『三体Ⅲ 死神永生』と『サイレント・ランニング』
『三体Ⅲ 死神永生』をKindleで読み終えたとき、まず思ったのは「えっ、ここで終わりか?」ということだった。
『三体』では数十年、『三体Ⅱ 黒暗森林』では数百年だった作中の年代が、『三体Ⅲ 死神永生』では一千万年を超えて、ひょっとしたらこのまま、ポール・アンダーソンの『タウ・ゼロ』のように宇宙の終わりと再生まで行くのか?と思ったのだが。
紙の書籍なら残りページ数がわかりやすい。もうじき終わりだなぁということが、文字通り体感的にわかる。しかし、ここが電子書籍の弱点で、唐突に最終ページが来たように感じたのだ。
以下、『三体Ⅲ 死神永生』をまだ読んでいない人は、ご注意いただきたい。
ページを閉じたとき、じゃなくてKindleのスイッチを切ったとき、思い浮かべたのは映画『サイレント・ランニング』のエンディングだった。宇宙船から切り離され、宇宙を漂うドームを描いた、あのシーンである。こんな感じだったかな。
(背景画像 © NASA/JPL-Caltech/University of Wisconshin)
『三体Ⅲ 死神永生』では、主人公たちが退場した宇宙を、直径50cmの生態球(エコスフィア)が漂う。
このラストシーンこそ物寂しくもちょっとした希望を感じさせるが、そこへ至るまでがすさまじい。何しろ、人類の大部分は太陽系ごと葬り去られているのだ。
人類とか宇宙とか、この先どうなるとか、どんなことがあり得るのかとか、アレコレ考えさせてくれる、という点で、いろいろ楽しませてくれたSFである。
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