紫金山・アトラス彗星を見た
本日(10月20日)18時過ぎ、沼津市の自宅二階のベランダから紫金山・アトラス彗星を見た。
日没から約1時間後の西の空、金星の右斜め上、地平線から30度くらいのところに見えるという情報を元に、双眼鏡で探したところ、へびつかい座ラムダ星のすぐ右にぼんやりとした光を発見。
プロミナー(ネイチャースコープ/地上望遠鏡)で確認したところ、太陽と反対の方向(左上)に尾を引いているようすが確認できた。
カミさんとムスメたちも見たが、残念ながら「長大な尾を引く明るいほうき星」ではなく「なんだか恒星や惑星ではないぼんやりした天体」としてしか観察することができなかった。
さて、OM-5 は星空を撮影するのに適したカメラらしいのだが、まだそこまで使いこなしていない。
うまく撮る自信がないので、とりあえず「星空AF」で星にピントが合うようにして、広角の14mm(35mm換算で28mm相当)を西の空に向けた。
絞り優先オートで F4(開放)、1/4秒、ISO6400 である。
画面上方の明るい線は、ウチの雨樋に反射した街灯の光で、星の光は拡大しないと見えない。
画面下方の影は隣家とその庭木で、金星は庭木の陰に隠れてしまっている。
画面中央やや上をトリミングして拡大すると、次のような具合。
左側の光がへびつかい座ラムダ星、黄色い丸の中のぼんやりした光が紫金山・アトラス彗星である。
もう少し狙いを定めて望遠で撮るとか、多重露光で明るくするとか、工夫の余地はあるのだが、何しろ昨日から10℃くらい気温が下がって寒くなったので撤収した。
紫金山・アトラス彗星の軌道は、双曲線だそうだ。
ハレー彗星のように何年か(何十年か何百年か)ごとに回帰する彗星の軌道は楕円で、太陽の近くをぐるっと回ってまた戻ってくる。
双曲線軌道を描く彗星は、生まれ故郷の太陽系外縁部(オールトの雲)から太陽の引力に引かれて落ちてきて、太陽の近く(つまり地球の近く)を通って、そのまま太陽から遠ざかり、太陽系から出ていく。
つまり、儂ら地球上の人類が紫金山・アトラス彗星を目にするのは、今回が最初で最後なのである。
紫金山・アトラス彗星は9月24日に近日点を通過し、現在太陽から遠ざかりつつある。
太陽から遠ざかるにつれて彗星本体(核)は冷えて、放出されるガスや塵も減っていく。
今月末には確認するのが難しくなるだろう。
去っていく紫金山・アトラス彗星を、今月中にもう一度見られるだろうか。
(補足)
「地球上の人類が紫金山・アトラス彗星を目にするのは、今回が最初で最後なのである」と書いたが、これは誤りかもしれない。
紫金山・アトラス彗星は長周期型彗星で、過去に何回か太陽に(したがって地球に)接近していた可能性があり、前回は8万年前だったという記事も見られる。
8万年前だとすると、現生人類(ホモ・サピエンス)がアフリカから拡散を始めたころで、まもなく最終氷期(ヴュルム氷期)になる。
アフリカとヨーロッパには人類はいただろうが、当時の日本列島(富士山が噴火を開始したころ)には、人類は住んでいない(4万年前に到達したらしい)。
そして、国立天文台の解説によると、紫金山・アトラス彗星は今回の太陽への接近で軌道が変化し、太陽系から去っていくそうだ。
したがって「日本列島に住む人類が紫金山・アトラス彗星を目にするのは、今回が最初で最後なのである」と言えば、間違いではなくなるね。
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