玄関先のムラサキホコリ
自動車で通勤しているとき、3台の車を駐めるため、玄関先に駐車スペースを作った。
枕木を埋め、隙間に芝を植えた。
退職後は車を駐めることはないが、枕木の隙間に勝手にカタバミが生えたり、タイムを植えたりしたので、ちょっとした前庭のようになっている。
9月28日土曜日の朝、その枕木の上に黒っぽい塊があるのを見つけた。
猫かなにかのフンかなぁ、と思ったが、よくよく見ると筋状の構造がある。
変形菌(真正粘菌)のムラサキホコリである。
細長い胞子体が束になったもので、胞子体の付け根には柄があり、枕木の表面に固着している。
胞子体は束になっているが倒れていて、チューブから絞り出した絵の具か何かのようだ。
上の写真が午前7時48分、下の写真が午前11時33分に撮ったもので、この4時間の間に紫色がかった黒色から、焦げ茶色に変化している。
胞子の放出が始まったのだ。
翌日(29日)の朝には胞子を放出しきって、胞子体は抜け殻のようになっていた。
半世紀前、神社の切り株の上で初めて変形菌(粘菌)の胞子体を見つけたときに図鑑で調べたら、「ムラサキホコリカビ」という名前で載っていた。
現在は、変形菌はカビ(真菌)とはまったく異なるグループであることから「ムラサキホコリ」と呼ぶようだ。
変形菌は落ち葉や枯れ枝、土(土壌)のあるところには、どこでもいる。
山の中で大キジを撃っていて、眼の前の朽ちた木の枝に、黄色いモジホコリの変形体を見つけたこともある。
自宅の庭や玄関先でも、成長中の変形体かな?と思わせるシミのようなものや、胞子を放出し終えた残骸を見たことがあるが、移動する変形体やできたばかりの胞子体を見たことはなかった。
ようやく自宅で「できたて」の胞子体を見つけることができた。
まぁ、胞子を広範囲に飛ばせるような開けた場所に、変形菌が出てきてくれたから、見つけることができたわけだが。
しかし、見つけたら見つけたで、より拡大して記録できるように、マクロレンズが欲しいなぁ、などと思ってしまう。
現在使用中の標準ズームレンズ(14‐150mm、35mm換算で28-300mm)では、やはり限界を感じるのだ。
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