一脚)の下の地面に見える足跡は、シカのものである。
このあたりはシカの渡河点らしい。

岩の上にガスストーブをセットして、湯を沸かす。
ストーブの下に敷いているのはアルミホイルで包んだ木切れ(素麺の箱の一部)で、平面を保つのと、岩の上の苔(地衣?)へのダメージ軽減を意図しているが、効果があるのかどうかは不明。

Img_20240926_115256

チリトマトヌードルに熱湯を注いだら、3分待つ間にチーズかまぼことカルパスを食べる。

眼の前の景色は、水音のない静かな沢で、ときおり遠くでシジュウカラやエナガの声がする。
ちなみにここは、前回食事を摂った地点から20メートルほど下流で、前回は流れのほとりだったはずだ。

P9261139

用足しついでに、荷物をその場に置いたまま左岸(下流に向かって左側)の斜面を登ってみた。
30メートルほど離れたところを、シカが一頭逃げていった。
声(警戒音)を立てることもなく、ゆっくり斜面を登る姿は明るい茶色の夏毛で、ほどなく低木の間に消えたため、オスかメスかもわからず、写真も撮れなかった。

P9261142

シカの去った斜面の林をぼーっと眺めるうち(こういう瞬間が大好きなのだ)、自分が獣たちの領域に入っていることに、はたと気づいた。

このあたりの林には、シカだけではなくクマもいるはずだ。
山道を歩いているときには、ザックに吊るした熊鈴とシェラカップを、チリンチリン、カランカランと鳴らしている。

いまこの瞬間は、カメラとモノポッドしか持っていない。

いかん、油断した。
そそくさと斜面を下り、沢へ戻って荷物をまとめた。

もう少しのんびり過ごしたいところではあったが、曇りがちになってきたので、もと来た道を戻る。

沢には大きな倒木が見られる。
根元から倒れた木は、その根の間にいくつも岩を抱えている。
マグマ溜まりに由来する柱状節理や板状節理、溶岩流は硬くて木は根を張ることができないので、岩にしがみつくのだろう。

P9261143

板状節理から剥がれ落ちた欠片のガレ場で足を滑らしたり、ミソサザイと接近遭遇したりしながら(近すぎて写真を撮れず)、いくつかの涸れ沢を渡り、斜面をトラバースする。

木の葉が少しづつ色付くなど、秋の先触れも見られた。

P9261145

林道へ出て、杖にしていたモノポッドを畳み、ポテポテと歩く。

路傍のアザミではイチモンジセセリが吸蜜していた。

P9261147

イチモンジセセリを撮っていたら、ササの枯れた稈(かん)にミヤマアカネがとまった。

P9261150

駐車場近くの路傍には、アケボノソウがたくさん咲いていた。
背の丈近い高さの個体もあって、ちょっとびっくりした。

P9261151

アケボノソウの花弁はふつう5枚だが、4枚のものがあった。
よく見ると、萼片も4枚、雄蕊(おしべ)も4本である。

P9261152

14時過ぎに駐車場に着いた。
4時間ほどの、気楽な山歩きだった。

続きを読む "9月最後の山歩き"

| | コメント (0)

2024/09/21

コクワガタの川流れ

北陸地方に線状降水帯が発生して、洪水被害などに見舞われているときに、「川流れ」などというタイトルで記事を書くのもどうかと思ったが、記録として残すため、あえて記す。

先日(9月5日)につるべ落としの滝を訪れた際、大雨の直後だったため、ふだんは水のない涸れ沢にも流れや溜まりができていた。

飛び石伝いに……というか何とか足場を選んで沢を渡ろうとしていたら、岩の上にコクワガタがいた。

P9051079

そしてなぜか、沢の水の中へと歩いて進んでいくのである。
水中では息ができないはずなので、息を止めて潜っていくのか?
水の流れが早いから、力尽きて流されてしまうのでは?
……と思っていたら、案の定……。

流されちまったよ、大丈夫かなぁ、と流れた先を見たら、足を動かして泳いでいた。

そして、下流側の岩にたどり着き、登っていった(岩にたどり着いた瞬間は見逃した)。

こんなふうに水に入って流されて下流へ、っていうのは、コクワガタにとって(その他の昆虫類にとって)よくある移動方法なのだろうか?

この沢は雨の後にできる一時的な流れだから魚に捕食されるおそれはないが、イワナがいるような川だったら、のんびり泳いで移動することなどできないだろうに。

| | コメント (0)

2024/09/06

愛鷹山・つるべ落としの滝往復

台風10号は熱帯低気圧となって過ぎ去ったが、各地に突風と大雨の被害をもたらした。
ウチのあたり(静岡県東部)は台風から遠く離れているのに、アウターバンドの雨雲が次々と押し寄せ、かなりの雨が降った。

雨がやんで二日後の昨日(9月5日)、愛鷹山のつるべ落としの滝まで登った。

つるべ落としの滝は、渇水期には消えてしまうことから別名「まぼろしの滝」という。
愛鷹山は火山なので、愛鷹山に降った雨は火山灰や火砕堆積物を抜けて地下へ浸透してしまう。
そのため、豊富な水が流れる沢は、雨の直後しか見ることができない(この話は何回か書いてるな……)。

大雨の二日後の晴天は、絶好の山歩き日和なのである。

被災した方々には申し訳ないが、明日は我が身、楽しめるときには楽しませてもらおう、と思っている。

ということで、部屋と風呂の掃除をしてから支度を整え、9時半に自宅を出発、10時に水神社駐車場着。

林道を歩いて(崩れた箇所をユンボで補修している横を抜け)、つるべ落としの滝登山口に10時45分到着。
スマートフォンで記録代わりの写真を撮っていたら、上空を大きな猛禽類が飛んでいる(次の写真の左上の黒い点)。

Img_20240905_104507

慌てて OM-5 を取り出し、撮影し拡大してみたら、クマタカだった。

P90510742

この林道の先、一服峠への登山口に至るあたりでも、クマタカを見かけたことがある。
7月18日に黒岳に登ったときにも、林の上をピィピィ鳴きながら飛ぶ猛禽がいた(クマタカかどうかはわからない)。
愛鷹山には、クマタカのような大型の猛禽はどれくらい棲んでいるのだろう。

山道の荒れ方は思ったよりも酷くなくて、念のため持って行ったノコギリも、1回しか使わなかった。
雨の後には倒木で道を塞がれることも多いのだが、今回は倒木よりも水量が多くて、沢を渡りにくいことが多かった。

ふだんはまるで水のない、あるいはチョロチョロ流れている程度の沢なのに、あちこちに小さな滝ができていた。

P9051094

そんな沢の写真や動画を撮ったり、苔や虫を観察したりしていたので、つるべ落としの滝に到着したのは12時15分だった。

滝の水量が多くて水音も大きく、飛び散る水滴はミストのようにあたりにたなびき、寒いほどだった。
うるさいし寒いので、ここで昼食を摂ることはあきらめ、滝壺で顔を洗って下ることにした。

P9051093

板状節理の観察ポイントの下あたりで沢に降り、ラーメンを作った。
おそらく一昨日には水底だったところなのだろう、小石と砂利が平らに堆積していてストーブを置きやすかった。

Img_20240905_130545

ラーメンを食べながら眺めていたのは、次の写真のような景色。
この沢にこれだけ水の流れや溜まりができているのは珍しい。

P9051099

水溜りに足を浸して冷やしたり、手ぬぐいを洗ったりとのんびり過ごして、ゆっくり下山。

水神社の駐車場に戻ったのは15時20分だった。

次の写真は駐車場近くの林道の脇の、マツカゼソウで吸蜜するスジグロシロチョウ。

P9051112

| | コメント (0)

2024/07/20

愛鷹連峰黒岳に登った

東海地方の梅雨明けが発表された一昨日(18日)、愛鷹連峰北東端の黒岳に登ってきた。

梅雨の晴れ間を狙って愛鷹山のどこかの沢か山へ行こうと思っていたのだが、なかなか晴れ間と用事の都合が合わず、梅雨明けの当日となってしまった。
今回の山行の主目的は気分転換なので、気持ちよく歩いて昼飯を食べて帰ってこられればどこでも良かった。
稜線まで短時間で登れて、運が良ければ間近で富士山が見られる、ということで、黒岳を選択した。

9時50分頃自宅を出て、登山口の愛鷹山神社駐車場(標高740m)に到着したのは10時40分頃。
途中の246号バイパスで車線規制の渋滞に巻き込まれなければ、あと10分くらい早く着いただろう。
20台ほど駐められそうな駐車場には、4台の車があり、うち3台は他県ナンバーだった(じつは次の写真は下山してきたときに撮ったものだが、登山開始時と似たような薄曇りの空模様)。
東名から近いので来やすいのかな。

Img_20240718_150604

駐車場の利用心得の表示の横に登山届のポストがあったので、「山神社〜富士見峠〜黒岳〜富士見峠〜鋸岳展望台〜富士見峠〜山神社」と書いて提出。
ポストの隣には「黒岳の自然杉群落」と「熊注意‼」の表示があった。

Img_20240718_104308

今回も熊鈴とシェラカップをザックにぶら下げて、チリンチリン、カランカランと鳴らして熊よけとした。

駐車場から林道を横切って、登山開始(写真は暗かったためブレている)。

Img_20240718_104734

しばらく杉の植林地を登っていく。
林床のフタリシズカの葉の上に、ヘイケボタルがとまっていた。
ヒトリシズカとゲンジボタルの組み合わせのほうが面白かったのにな、と思いながらとりあえずスマートフォンで撮った。

Img_20240718_105417

ザックを下ろして OM-5 を出そうとしたところ、ヘイケボタルは飛び立って林の奥へと消えていった。

杉林が尽きて沢の源頭に至るあたりから、登山道はトラバース気味になる。
木々の間から、位牌岳が見えたが、位牌岳や越前岳の方面は雲が出ているようだ。

Img_20240718_112721

登山道の脇にイワタバコが咲いていた。
この日、イワタバコの花を見るために、つるべ落としの滝のほうへ行こうかとも考えていたのだが、前々日の雨で沢沿いの道が荒れていそうなので断念した。
今年はイワタバコの花を見ずに終わるかもな、と思っていたので少し嬉しい。

P7181006

ちなみに、イワタバコが咲いていたのは、次の写真のような具合の登山道の脇。
苔の剥げているところが踏み跡で、トレッキングポールがないと心もとない。

P7181008

ちなみに、今回はいつものようにトレッキングポールを2本持つのではなく、写真用のモノポッド(一脚)をトレッキングポールの代わりとして使った。
グラスファイバー製の軽量モノポッドで、トレッキングポール2本分の重さ(約500g)である。

山歩きをする人の間で、ポールは2本持ちと1本持ちのどちらが良いかという議論があるようだ。
自分はどちらが向いているかを確認する意図もあって、モノポッドを使った。

儂は1本でもまったく問題ないようだ。
むしろ、ロープやはしごを掴むときには片手が空いているほうがよいので、1本のほうが向いているかもしれない。

長く伸ばしたモノポッドを杖のように突いて、熊鈴を鳴らしながら歩いていて、ふと思った。
修行僧が持っている錫杖(しゃくじょう)には金属の輪が付いていてシャンシャンと鳴るが、あれはひょっとしてクマやオオカミを避けるためのものだったのではないか?

なんてことを考えながら細い山道を登り、愛鷹山荘の横を通る。
無人の小屋だが、夏場はカビ臭そうだ。
冬場は避難小屋として使えそうだが、もはや高齢者の儂は冬山登山で愛鷹山に登ることはあるまい。

Img_20240718_113915

愛鷹山荘からひと登りで稜線の富士見峠。
富士見峠とは言うものの、富士山がバーンと見えるわけではない。
北側の杉林の間から、チラチラ見える程度。

Img_20240718_114852

富士見峠からの稜線歩きは短く、急な登りになる。
駐車場でみた案内表示の「黒岳の自然杉群落」があるのはこのあたり。

Img_20240718_133831

登り切って平坦な尾根道になり、黒岳展望広場に到着。
ベンチがあるところから、富士山がよく見える。

Img_20240718_121137

ちょうど宝永火口のあたりに雲がかかっていた。
雲の下の草原はぐりんぱかな。
さらに手前下のほうには富士サファリパークの駐車場が見えた。

P7181012

ここから黒岳へは大したアップダウンもなく、快適な稜線歩きとなる。
ここまでの登りで汗だくになったので、ブナやイタヤカエデの林を抜ける風が心地よい。

P7181027

次の写真は、上の写真とほぼ同じ位置から撮ったものだが、OM-5 の HDR(ハイダイナミックレンジ)機能を使ったものだ。
露出の異なる4枚の写真を合成して明所のトビや暗所のツブレを防いでいる。
露出の異なる4枚の写真を連続して撮るので、三脚の使用が推奨されている。
今回モノポッドをトレッキングポール代わりとしたのは、このような撮影方法を試すためでもある。

P7181028

うーん、普通に撮った写真と、HDR 合成した写真と、どちらがよいだろう……。

さて、稜線の林床は薄く落ち葉に覆われている。
落ち葉の間からは、キノコや背の低い草本が顔を出している。

次の写真はゴマノハグサ科のヤマジオウ(山地黄)。

P7181017

12時30分、黒岳着。

山頂は芝生の広場になっていて、ベンチがふたつ置いてある。
芝生といっても、オオバコが多い。
登山者の靴に種子がついてきて広がったものだ。

山頂から北側には、大きく富士山が見えた。

Img_20240718_123136

本当の山頂は、広場の南側で、三角点(1086.5m)がある。

Img_20240718_122949

富士山を見ながら昼食。

広場のベンチは日当たりが良すぎて暑いので、木陰に荷物を広げた。

Img_20240718_124526

今回の昼飯はシーフードヌードルと菓子パン。
飲み物は、5月の自治会の清掃活動の際に配られたお茶のペットボトル。
調理用・飲用の水として、500mlのボトル2本を持っていった。
脱水症を恐れて水を多めに持っていったのは良かったが、汗もだいぶかいた(ガーゼてぬぐいがびしょ濡れになったので、ベンチに干してある)。

昼食を摂っているうちに、宝永山にかかっていた雲が移動し、宝永火口や六合目の山小屋がよく見えるようになった。

次の写真は HDR 合成したもの。
銀塩フィルムのポジっぽいかもね。

P7181022 

山頂の南側にはシカの踊り場があって、草がはげていた。

P7181024

シカはそこそこ多いようで、植生に影響を与えていると思う。
林床のササ類はかなり貧弱になり、日が当たる林床にはマツカゼソウ(ミカン科)やアセビ、ミツマタのような、シカが忌避する植物が群落を作っている。

P7181026

黒岳の山頂でゆっくりしていたら、4人の登山者が登ってきた。
高齢男性一人と高齢女性二人のグループと、高齢男性の単独行者である。

儂も高齢男性の単独行者だから、高齢者ばかりが5人、山頂に集結した形である。

東富士演習場で機関砲の射撃訓練が始まったようで、うるさくなってきた。
ドドドドン、ダダダダン、という感じでけっこう気に障る。
サファリパークからは音楽も聞こえてくる。
このあたりは人の生活圏から近い山の欠点かも。

4人の登山者に続いて、13時半頃、山頂を発った。

黒岳展望台までの稜線の林を、モノポッドにカメラを付けたままのんびり歩き、HDR 機能を試してみたりした。

P7181030

14時、富士見峠まで戻る。
ここから越前岳方面へ少し歩き、鋸岳展望台まで行こうかとも考えたのだが、足を持ち上げるのが少々辛くなってきたので、下山することにした。
越前岳方面への登山は、また次の機会としよう。

15時、山神社駐車場着。

この程度(標高差500m未満、歩行時間3時間程度)の「軽い山歩き」は体に無理がかからず、気分転換に適切かもなぁ。

| | コメント (0)

2024/06/15

つるべ落としの滝往復

昨日(6月14日)、梅雨入り前の最後の晴れ間かも、と思って愛鷹山に登った。

黒岳・越前岳方面へ、富士山を眺めに行こうかとも思ったが、朝、掃除をしているうちに、富士山と愛鷹山の間に雲が湧いてきたようだった。
そこで、つるべ落としの滝あたりで昼食を摂ることに目的を変更した。

10時ごろ水神社の駐車場に車を駐め、通い慣れた山道を辿った。
しかしまぁ、昨年あたりから道が荒れている。
降れば大雨なので、崖が崩れたり、植林木が倒れたりしているのだ。

そして、沢に水がない。
水神社から「龍のウロコ」と呼ばれる侵食された節理のあたりまでは流れていたが、「千畳岩」や池の平分岐の小滝などは、カラカラだった。
愛鷹山は火山なので、雨量が少ないとき、沢は伏流水になってしまうのだ。

つるべ落としの滝もてんで迫力なし。
滝壺も干上がりかけていて、別名の「幻の滝」になりかけの状態だった。

P6140973

動画のほうがわかりやすいかも。
近くでミソサザイが鳴いている。

5月10日に登ったときには、滝の音がうるさいので、ここで昼食を摂るのを諦めたくらいだったのに。

今回は滝のすぐ近くの大きな岩の上で湯を沸かし、カップラーメンを食べた。

Img_20240614_121809

40年近く使ってきたキャンピングガスのポケットコンロは引退となったので、今回が SOTO ST-350 の山デビュー。
思ったより湯が早く沸いたので、ドリップコーヒーも淹れて飲んだ。

Img_20240614_121416

滝の音を聞きながら、木漏れ日の下、湯を沸かし、カップラーメンを食い、シェラカップでコーヒーを飲む。
眼の前の枝にオオルリの夫婦がやってきたり、ミスジチョウが近くを舞っていたり。

こういうことをやりたくて、ヒーヒー言いながら登ってきたわけである。

やめられないね。これは。
またひと月も経たないうちにソワソワするのだろうが、それまでに梅雨は明けているだろうか?

今回も熊鈴を鳴らしながら歩いたのだが、ニホンジカに遭遇した(なんか視線を感じたのでそっちを見ると、目が合った)。
カッコウとホトトギス、それにツツドリとジュウイチも鳴いていて、カッコウの仲間すべて一同に会しているかのようだった。
通い慣れている山でも、毎回おもしろいもの(こと)を見つける。
これもやめられない理由のひとつだ。

最後にクイズ。
次の写真は、何を撮ったものでしょう?

P6140975

答えは、沢の水面に写った樹冠。
よく見ると、水底の石がわかる。

次の動画では、沢の岸辺を見ている状態からカメラを下へ振っていって、足元(橋の下)の沢に映る樹冠が見えるようになるまでを示しているので、状況がわかるかな?

| | コメント (0)

2024/06/13

梅雨入り前の晴れ間の活動など

昨日(6月12日)、よく晴れた昼食後、洗濯物を取り込んでからカミさんと西伊豆スカイラインに出かけた。

カミさんはめまいなどの不安のため急な山道を歩けない。
そこで、開けた穏やかな稜線歩きのルートを求めて、下見したかったのである。

昨年10月に達磨山高原レストハウスから金冠山付近を歩いたが、割と起伏がある割に展望がなかった。
今回は、戸田峠から小達磨山や達磨山付近の稜線と、その起点・終点とする駐車場を探った。

修善寺から達磨山高原を経て戸田峠へ。
峠の駐車場に車を駐めて、小達磨山へと続く稜線に上がると駿河湾が見えた。
手前には戸田港、向かいには三保の松原が望めた。

Img_20240612_151923

小達磨山付近の稜線の道は穏やかな笹原の中のアップダウンで、快適に歩けそうだった。
ただし、夏は暑そうだし、草の露で濡れそうである。
秋から冬、冬から春にかけてが適当かもしれない。

駐車場も複数あったが、達磨山の南側で登山道と接しているあたりがよさそうだ。

帰路は戸田峠から北へ、沼津市民の森キャンプ場の横を通って西浦へと下ったが、なかなか暗くて淋しい林道だった。

今日(6月13日)、午前中は曇りだったので庭の手入れ。
昼過ぎには少し雨が降ったりしたが、昼寝しているうちに晴れてきた。

ということで散歩。

ムクドリが騒いでいるのでなんだろうと思ったら、チョウゲンボウが飛んできて、電線にとまった。

P61309502

しばらくするとカラスまでやってきて騒ぎ出したので、チョウゲンボウは飛び立ち、カラスに追われるようにして工業団地の向こうへ消えた。

P61309532

門池公園のネムノキが花盛りだった。
例年、この時期には梅雨入りしているため、ネムノキの花を青空を背景に撮る機会は珍しいように思う。

P6130957

ネムノキはマメ科の木本だが、花はまったくマメ科っぽくない。
マメ科の花は、木本であってもフジのように、おおむね蝶状花なのだが。

P6130958

もっとも、花のあと、果実になるとまるきり「豆」なので、妙に納得してしまうのだが。
と書いたものの、ネムノキの果実の写真はありません。すみません。

| | コメント (0)

2024/06/06

さらばキャンピングガス

6月に入ったが、まだ梅雨入りしていない。
といっても、一日中晴天というわけでもなく、山には雲がかかっていたりするので山歩きに行く気にもならない。

……ということで、昼前に庭の手入れをする。
だがその前に、庭でコーヒーを飲む。

カツラの木陰にキャンピングチェアを置き、登山用のガスストーブ(コンロ、バーナー)で湯を沸かす。
コーヒーは、パックに入ったものをドリップする。

Img_20240605_104243

そんなことを二日続けて、昨日、手持ちのカートリッジのガスをすべて使い切った。

このガスストーブは、フランスのキャンピングガス(CampingGaz)社の軽量タイプの「ポケットコンロ」で、1986年か1987年に買ったものだ。
37年または38年前の代物である。

もちろん、昨日使い切ったガスカートリッジはその後買い足したものだが、それでも20年以上前のものである。
カートリッジの寿命は10年くらいで、スチールの本体が錆びたり、パッキングのゴムが劣化したりしてガスが漏れる危険があるそうだ。
ガスを使い切ることも、わざわざ庭で湯を沸かした理由の一つだ(最大の理由はもちろん、気分の問題である)。

ポケットコンロを買った当時、登山用のガスストーブはキャンピングガスかイギリスの EPIgas の二択だった。
キャンピングガスのほうが小型軽量だったので、こちらを選択した。

山に登り始めた大学生のとき、最初に買ったストーブは、スウェーデン製のオプティマス00だった。
ケロシン(石油)ストーブなので組み立てとプレヒートに時間がかかる上に重かったので、就職してからガソリンストーブに買い替えた。

MSR(アメリカ製)のガソリンストーブは燃料ボトルをそのまま使えるが、やはり組み立てに時間がかかるし、プレヒートが必要である。
そこで、簡便なストーブが欲しくなって買ったのがポケットコンロだった。

カミさん用にも1台買って2台体制にして、山歩きやクロスカントリースキーの際にお茶を沸かしたり、食事を作ったりした。
冬には寒冷地用のガスカートリッジを使い、丸い風防を付けた。

ランタンも買った(キャンピングガスと EPI はカートリッジに互換性がないので、キャンピングガス製品を買うしかなかった)。
ちなみに、ガラス系の火屋(ほや)を割ってしまったので、ほぼ同じサイズのプリムス社(スウェーデン)の火屋を買ってはめてある。

Img_20240605_111926

……ということでキャンピングガス製品を長年愛用していたが、いつの間にかガスカートリッジの規格が変わっていて、ポケットコンロやランタンに使えなくなってしまった。

そもそもガスカートリッジの国内での取り扱いがなくなってしまった(在庫限り)。
キャンピングガス製品はいつからかコールマンが取り扱っていたが、終了した。
コールマン「キャンピングガス取り扱い終了のお知らせ

……ということで、手持ちのガスカートリッジのガスを使い切った昨日の時点で、キャンピングガスとはさよならすることとなった。

後継として、SOTO の ST-350 を購入した。
初めての国産(日本製)である。

Img_20240529_162145

まだ試運転中で、山歩きにはデビューしていない。

| | コメント (0)

2024/05/28

フォッサマグナ西端を行く

先週の旅はフォッサマグナの西の端を、南側(太平洋側)三分の二くらいの部分を往復するものだった。
糸魚川静岡構造線に沿って移動したわけではないので、フォッサマグナの本当の西の端というわけではない。

Sketch1716792551486

ウチの近所の箱根愛鷹の火山群を後に、中部横断自動車道(E52)を富士川沿いに北上する。
富士川は下流域が極端に短く、遡ると山間で上流の様相になり、甲府盆地では中流の様相になるという妙な川である。
中部横断自動車道からは、東側(右)の天子山塊の稜線の上に、ときおり富士山が見える。

いま見えている富士山は、2万年前に噴火を開始した比較的若い山である。
1200年前の貞観噴火では青木ヶ原溶岩原が形成されたし、300年前の宝永噴火では大きな火口ができて、関東に火山灰が降り注いだ。

中部横断自動車道が中央道に接続する双葉JCTに近づくと、西(左)に南アルプスの山々、北に八ヶ岳が見える。
南アルプスはまさにフォッサマグナの西端で、逆断層の隆起した側である。
隆起した高さは2000メートルを超えるが、断層そのものはさらに下に6000メートルくらい続いているらしい。

逆断層の隆起しなかった側は、甲府盆地や関東平野含み、日本海から太平洋に至る広大な地溝帯になっている。
八ヶ岳はその地溝帯の中に出現した火山だ。
山頂部が噴火の際に吹き飛んでいるため標高は3000メートルに満たないが、もし吹き飛ばなければ富士山よりも高かったと考えられる、巨大な火山である。

中央道から降りて八ヶ岳の東側の山麓を北上する。
右側(東側)の山並みは、奥秩父山地へと続く。
奥秩父山地は火山ではない。
フィリピン海プレートに載っていた海底堆積物が、地溝帯の上に押し上げられて隆起した「付加体」である。
海底火山に由来する花崗岩だったり、砂岩や泥岩だったり、サンゴ礁由来の石灰岩だったり、変成岩だったり、さまざまな地質のごちゃ混ぜの山々である。
実際に山を歩いてみると、ごちゃ混ぜの地質であることを実感できる。

北八ヶ岳の登り口(麦草峠へ至る道)のあたりから、中部横断自動車道(E52)の無料区間に入る。
右側(東)に妙義荒船山系の特異な稜線が見える。
これらの山々は巨大なカルデラの火口部分らしいが、詳しく調べていないのでわからない。
というか、そのうち登ってやろうと思っているうちに40年経ってしまい、いつ登ることができることやら。

やがて前方(北)に浅間山が見える。
言うまでもなく、活発に活動中の活火山であり、山頂付近は現在も立入禁止である。

こうしてみると、巨大な地殻変動の結果生じた地形を実感する旅でもあった。
プレート運動は不断に続き、それに伴って断層や土地の隆起が生じる(断層のズレは2000メートルを超える……)。
海洋プレートの上の海底堆積物は、陸のプレートの上に押し上げられて付加体となる(盛り上がった高さは2000メートルを超える……)。
地下に潜り込んで融けたプレートがマグマとなり、地上に噴出して火山となる(積み上がる噴出物の高さは2000メートルを超える……)。

このような地殻変動に思い至ると、大規模な建設物は大丈夫なのかと心配になる。
長いトンネルを通っているとき、高い橋梁を通っているとき、いま大地震があったら命がないかもなぁ、などと思う。

それにしても、フォッサマグナ西端の大断層を突っ切るトンネルを掘って、そこに時速500キロの列車を通そうなんていうのは、ちょっと正気の沙汰ではないような気がするなぁ。

| | コメント (0)

2024/05/27

キャンプ場で焚き火三昧してきた

23日(木)に松原湖高原オートキャンプ場(長野県南佐久郡小海町)に泊まり、焚き火三昧してきた。

次の写真は翌朝(24日)の撤収時のものだが、車3台の間に3台の焚き火台を置き、各自てんでに火を起こし、煮炊きをした。

Img_20240524_0701432

このキャンプ場は、とにかくトイレが綺麗だった。
水洗で、ウォシュレット付き。
お蔭でとても快適に過ごせた(腹具合がイマイチだったので助かった)。

Img_20240524_0702042

温泉施設もあって、キャンプ場利用者は400円(300円引き)で温泉に入れた。

閑散期の平日なので、キャンプ場の料金も車1台2000円で、テント1張1500円だった。
儂はテント代をケチって車中泊とした(ケチったテント代で、帰路に道の駅しらねでさくらんぼを買って家族への土産とした)。

スズキ・ハスラーで初の車中泊だったが、トヨタ・ランドクルーザー・プラドと同様に足を伸ばして寝ることができた(もちろん、多少窮屈さはあるが)。

さて、そもそもは例年カモシカの観察をしていた仲間から、ハヤブサを見に行かないかと誘われたのが19日(日)。
ハヤブサの観察場所はここには書かない(ハヤブサと近隣住民の迷惑になるから)。

Google マップでは自宅から3時間少々で行けるということだったが、実際には5時間かかった。
時間がかかったのは、儂の体調と経路の問題である。
腹具合がイマイチで、高齢者のためすぐに尿意を催すので、パーキングエリアごとにトイレを利用する必要があったのだ。

富士山を迂回して山梨・長野方面へ向かうルートはいくつかあるが、今回は新しくできた中部横断自動車道を利用した。
自宅から新東名高速道路で西に向かい、新清水ジャンクションで中部横断自動車道に入って、富士川沿いに山梨・長野方面に向かったのである。

ところが、中部横断自動車道には、パーキングエリアがないのだ。
いったんインターチェンジから下道に降りて、近くの道の駅を利用する必要があった。

そのため、時間のロスが大きくなってしまった。
健康でトイレが近くなければ、問題ないのだろうが……。

パンデミックが始まってからは遠出を控えていたので(まだパンデミックが終息したわけでは無いが)、久々のロングドライブであった。
……疲れた。
もはやロングドライブを楽しむ年齢ではないのかもしれない。

しかし、久々の焚き火は楽しかった。
剪定した庭木の枝を一冬乾かしたものを持って行ったのだが、これがよく燃えて気持ちが良かった。

焚き火を囲んで(鳥の目付きとかカメラのマニュアル操作とかいった)しょうもない話をだらだらしたのも楽しかった。

ロングドライブせずに焚き火を楽しめるところを探して、仲間を招待しようかなぁ。

| | コメント (0)

より以前の記事一覧