2023/11/21

生物学と物理学の埋まらない溝

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唐突に2020年4月(COVID-19パンデミックの始まりのころ)の写真を載せた。
こんを連れて沼津千本浜公園に言ったときのものである。
ここでの主題は、こんではない。

千本浜公園には、その名の通りたくさんの松が植えられて、防風林になっている。
そのアカマツの樹皮に注目する。

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樹皮の模様は、幹が太くなるときに裂けた表皮がコルク化したものである。
裂け目をよく見ると、縦に長い六角形や方形のように見える。
方向性と周期性があるので、何らかの物理的法則があるのだろうと思われる。

このような樹皮の模様は、アカマツだけでなくクヌギやコナラなどでも見られる。
サクラやシラカバの樹皮は、横方向(水平方向)に裂けている。
一方、プラタナスやサルスベリのように、古い樹皮が剥がれ落ちて新しいすべすべの樹皮ができ続けるので、裂け目ができないものもある。

植物は、単なる物理的最適解を採用しているわけではないのだ。
生物の形態や生態には、必ず進化、つまり現在に至るまでの「歴史」が関係している。

3年半前の写真を持ち出したのは、『キリンの斑論争と寺田寅彦(岩波科学ライブラリー)』を読んで、その中に掲載されていたメロンの縞模様の写真を見たとき、樹皮にも似たような模様があったなぁと思い出したからだ。

以下、Amazon の『キリンの斑論争と寺田寅彦 』のリード文を引用する。

キリンの斑模様は何かの割れ目と考えることができるのではないか.そんな論説を物理学者が雑誌『科学』に寄稿したことに生物学者が危険な発想と反論したことから始まった有名な論争の顛末は? 現在の科学から論争の意味と意義を評価する.主導的な役割を果たした寺田寅彦の科学者としての視点の斬新さ・先駆性が浮かび上がる.

なぜか、生物学者と物理学者は仲が悪い。
生物学者は「物理学者は生物学的現象を単純に考えすぎる、生物はもっと複雑で能動的なものだ」と言い、物理学者は「生物学者は複雑な現象を複雑なまま扱おうとして失敗し、生命の神秘に逃げようとする」と言う。

そういえば儂も若いころ、物理学出身の人に「生物学は複雑すぎて嫌。だいたい、生物は種類が多すぎるし、相互の関係が入り込みすぎてる」と言われたこともある。
生物学徒としては、多様性と関係性が面白いんだけどね。

また、塾の夏期講習で教えているとき、同僚の物理学修士に「僕はビッグバンから1秒後より後のできごとには興味ないんですよ」と言われた。
いやぁ、生物はその、興味ないところに全歴史があるのですが。

まぁこの人は、「理科で摩擦力とか表面張力とか遠心力とか抗力とか、いろいろな力を持ち出すのはいかがなものか。自然界の力は強い力、弱い力、電磁力、重力の四つしかないのに」と面白いことを言っていたが。
まぁどんな力も還元すれば四つの力のどれかだけど、強い力と弱い力は原子核レベルでしか働かない核力だから、普段(マクロなスケールで)見かける力は電磁力か重力のどちらかになってしまう。
突き詰めれば電磁力になってしまうとはいえ、やっぱり摩擦力と表面張力とファンデルワールス力は区別したいよねぇ。
ハエとかナメクジとかヤモリが垂直な壁を歩くときのことを考えるときなんかに……。

ということで、若いころには生物学と物理学の間には、埋めがたいギャップがあるのかもなぁと思ったものである、

しかし現在(というか1980年代以降?)単純な物理法則と生物の生理生態とのギャップを、複雑系の科学、カオス学が埋められるのではないかと期待されている。
キリンやヒョウの毛皮や、サバの背中のような模様については、チューリング理論により説明できそうである。
ちなみにチューリング理論のチューリングは、チューリングマシンやチューリングテストを考案し、エニグマの暗号を解読した、あのチューリングである(ベネディクト・カンバーバッチがチューリングを演じた映画『イミテーション・ゲーム』は必見である)。

寺田寅彦の随筆を読むと、自然界に見られる縞模様や金平糖の角の配置、市電の混み方と運行遅延など、カオス学を先取りしたような論考が見られる(青空文庫で読むことができる)。
寺田寅彦が複雑系やコンピュータシミュレーションを知っていたら、面白い研究をしただろうに、と思う。

以前、動物の縄張りの分布の解析などに使われるボロノイ分割と、溶岩が固まってできた柱状節理や木々の枝の張り方が似ているなぁと思って「ボロノイ分割、柱状節理、林冠のすき間」という記事を書いたことがある。
儂のような科学のシロウトとしては、寺田寅彦のような鋭い観察・考察はできないまでも、身の回りの不思議なことに気づくだけの感性を持ち続けたいと思うのだ。

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2023/11/18

毒!

愛鷹山に登ったとき、山頂直下のブナ林の中で、美味しそうなキノコを見つけた。

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ヌメリスギタケだと思うが、オオワライタケなどの毒キノコも似たような外見をしているので、採らなかった。
そもそも、静岡県では野生のキノコは採取禁止である(山伏峠のツキヨタケの話にも書いたなぁ)。

これまでにアイタケやチチタケ、ホコリタケのように間違えようのないキノコは、山で採って食べたことがある。
しかし、多くの食用のキノコは、毒キノコとの区別が難しい。
素人判断は危険である。

キノコというものは菌類の胞子体だから、胞子を放出する前に虫や獣に食われてしまっては、繁殖することができない。
そこで毒物を生成することで、食われることを防いでいるのだろう。

毒物が体内に入ったことを検知すると、嘔吐や下痢によって早く排出しようとするスイッチが入る。
車酔いやめまい、過度なストレスによって吐き気を催すのは、自律神経の乱れを「毒物を摂取した」と脳が勘違いし、毒物排出機能のスイッチが入るかららしい(ナゾロジー https://nazology.net/archives/137114 )。

国会の審議を経ずに何でも勝手に決めてしまう政府や、不条理な侵略を行う国家に対して吐き気を催すのも、毒物に対する拒否感によるもの……なのだろうか。

それはさておき、キノコの毒による身体症状は、嘔吐や下痢の他に呼吸困難などさまざまだ。
一番すごいのがカエンタケで、触っただけで皮膚炎になるという。

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秋の山では、キノコだけでなく、草や木の果実にも有毒のものがあるので注意が必要だ。
林道の脇のマムシグサ(サトイモ科テンナンショウ属)が、赤い果実をつけていた。

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いかにも食べられそうな外見だが、有毒である。
ちなみに「マムシ」という名前の由来は有毒だからではなく、茎のように見える部分にマムシのような模様があるからだ。

4月13日に愛鷹山の林道を歩いたときには、特徴的な花が咲いていた。

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じつは先週から舌の裏側にできた口内炎に苦しめられている。
そこで持病(高脂血症)の診察の際に漢方薬を処方してもらった。
「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」という名前を見て、半夏って聞いたことあるなぁと思って調べたところ、カラスビシャクだった。
サトイモ科ハンゲ属の植物で、畑の雑草として生えてくることもある。
カラスビシャクの塊茎も有毒だが、毒抜きをして有用成分だけを残して生薬として用いている。

毒は薬にもなる、というわけではなく、毒草はさまざまな化合物を作るので、その中には薬として使えるものもある、と考えたほうがよいだろう。

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2023/11/02

愛鷹連峰愛鷹山に登る

昨日(11月1日)午前9時半に家を出て、水神社に車を駐め、愛鷹山まで往復してきた(16時半に帰着)。

水神社に車を留めて林道を歩くのは今年三回目で、一回目は山桜を見て歩いたとき(4月13日)、二回目は位牌岳の手前まで登ったとき(5月10日)である。
次の写真は位牌岳方面への登り口に当たる「つるべ落としの滝ハイキングコース入口」で、このあたりはあまり紅葉していないように見える。

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ちなみに、各地でクマが出没して被害が出ているため、愛鷹山に紅葉を見に行くと言ったらカミさんにだいぶ心配された。
そこでザックに熊鈴をぶら下げ、シェラカップがポットに当たるようにして、チリンチリン、カンカンと音を立てて歩いた。

林道の整備工事中で林野庁の作業者が入っていたり、有害鳥獣駆除(シカ)を行っていたりして、その警告の看板を見たが、「熊出没注意」はなかった。
代わりに「カエンタケ注意」の表示が林道のゲートに掛かっていた。

林道沿いにはリンドウやセキヤノアキチョウジ、ノジギク、マツカゼソウ(次の写真)などが咲いていた。

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マツカゼソウはミカン科としては珍しい草本で、たおやかだがしたたかな感じがして好きなのだ。
林床で、陽の当たるところに咲いている。

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林道の脇のマツカゼソウを撮っていたら、上から小石が降ってきた。
「なんだ?」と声を上げたら、崖の上でシカが「ピャッ」と鳴いた。

ちなみに別のところでもう一回シカに石を落とされた。
クマに遭遇し被害を受けることはなかったが、シカに遭遇し被害を受けかけたわけである。

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林道を歩いていくと、次第に紅葉・黄葉が増えてくる。

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5月にヒーヒー言いながら下った、位牌岳から池の平展望台に至る尾根の斜面も色付いていた。

一服峠への登り口(ここへは4月に下見に来た)を過ぎ、柳沢橋の手前から伐開地を登る。
よく晴れて暑いので、ウインドブレーカーを脱いでTシャツになる。

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伐開地の防鹿柵沿いの広い道を登り、振り返ると箱根の山並みを望むことができる。
箱根の手前の町並みは三島市と長泉町のあたりだろう。

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この伐開地を抜けて行く道は、安山岩の板状節理の平たい石だらけで、半ば石畳のようになっている。
この石は林道沿いにもいっぱいあって、林道脇の大きな板状節理の露頭から剥がれ落ちたものだった。

この伐開地の石も、一部は板状節理の露頭から剥がれたものだろうが、大半は土(火山灰に由来するもの)に埋まっていたもののようだ。

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なぜ板状節理に由来する石が、火山灰の中に埋まっているのか?

おそらく、このあたりは火砕流か山体崩壊に伴う土石流の跡なのだろう。
もっと高いところにあった板状節理(つまり冷えたマグマだまりか火道)が、噴火か山体崩壊によって崩れて火山灰とごちゃまぜになったのだ。

なんというか、こういうぐちゃぐちゃな地質から成る日本列島で、原発を稼働させたり核のゴミを埋めたりするのは間違っていると思うぞ。

標高1000mを超えるあたりまで、ヒノキ林と、ヒノキ林に挟まれた雑木林の中を行く。
道は枯れ沢をトラバースしたり、ヒノキの根っこを踏んで歩いたり、火山灰の赤土でずるずる滑ったり。

高齢者にとっては楽な道ではない。
それなのに、同年輩と思しき登山者二人にあった。
一人はトレールランニングのようだったし、もう一人はトレッキングポールも使わずに赤土の斜面を降りてきた。

うーむ、負けてられないなぁ、と一踏ん張りして稜線の鞍部に登る。

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風が吹き抜けて涼しいが、少しシカ臭い。
この鞍部の草原はシカがササやスゲを食べることで維持しているようで、あちこちに踊り場(休息場所)やヌタ場(泥浴びをするところ)があった。

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ブナ林とササの組み合わせは丹沢と似ているが、ブナ林にヒメシャラの大木がけっこう混ざっているところがちょっと違う。
上の写真の大木の左側がブナ、右側がヒメシャラで、どちらも葉を散らせている。
ちなみにヒメシャラは伊豆半島に多く見られる。

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南側は愛鷹山本体で塞がれているので沼津市方面は見えないが、西側の富士市や駿河湾が望めた。
南アルプスも見えるはずだが、雲の中でよくわからなかった。

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鞍部から愛鷹山山頂まで10分の急登だが、途中から富士山が見えるようになる。

富士山の右側には位牌岳、富士山の右下に越前岳も見える。

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12時50分、愛鷹山山頂(1188m)に到着。
山頂からも北側の展望があり富士山が望めたが、東側・南側・西側の展望はない。

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ウクライナのクラッカーとペンシルカルバス、チーズかまぼこの昼食。
たったひとり、富士山を眺めながらの贅沢で簡素な昼食。
ちなみに飲み物はポットの中の氷水(沼津の水道水だから水源が柿田川なので、富士山の水)。

山頂の狭い草地には、キタテハが舞い、ハナアブが右往左往していた。
ズボンにダニが付いていたので、指で弾いて飛ばした。

食べながら下山ルートを検討する。
南へ下ることも考えたが、林道を延々と歩くのも辛そうなので、来た道を戻ることにした。
来た道もけっこう辛かったが。

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山頂から鞍部へ下ってしまえば、遮るもののない景色も見納めである。
位牌岳から池の平展望台に至る稜線を見ていたら、遠くに見覚えのある山並みが。

若い頃に毎月のように通っていた丹沢である。
もう30年以上前……いや、40年も前になるのか。
たかだか5〜6時間の山行でヘトヘト、ガタガタになるのも当たり前か。

愛鷹山から位牌岳への稜線も歩いてみたいと思っていたが、考え直したほうが良いかもなぁ。

 

 

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2023/10/26

箱根山伏峠付近散策

11月24日(火)の午後、洗濯物と布団を取り込んでカミさんと出かけた。本格的な山歩きではなく、自動車道沿いの散策路をちょっと歩いた程度であるが。

伊豆縦貫道から国道1号を登って箱根峠から芦ノ湖スカイラインで山伏峠へ。ウチから40分ほどで無料駐車場へ到着。芦ノ湖スカイライン通行料片道800円也。

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山伏峠のレストハウス(というか峠の茶屋?)の裏手の道標に従い、芦ノ湖側の林の中に入っていく。

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山道はブナやヒメシャラの林の中をトラバースするように続いていて、途中で「山伏峠」と書かれた標識の横を通る。

落石注意の看板があり、多少のアップダウンもあるが、登山靴を履いていれば問題なく歩ける道である。林の木々の間から芦ノ湖が望める。

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大きなキノコがいっぱいあったが、もちろん採らない。まず国立公園内だから採取禁止だし、毒キノコかもしれない(どうもツキヨタケくさい)。それに、静岡県では野生のキノコは採取禁止である。

静岡県で採取禁止の理由は放射性セシウムが検出されるからである。この地点は神奈川県かもしれないが、放射性降下物に県境はない。

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散策路はスカイラインに近づいたり離れたりするが、稜線近くではちょっとした展望がある。

杓子峠付近を通り、山伏峠から三国山へ至るルートの半分ほどのところで引き返すことにした。暗くなる前に帰宅したかったし、途中から両脇のススキやササのために山道が狭くなり、ダニにたかられるおそれもあったからだ。

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散策路の脇にはシカの踊り場があった。糞や足跡もあちこちにあり、三国山の芦ノ湖側の斜面でオスジカのラブコールも聞いた。

山伏峠のドライブインまで戻り、展望台に登った。

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奥は伊豆半島、その手前は沼津アルプス。

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愛鷹山と富士山。

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沼津市街越しの駿河湾。夕陽の反射で輝いているあたりは三保と清水港。

ちなみにその奥の水平線近くには、80km先の御前崎が見えている。計算によれば、標高1035mの山伏峠からなら、100kmくらいまで見えるはずだ。山へ登ると地球が丸いことがよくわかるなぁ。

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2023/10/23

哀しいほどの青空の日に

このところ空が青く晴れて布団を干したりするのだが、どうも気分が晴れない。人道危機やら戦争やら、世界は危機的状況だし(こんな21世紀になるとは思ってなかったよ)、体調はイマイチで目眩がしたりするし。

気晴らししようと散歩に出れば、調子に乗って歩き過ぎて膝が痛くなるし、他所の犬と遊んだら後で哀しくなるし。

……ということで庭に出てみる。

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庭の芝生をもう一回刈ったほうがよいだろうかと考えて、よく見ると具合の良い「すげふ」になっているところがある。上の写真で、手前のイヌタデ(あかまんま)の花のあたりから奥のカツラの影のあたりまで、茶色い「ぽんぽん」のような花穂が見えるところが、背丈の低いヒメクグの群落である。

裸足になって踏んでみると、高麗芝のようにツンツンせず、柔らかく湿っぽいので気持ちが良い。座り込んでぼーっと庭の奥を見ていると、こんが茂みの中から出てきそうな気がする。こんが生きていたら、喜んで「すげふ」に寝転んだだろうかなどと考えると涙が出てくる。

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さて、先日ウラナミシジミのメスが来たと書いたが、今度はオスが来た。先日はこの写真の植物をヤナギハナガサと書いたが、どうもダキバアレチハナガサ(抱葉荒地花笠)のようだ。花穂が長く、花が小さく、対生する葉の付け根が茎を抱いているように見える。

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このオスの個体は30分ほどかけてダキバアレチハナガサの小さな花から花へと移動して吸蜜し、どこかへ飛び立っていった。蜜で腹を一杯にして、メスを探しに行ったのだろうか。ウラナミシジミの食草はマメ科植物なので、ウチにはない。隣家にフジがあるので、そこへ行くのかなぁ。

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2023/10/06

秋の訪れ

つい先日まで連日の真夏日だったのに、急に秋らしくなった。

富士山も昨日(10月5日)に初冠雪。

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午前中は雲に隠れて見えなかったので、夕方の散歩の折に確認した。剣ヶ峰の下あたりがうっすらと白かった。

庭のコブナグサが出穂し、コムラサキの果実が色づくなど、草木も秋の様相になってきた。

そんな中、ウラナミシジミがヤナギハナガサ(バーベナの一種)で吸蜜していた。

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翅(はね)の裏に波状の模様がある。後翅の後端に目のような黒い点があり、触角のような尾状突起がある。これらの模様には、体の前後を解りにくくする効果があるのだろう。鳥などの天敵が、頭と間違えて翅の後端を攻撃してくれれば、逃げおおせる確率が高くなるからね。

このウラナミシジミはメスなので、翅の表側は茶色っぽい。オスならば紫色に輝く。

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メスの体の毛も構造色で青っぽく見える。

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このウラナミシジミは成虫で越冬するのだろうか。この後食草のマメ科植物を探しに行き、産卵するのだろうか。

ちなみに、この写真のヤナギハナガサは7月の記事に書いたものと同じ株で、ずっと咲き続けている。今年初めてウチの庭に登場した植物なので、いつまで咲き続けるのか、いつ枯れるのか、全くわからない。7月には近所の公園でも見かけたが、刈られてしまって今はない。

ウチの株は、しばらくそのままにして様子を見ようと思う。

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2023/09/28

暑さ寒さも彼岸まで……と思って我慢してきたけれど

もう9月も終わろうかというのに、今日は30℃超えの真夏日。静岡県内でも35℃を超えて猛暑日となったところがあるらしい。

彼岸の頃から朝晩は涼しくなって、冷房や扇風機を使わなくても寝られるようになってはいるが。日中は暑い! 先週末との気温差が酷い。

急に気温が下がった先週土曜日(秋分の日)の夕方、ミズヒキの花穂に留まった状態のまま動けなくなったヤマトシジミを見つけた。

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ようやく日中の散歩もできるようになったかなと思った月曜日、鮎壺の滝まで歩いた。まぁ結構暑かったのだが。黄瀬川の河原の石に妙な穴が開いているのを見つけた。

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直径3cmほどで、石を貫通している穴もある。どうやら溶岩樹型のようだ。この石は木立に流れてきた溶岩で、冷えて固まったときに木の幹や枝(の燃えて灰になった跡)が穴になったのだろう。

火曜日からはまた日中が暑くなったので、日没の頃に散歩に出るようにした。

公園の入口のエノコログサに、傾いた陽が射していた。こういう写真をスマートフォンで撮るのは難しい。一眼レフなら、ダイヤルを回してマイナス補正してやれば簡単だ。

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最近発見したのだが(マニュアルが500ページもあるのでなかなか読み進められないのだ)、OM-5には「デジタルテレコン」という機能があった。センサーの中央部分だけをトリミングすることで、テレコンバーターを使ったのと同様の効果を得るというものだ。望遠レンスが超望遠レンズになるのである。デジタルテレコンをONにして、ズームレンズの望遠側にして月を撮ってみた。35ミリ換算で600mmとなり、クレーターや海がはっきりわかるように撮れた。

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さて、夕方に散歩すると珍しい現象を見ることがある。夕日をぼんやり眺めていたら、その左側(南側)に幻日が出ていた(幻日については過去にも書いている)。縦になった短い虹のようであるが、見られる時間もサイズも短いので、気づく人は少ないようだ。

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珍しいといえば、ウチの玄関先にあったコレ↓はなんだろう、と気になった。

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先週気づいたときには白い泡の塊のような感じで、カマキリの卵塊かと思った。しかし、カマキリはこんなふうに草に卵を産み付けたりしないし、カマキリの卵塊ほど形が整っていなかった。白い泡はやがて黄ばんできて、触ると崩れて黒い埃のようなものが舞った。

こりゃあ胞子だな、ということは粘菌の子実体かも、と思って調べてみたら、どうやらススホコリという粘菌らしい。放っておけば、胞子が発芽して粘菌アメーバとなり、集合して移動する様子が見られるだろうか。

天にも地にも、驚異は満ちている。

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2023/09/20

真夏日の彼岸

暑さ寒さも彼岸まで、というが、連日30℃超えの真夏日、寝る時分には25℃以上の熱帯夜である。

それでも、近所の公園でヒガンバナ(彼岸花、曼珠沙華)が咲いた。

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近年はとくに異様に暑く感じるが、ヒガンバナは毎年同じ時期に咲く。温暖化と無関係に咲くようなので、日の長さ(夜の長さ)が関係するのかなぁ、と思って少し調べてみた。

ヒマワリやキクなど、夏至を過ぎて夜が長くなると花芽を作る植物がある。盛夏から秋に咲く「短日植物」である。

しかしヒガンバナは、短日植物ではないようだ。ヒガンバナは冬から春にかけて葉を茂らせるが、夏から秋の間は葉がないので、日の長さを感知できない。

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ヒガンバナは夏の高温が続いたあと、気温が低くなると休眠状態から目覚めて(休眠打破)、花を咲かせる。

ヒトが熱帯夜で寝苦しくても、ヒガンバナの低温感知スイッチが入るのだろうか。まぁ考えてみれば、寝苦しいのは湿度が高く風が弱いからであって、地面の下のヒガンバナの地下茎にとって、「単純に25℃まで下がればOK」というところかもしれない(休眠打破される温度が25℃か24℃か、あるいはそれ以下か、というところまでは調べていない)。

このまま温暖化が進んで、ヒガンバナが咲くのは山間部だけ、なんてことになるのだろうか。

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2023/09/18

芝生の危機

晴れの日が続いたかと思えば降れば土砂降り、という夏の日々が過ぎ(まだ真夏日が続いて暑いけど)、芝生の様子が変である。

芝生の一部が菅生になってしまった。「菅」は「かん」でも「すが」でもない。「すげ」である。「しば」じゃなくて「すげ」が広がって生えているので「すげふ」である。

ウチの庭の芝生は、姫高麗芝を買ってきて市松模様に敷き詰めて作った。西洋芝の種を市松模様の隙間に撒いたが、どちらもイネ科の植物である。

その芝を圧倒するように生えてきた菅は、カヤツリグサ科の植物である。

イネ科の植物の茎は丸い(断面が円形である)が、カヤツリグサ科の植物の茎の断面は三角形なので、見分けるのは簡単だ。子供の草花あそびの一つとして、茎を裂いて「蚊帳を吊る」ものがあり、それが名前の由来らしい。

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庭に生えてきたのはカヤツリグサ科ヒメクグ属のヒメクグ(姫莎草)のようだ。直径数ミリの球状の花穂が一つだけ付いている。スゲ属ではないので厳密に言うと菅生というのは適当ではないのかも? というか、カヤツリグサ科の分類は難しいなぁ。

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芝と同様に刈っていれば、芝生状の景観が維持できるかもなぁ、と考えて、刈り込んで経過観察中である。

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2023/05/17

在来種? 外来種?

以下の写真は、ここ数日の間にウチの庭および近くの公園で撮影した生物だが、それぞれ在来種(日本在来の野生生物)と外来種(栽培飼育環境から逃げ出した外来生物)のどちらだろうか?

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以下、正解を記す。

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(1)ツチイナゴ(在来種)

ちなみに、仮面ライダーのモデルはイナゴではなくトノサマバッタだそうだ。

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(2)コモチマンネングサ(在来種)

「子持万年草」の「子持ち」は、葉の付け根に珠芽(むかご)ができるから。むかごが地表に落ちて無性生殖で増殖する。学名は Sedum bulbiferum Makino で、牧野富太郎が命名者である。

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(3)ユウゲショウ(帰化植物)

夕化粧という優雅な名前だが、北アメリカ原産の元栽培植物。赤花(淡紅色)の株が多いが、まれに白花の株がある。

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(4)ニホントカゲ(在来種)

ウッドデッキで昼寝をしているところ。日差しが少々強くてデッキの表面が熱かったのか、手足を背中に回している。ちなみに、日なたの岩の上などで昼寝することを、登山用語でトカゲという。

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(5)コブハクチョウ(帰化動物)

なにせ体が大きいので、餌として食べられてしまう植物や昆虫の減少や水質の悪化など環境負荷が大きい。

帰化生物が自然環境に放たれると在来生物に悪影響を及ぼすので、故意に放したり植えたりしてはいけない。庭に留めましょう。

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