2024/04/05

ブラタモリなき週末

裏金議員は党の処分じゃなくて議員辞職するべきなのに、とか、川勝知事が辞任したらリニア新幹線が通るわけじゃないだろ、とか、まあこの一週間にあったことについて書こうかなぁと思ったことは色々あるが……。
まぁ、やめておこう。

晴れた日が少ないので散歩の記録もあまりない。
3月15日に新芽の状態で発見したウラシマソウが、花を咲かせていたことくらいか。

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雨で庭仕事もできない日には、レゴでテンセグリティ構造を作ってみたりした。
なかなか安定した構造にならないので、もう少し研究というか、試行錯誤する必要がありそうだ。

さて、先月でブラタモリが終了したので、「土曜日の夜は19時半までに夕食の食卓についてテレビを見なくては」という強制力がなくなった。

タモリが行くところ地震などの災害が起こると言われたりしたが、訪問先は地形に特徴があるところだから、当然、断層や火山があり、災害の発生頻度が高い。

実際のところ日本各地のどこでも、いつでも、災害は起こりうる。
なんといっても、日本は四つのプレートの境界に位置する、特殊な地域なのだから。

今週、台湾でマグニチュード7超の地震があった。
台湾もまた、二つのプレートの境界に位置する特殊な地域なのだった。

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2024/04/01

植物由来成分の逆襲

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近所の公園でもようやくソメイヨシノが咲き始めた。
植物の発芽や開花が相次ぐ季節となった。

さて、エイプリルフールネタとして、次のようなものを考えた。

最新サプリメント情報!

ダイエットに最適なソラニン!
肌を劇的に変化させるウルシオール!
ときめきのアルカロイド!
植物由来成分だから安心です‼

小林製薬のサプリメントで死亡者が出ているので不謹慎だとは思ったが、以前からサプリメントとか機能性表示食品とか「植物だから安全です」とかいった「体に良さそう」みたいなモノが好きではないのである。

小林製薬の紅麹サプリメントからは、本来は含まれないはずのプベルル酸が検出されたという。
プベルル酸はアオカビ類が生産する有機化合物で、ペニシリンのような抗生物質の類と考えればよかろう(初めて聞いた物質名なので、後ほど詳しく調べようと思う)。

もちろん、プベルル酸が腎障害から死に至る被害の原因物質かどうかは、まだわかっていない。
……なんていうことを報道しているニュースショーのCMが、機能性表示食品だったりするから、そっちのほうが不謹慎な気がする。

なお、プベルル酸にしろペニシリンにしろ、植物由来成分ではない
コウジカビもアオカビも、菌類だから植物ではないからだ。

昭和の古い教育では、生物は動物と植物の二つの界(キングダム)に分けていたが、現在では五つかそれ以上の界に分ける(細胞の構造などの着目点によって、界の数は異なる)。
割とわかりやすいホイッタカー/マーギュリスの5界説によれば、モネラ(細菌など)、原生生物(アメーバなど)、菌類(カビ・キノコ)、動物、植物、という分類になる。

無機物から有機物を合成する能力をもつ植物に対し、植物の生産した有機物を利用して生きてるという点において、菌類と動物は近い関係と言えるだろう。
昭和の教育を受けた人は、カビやキノコは植物ではない、ということを再確認しておくと、余生が豊かになるかもよ。

植物が生産する有毒成分には、菌類や動物に「食われる」ことを防ぐ機能がある。
菌類が生産する有毒成分(抗生物質)には、他の菌類や細菌類や動物に「食われる」ことを防ぐ機能がある。

植物由来、または菌類由来の成分には、このような有毒な物質が含まれているわけだから、「植物由来成分だから安全です」とか「自然由来成分で安心」とか言う宣伝文句はである。

こういう嘘は「エイプリルフール!」と言って済ませられるものではないよね。

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2024/03/15

早春の戦慄

早春である。
辛夷(コブシ)の花が盛りを過ぎようとしている。

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土筆(ツクシ:スギナの胞子葉)も出てきた。

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ちょっと珍しい、というか見たことがある人が少ないであろう浦島草(ウラシマソウ)の芽。

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1枚しかない大きな葉(緑色)と花の包葉(紫色)が同時に出てくるのだね。

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菜の花も咲いていた。

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アブラナだと思うが、特定できなかった。

野生化してこんもり茂っているもんだから……。

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さて、ここで今回の表題の話。
こんな長閑(のどか)な早春の風景のどこが「戦慄」なのか?

今日、沼津市の広報と同時に戸別に配布された「沼津市富士山火山防災マップ」を見て、戦慄したのである。

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この記事の写真を撮った範囲はすべて、第5次避難対策エリアと第6次避難対策エリアに含まれる。
富士山が噴火し、最大級の溶岩流が流れ来るとしたら、24時間から57日のうちに到達する可能性があるのだ。

富士山からの溶岩は、黄瀬川沿いに流れ下り、かつての三島溶岩流の末端、鮎壺の滝へは18時間から24時間で到達するようだ。
そして黄瀬川から周囲へと流れる範囲を広げていく。
家も畑も林も、高温の溶岩流に呑み込まれ、焼き尽くされる。
まさに戦慄の事態である。

ウチのあたりは第5次避難対策エリアなので、24時間から7日以内に溶岩流が到達する。
火山灰も降り積もるだろうから、車での避難はできない。
噴火後24時間のうちに、情報収集してどうやってどこへ逃げるか、考えなくてはならない。

菜の花の写真を撮ったあたりは国道246号バイパスに近く、ちょっと小高いところだが、第6次避難対策エリアなので、7日から57日のうちに溶岩流が到達する。
富士山が噴火したら、より高いところへ、より高いところへと避難(移動)を強いられることになるのだろうか。

しかし、移動することのできない植物は、溶岩流に呑まれてすべて死滅する。
それでも数十年後には、溶岩流に呑まれなかった地域から飛来した胞子や種子によって、植生が復活するだろう。

そう考えると、核攻撃や原発事故に較べれば、復活への道筋が見えるだけ、富士山の噴火のほうがはるかにマシな災害のように思えてくるなぁ。

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2024/02/16

所得金額不明で提出してやろうか

自由民主党による企業献金隠しパーティー売上金のキックバック、というかもう、自由脱税党による裏金問題と言いたくなるようなニュースが毎日流れ、国会で珍問答(珍なのは答えのほう)が繰り返される昨今……。

……年金機構から扶養親族の所得金額の申告書が送られてきたので、思わず「不明」と書いて提出してやろうかと思った。

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もちろん、儂は真面目な納税者で年金受給者なので、上の画像は冗談である。

公的な書類に「不明」と書いて済むだろうと考えるような不明な政治家を支持するような人は、もはや同じ穴のムジナの税金泥棒か、余程騙されやすい人なのではあるまいか。

さて、そういえば10月頃にも同じ文書が来たような記憶が「うっすらと」あったので、確認した。
10月にはカミさんの内職の所得金額の見込みが不明だったので、後回しでいいか、と考えてそのまま忘れていたのだ。

年金機構からはメールも来ていて、「ねんきんネット」からも提出可能とのことだったが、マイナポータルから入る必要があるとのことなので、無視していた。
マイナポータルを利用するにはマイナンバーカードが必要だが、儂はマイナンバーカードが嫌いなので作っていないのだ。

何が嫌いって、「ポイント2万円分やるから身分証明カード作れや」みたいな、札びらでほっぺたペシペシやられるような行為には反感しか感じないからだ。

さてさて、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を、同封の「手引き」を見ながら書いたが、例によってこれがまたわかりにくい。

はっきり言って、ユーザーインターフェースが悪い(儂は去年まで、仕事の一部としてユーザーインターフェース設計もしていたので、ウルサイのだよ)。

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「配偶者の収入が年金のみ」の場合に「◯」を書くだけの欄があったり、所得金額によって異なる控除額を「手引きを参照して」求めて書かせたり、面倒で複雑な計算を要求される。

配偶者のマイナンバーを書く欄があるのだから、ここにマイナンバーを書けば、給与等の年間所得金額はわかるはずだ。
だからわざわざ、複雑な分岐処理や計算を申告者(一般ユーザー)にさせて、間違いを誘発させるようなことは不要だろうに。

ひょっとして、マイナンバーによる紐づけができてないのか?
電子政府には程遠いなぁ……。
デジタル庁は何やってるんだろう(やっぱりただの「マイナンバーカード普及庁」なんだろうか)。

まぁ役所を横断するシステムを組むのには、お金もかかるし(クリティカルなミスも発生するし)、時間もかかるからすぐにはできないとしても、条件分岐なんかは Excel でもできるじゃん。
申告者に(手引きの例を参照させたりして)計算させるより、所得金額をそのまま書かせて、年金機構のほうで計算すればいいじゃん。
……なんてことも思ったのだった(「エクセルが苦手」とか言わないよね?)。

そしておまけに、申告書を郵送するのに切手代がかかった。

そんなに面倒ならマイナンバーカードを取得してネットで提出すればいいじゃん、と言われそうだが、何しろ不誠実な政治家が牛耳っている政府のやることは気に食わないので、「持ってけ泥棒」という気分で切手を貼ったのだった。

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2024/02/14

変化していくもの

先日、鮎壺公園に行ったら、黄瀬川の河原の岩や小石・砂が撤去されていた。

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2022年10月の同じ場所で撮った写真と比べてみると、手前の河原がなくなっている。

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2023年9月28日の記事、「暑さ寒さも彼岸まで……と思って我慢してきたけれど」に載せた岩、溶岩樹型の残る岩も、見当たらなかった。

2019年の年末に散歩して、こんに「石だらけで歩きにくいから先へ進みましょう」と言われた(ように思った)河原は、そっくりなくなってしまった。

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なんか寂しい気もするが、河道の確保という、河川管理の必要上、必要な措置なのだろう。
増水時にこれらの岩が下流に流され、護岸や橋脚を破壊すると困ったことになる。

実際、黄瀬川流域の各所で、2021年7月3日の水害で破損した護岸の改修工事や、黄瀬川大橋の付け替え工事がいまだに続いている。

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台風などの大雨の度に、黄瀬川とその支流の川は増水する。
また大雨になれば、大きな岩石が流れてくることもあるだろう。

三島溶岩流の末端にある鮎壺の滝も、その溶岩が崩れることによって、少しずつ後退している。
崩れた岩は、砕かれて小さくなりながら下流へ、海へと流れて行く。

川の様相も、河原の石も、入れ替わり変化していく。
こんと一緒に歩いた川べりの道を、今は一人で歩いている。

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2024/01/03

2024年1月1日

退職後初の正月。
元旦だからといって特別な感慨を抱かないのだが、雨戸を開けたら穏やかに晴れて雪化粧し直した富士山が見えた。

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朝食後は有明の月を見ながら布団を干し、いつも通り掃除をした。

昼には義父を迎えて、家族揃ってお節を食べた。

義父を一人住まいのマンションに送り、その後いつも通り散歩した。

日没を前に、先月中旬に庭に作ったピザ窯に火を入れる準備をしていたところ……。

北陸で地震発生。
地球は人間の営みには無関心で、優しくもなんともない。
元日だろうとなんだろうと、断層は動く。

最大震度7の激震と津波発生の報に言葉を失う。
ピザを焼くのは中止した。
ウチのあたりは異なるプレート(フィリピン海プレート)の上なので、少々揺れた程度(震度2程度)だが、すっかり気を削がれた。

被害の全容や今後の推移については、1月3日現在わからないことが多すぎるので、アレコレ書くのは控える。

しかし、あれだけ断層の多いところに原発をいくつも建設したことは、やはり愚行だと思う。
それを言えば日本全国、原発を建設・稼働してよいところなどないのだが。

志賀原発では変電設備の油漏れ、主電源の一系統喪失、使用済燃料プールの水漏れ、3メートルの津波襲来、高さ4メートルの防潮堤が傾いていることなど、不安な要素だらけ。
今でも震度5強クラスの地震が続いているので(また震度7の地震がないとも言い切れないし)、重大事故が起こらないことを祈るしかない。
祈るしかない、ということからして、ダメダメなエネルギー源だよねぇ。
非科学的じゃん(気が滅入っているので八つ当たり気味)。

非科学的といえば、「令和6年能登半島地震」という正式呼称もなんとかならないものか。
元号というやつは資料や検索には不向きなんだよなぁ(だから法制化の際に反対したのに)。

せめて「2024年(令和6年)能登半島地震」とするとか、最初の大きな地震の日付も入れて「2024.1.1令和6年能登半島地震」とか、ISO 8601の表記に従って「2024-01-01令和6年能登半島地震」または「20240101令和6年能登半島地震」とか、国際的・歴史的検証に耐えられるような名前にしたほうがよいのではないだろうか。

とかいったことをブツクサ言っていても仕方がないので、これから献血に行く。

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2023/09/10

科学的に安全、とはどういうことか?

「福島第一原発事故に伴う汚染水から放射性核種を取り除いたけれどトリチウムが残っている水」の海洋放出に関して、「科学的に安全なのだから反対するのはおかしい」という意見があるようだ。ただ、どうもそれが「IAEAのお墨付きを得ているのだから安全」、つまり「公的機関が安全と言っているのだから安全」という言説を「科学的に安全」と言い換えているように聞こえる。

「科学的である」ということを「科学者の肩書を持つ人が立派な実験施設とか数学とかを用いて定めたこと」と勘違いしているのではなかろうか。
しかし、公的機関や科学界の権威の言うことが、必ずしも科学的とは限らない。

では、「科学的」とはどういうことなのか。身近な例で考えてみよう。

【問題】モンシロチョウやアシナガバチなど、昆虫の成虫のあし(脚)の数は何本か?

小学校の教科書には「昆虫の成虫のあしの数は6本」と書かれている。
文部科学省の学習指導要領には「昆虫の成虫の体は頭,胸,腹の三つの部分からできていること,頭には目や触角,口があること,胸には3対6本のあしがあり,はねのついているものがあること(中略)などの体の特徴を捉えるようにする」とある。
では、答えは、科学的な正解は「6本」と言ってよいだろうか。

しかし、次の写真を見てほしい。羽化したばかりのツマグロヒョウモンのオスで、チョウの上に羽化して抜け殻となった蛹と、脱皮して抜け殻となった幼虫の表皮が見える(2022年7月28日撮影)

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脚の数は……4本である。

昆虫の脚は6本なのかそうではないのか、科学的に検証してみよう。

まず仮説を立てる。
「昆虫の成虫の脚の数は6本である」
仮説が成り立たなければ、
「昆虫の成虫の脚の数は、6本とは限らない」
ということになる。

次に、この仮説が正しいかどうかを検証する。
すでに、検証用のデータ(観察結果)は、いくつかある。
先程の写真は、「6本ではない」という仮説を反証するデータである。
そして、このブログの他の記事には、「6本である」という仮説を支持するデータにあたる昆虫の写真がたくさんある。セミとかトンボとかキチョウとか……。

風もない穏やかな晩秋の休日、庭の手入れをした。枯れたローズマリーの枝を切っていると、キチョウが飛んできて、ローズマリーの花に止まった。蛹で越冬するアゲハチョウなどと違い、キチョウは成虫で冬越しする。この個体は無事に冬を越せるだろうか。

ここで、「間違っているのはデータかもしれない」と考えてみよう。観察結果、つまりデータが異常なため、仮説が成り立たない場合があるからだ。

この個体だけ、脚が取れてしまったり、発達しなかったりして4本なのだろうか?
そこで、ほかのツマグロヒョウモンについても調べてみると、やはり4本である。
地域や時期や性別が違っても、やはり4本である(2005年9月9日に撮影したメス)。

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よくよく観察すると、2本の前脚が短く、折りたたまれたようになっている(上の写真の目の後ろの部分)。そのため、脚の基部は6本分あるが、花に留まったり歩いたりするときに用いる脚は4本である。
さらに言えば、ツマグロヒョウモン以外のタテハチョウ類の脚の数も、4本である。

Fh000194 (1989年8月10日に霧ヶ峰で撮影したアカタテハ)

……と儂が書いたからと言って、信用してはいけない。疑うことは科学の第一歩である。できれば読者自身で調査して欲しい。
データ(この場合は写真)を偽ることも可能なのだから、データが正しいかどうかを知るためには、その仮説を主張する本人以外による検証が必要だ。

このように、データや方法(実験観察の機材や手順など)がオープンで、誰でも仮説を検証できることが、「科学的である」ための必要条件である。
超能力や霊能力のような疑似科学が科学的でないのは、信奉者以外の人が検証することを許さないからである(疑う人がいると再現できない、などと言い訳をするのだ)。

じつは、すでにタテハチョウ類の成虫の脚の数が6本ではなく4本だということは、プロの科学者とアマチュアの研究者、教師、小中高生など多くの人々によって確認されている(昆虫学や教育関係の雑誌やサイトで確認できる)。

ここで、もうひとつの仮説が提示できるのだが、気付いただろうか? それは
「タテハチョウ類は成虫の脚が4本なので昆虫ではない」
というものだ。
しかし、脚の数以外の体の構造や生活史などから考えて、タテハチョウは昆虫である、といってほぼ間違いない(100%間違いない、と言わないところが科学的?)。

そこで、結論としては
「昆虫の成虫の脚の数は6本である」
という仮説を棄却する(正しくないと判断する)。

とはいえ、タテハチョウ類を除く大部分の昆虫の成虫の脚の数は6本なので、
「昆虫の成虫の脚の数は6本である」
を改めて、
「昆虫の成虫の脚の数は原則として6本であるが、4本の昆虫もいる」とするあたりが妥当であろう。
文部科学省が学習指導要領の記述を改めるかどうかはわからない。
しかし、子供がタテハチョウ類を見て、「教科書と違う」と言ったとき、教師や保護者が「教科書が違うはずがありません」と言うのはよろしくない(科学的でも、教育的でもない)。
どうする文部科学省。

さて、このようにデータを踏まえ、誤りを認めて仮説(理論)を訂正することは、科学が科学的であるために非常に重要である。
逆に言えば、「学会の権威である私の理論は絶対に正しい。疑ってはならぬ」などと言う科学者がいたとしたら、その人は非科学的で、有害である(老害の場合が多い)。もはや科学者ではなく、カルトの教祖みたいなもんである。

強力な誤り訂正機能をもつことによって、科学のみが世界(宇宙とか自然とか社会とか)の成り立ちや法則を知る手段となり得る。そして誤り訂正機能をもつ科学に基づく社会の仕組み(技術や法律)こそが、より多くの人々の健康や幸福に貢献できるのだと思う。

最初の「科学的に安全」の話に戻す。
「結論ありき」で「科学的に安全」という人は、「その人が科学的思考ができない」ことを宣伝しているようなものだ。

「汚染水」の疑いの残るALPS処理水の海洋放出を「科学的に安全」と言うには何が必要か。
有機結合型トリチウムの生物濃縮や内部被曝、トリチウム以外の放射性核種の残存などのリスクが「ない」ことを立証しなくてはならないだろう。
そのために必要なことは、データをオープンにすることと、懸念を持つ人たちによる検証を受け入れることだ。
東電や政府の過去のやらかしのせいで、データが信用できないことも困ったものだが、じつは「相手を信用できるか」は科学的にはどうでもよいのだ。
立場が異なる人や機関が調査して得たデータのばらつきが誤差の範囲内に収まって初めて、その「データが信用できるもの」となる。

ニュース番組を見ていると、「科学的に安全だということの理解を進める努力が必要」などと言う人がいるが、そういう人には「科学的とはどういうことか」を理解していただきたいものである。
「『科学的に安全』という政府の発表を疑うのはおかしい」と言うのは非科学的であり、疑うほうが科学的なのだから。

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2023/09/01

トリチウムへの長い道(4)

100年前の9月1日の関東大震災。首都近傍で発生した地震は、建物の崩壊や火災によって甚大な被害をもたらした。物理学者の寺田寅彦は震災後に被災地を回り、文明化すると脆弱性が増して被害の規模が大きくなるのではないか、と随筆に書いている。軍備を整える国防ではなく、観測網の整備や防災などの国防のほうが重要ではないか、とも書いている。
「天災と国防」
https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/2509_9319.html
「時事雑感」
https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/2458_11112.html

44年前、大学生だった儂は放射線生物学を学んだ。ここ4回にわたって書いている記事の基礎知識は、だいたいこのときに得たものである。原子力を「最先端の科学」とか言う人がいるが、なんだかなぁ。IT関係で食ってた儂は、建造後60年を超える原発を稼働させるとか聞くとゾッとする。4〜5年前の技術が役に立たなくなるだけでなく、リスクになるような仕事をしてたからかもしれないが。 
もちろん、廃炉とか核廃棄物の長期保管とか生態系内の放射性物質の挙動とかについては未知の領域だから「最先端」と言える。しかし、増殖炉とか次世代型原発とかを持ち出されると、「トイレのないゴミ屋敷に住んでいるくせに新しいおもちゃを欲しがるんじゃありません」と言いたくなるわな。

それはさておき、ゴミの話。じゃない、放射性物質について、前回の続き。


トリチウムがヘリウムに変化する際にβ(ベータ)線が放出される。β線という名前は、α(アルファ)線と区別するためのものだ。透過力の弱いほうがα線、それより強いほうがβ線、というように名付けられた。

α線はヘリウム原子核(陽子2個と中性子2個)の流れである。透過力が弱く紙で遮蔽できる。とはいえ原子核だから大きくて重いので、体内に取り込まれたときの影響は大きい。

β線は放射性物質から放出される電子(または陽電子)である。紙や木材は透過するが、薄いアルミ板や厚いプラスチック板で遮蔽できる。

Radiation

19世紀末にラザフォードがウランから発生するα線とβ線を発見してから2年後、ヴィラールがさらに透過力の強い放射線を発見し、γ(ガンマ)線と名付けた。γ線を遮蔽するには鉛の板が必要だ。γ線の実体は粒子ではなく、高エネルギーの電磁波である。電波や光のようなものだ。

放射性物質から生じる放射線には、このほかに中性子線や陽子線もある。
ちなみに電子銃などの装置を使って放射線を発することもできる。電子銃からは電子線(エレクトロンビーム)が出るが、出自の違いのほかはβ線と同じである。一昔前の(二昔前かな?)テレビ受像機のブラウン管には電子銃が1〜3本使われていた。どの家庭にも放射線発生装置があったのだ。
電子線が金属にぶち当たると、X(エックス)線が放出される(制動X線という)。つまり、どの家庭にもX線発生装置があったわけだが、ブラウン管前面のガラスで遮蔽されていた。

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(2021年9月の記事「草原とスクリーンセーバー」より)

蛇足だが、既知の放射線の中にはウルトラマンの武器であるスペシウム光線は存在しない。そもそもスペシウムという名前からして元素名くさいので粒子線だと思うが、すると光線ではないんじゃないか、とツッコんでおこう。

トリチウムからはβ線が放出される。β線は透過力が弱いので、アルミやプラスチックの板で遮蔽できる。皮膚の表面の細胞は傷付くが、貫通できないので大きな被害はない、と言われている。

しかしそれは、放射線源が体外にあり、外から放射線を浴びる場合だ(外部被曝)。放射線源を体内に取り込んでしまい、体の内側で放射線が発生する内部被曝(体内被曝)は、外部被曝よりも深刻である。
どういうわけか、原子力ムラの人たちは内部被曝を軽視する傾向があるように見受けられる。内部被曝についてはわかっていない点も多いので、環境中の線量だけを見て「科学的に安全」とは言い切れないと思うのだが。

内部被曝はなぜ深刻なのか。
細胞の70%は水である。そこにトリチウム水が紛れ込み、β崩壊する。β線は水中を1cm程度進む。1cm進む間に、いくつの細胞を通過するだろう? 細胞の直径を10ミクロンとすると、1000個くらいか。そして、それらの多くの細胞の核内の遺伝子DNAや、免疫機構などを担う細胞膜のタンパク質を破壊する。

また、生物にとって放射線は危険なことは言うまでもないが、線量が低いときは、放射線そのものよりもイオン化作用の影響のほうが大きいという。どういうことか。

放射線が分子を通過するとき、分子を構成する原子に捕獲されたり、あるいは電子をはじき出したりして、原子をイオン化する。するとイオンになった部分で分子はちぎれてしまう。あるいは、活性酸素のような反応性の強いイオン(ラジカル)になる。

Ionize

放射線が原子に捕獲されなくても、近傍を通過するだけでイオン化作用は起こる。つまり1個の放射線粒子が通過しただけで、膨大な数のイオンが発生する(分子が破壊される)のである。

Direct_vs_ionize

放射線やイオン化作用ではなく、放射性崩壊によって元素が変わってしまうこと自体も生物体に影響を与える。

トリチウム水のトリチウムがβ崩壊したら、ヘリウムになる。ヘリウムは酸素と結合しないので、H2Oは活性酸素(OHヒドロキシラジカル)になる。この活性酸素がDNAの近傍にあれば、DNAを引きちぎるだろう。

人体にトリチウム水が取り込まれても、10日かそこらで排出されるから危険は少ないという。だが、トリチウム水が植物に取り込まれた場合は、それほど単純な話ではない。

植物は、二酸化炭素と水から糖分などの有機物を合成する。その際、ただの水の代わりにトリチウム水が使われれば、トリチウムが有機物に組み込まれる可能性がある。こうして糖分やアミノ酸に含まれるトリチウム、「有機結合型トリチウム」ができあがる。

【参考】環境中のトリチウム(環境省)
https://www.ies.or.jp/publicity_j/mini/2007-04.pdf

動物は(つまり人間も)必ず植物を食べる(または植物を食べた動物を食べる)。植物が作った糖分やアミノ酸に含まれる有機結合型トリチウムは、動物の体内に吸収される。糖分やアミノ酸はエネルギー源や細胞の構成素材として使われるが、過剰なものは脂肪として蓄積される。いったん脂肪になったらなかなか減ってくれないことは、皆さん御存知の通り。

つまり有機結合型トリチウムは、トリチウム水ほど短期間に体から出ていかないのだ。長期間体内に留まるので、ベータ崩壊による影響も大きい……と思われる。思われるのだが、有機結合型トリチウムの生物体内での挙動や影響については、よくわかっていないのである。それなのに安全だと言い切ることはできまい。

有機結合型トリチウムになってしまうと、もう一つ厄介な点が出てくる。食物連鎖を通じた生物濃縮である。植物よりも植食(草食)動物、植食動物よりも肉食動物というように、食物連鎖の上位にいる生物ほど、汚染物質を溜め込みやすい。水俣病の有機水銀やイタイイタイ病のカドミウム、有機塩素系農薬、PCB、PFASなどの不滅の化学物質、マイクロプラスチックなどと同様に、健康や生態系への影響を考える必要がある(このあたりも原子力ムラの御用学者が軽視する領域だ)。

Bioconcentration

トリチウムの生物濃縮の実態については、詳しいことはわかっていない。水に流せない形になったトリチウムについて、薄めて海に流せば大丈夫、安全だと言ってしまって良いのだろうか?

もちろん、前回書いたようにトリチウムは自然に生成されるものなので、地球上の生命はトリチウムの影響を受け続けてきた。DNAは二重らせんなので切断のリスクに多少は対応できる。だが、人工的に作ったトリチウムを環境中にばらまき、リスクを増やすことが賢いこととは思えないのである。

何より、他の方法を検討せずに海洋放出を強行したことが最大の問題点である。かなり難しいらしいがトリチウムを除去する方法はあるし、空気中に少しずつ放出する方法もある。汚染水の容量を減らして保管し続ける方法だってあるだろう。
安全だから海洋放出するというのなら、福島の海にではなく、原発推進派議員の地元の海や湖に撒けばいいのに……。
という変な話(変かな?)になってしまうのは、汚染水の海洋放出可否が科学の領域ではなく、倫理や政治の領域の話だからだ。

そもそも科学とは別領域で誤った決定をした結果が、あふれかえって処理に困っている汚染水なのだ。
地下水の多い立地に原発を建ててしまったとか。
津波被害を過小評価した(というか封殺した)とか。
全電源喪失を想定せず、本店の口出しで対応が遅れ、ベントなどの訓練を怠っていた結果としてメルトダウンを招いたとか。
最先端の技術とか言って地下水流入を防ぐ遮水壁に凍土壁を導入したけれど期待したほど効果がないとか。
はぁ、元気がなくなるなぁ。

「処理したけれど汚染水」の海洋放出については、トリチウム以外の放射性物質(セシウム、コバルト、ストロンチウムなど)についての懸念もある。これについては、またいずれ書くことになるだろう。

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2023/08/31

トリチウムへの長い道(3)

昨晩から今朝にかけてスーパーブルームーンだったが、ウチのあたりは曇っていて、でっかい月の出は見られなかった。寝る前に雨戸を閉めながら見上げると、薄雲がかかり、中天に掛かる普通の満月という風情で、少々残念だった。

雲の上はいつも星空、月も土星も明るく輝いているのにねぇ。……ということで前回の続き。


自然界におけるトリチウムの生まれ故郷は、はるかな空の上である。地球には、超新星爆発などに由来する大量の放射線が降り注いでいる。宇宙からやってくる放射線を宇宙線という。地球上の生物を大量に降り注ぐ宇宙線から守っているのは、厚さ100キロメートルほどの大気だ。

NASAの宇宙気候観測衛星が160万kmの距離から撮影した月と地球の写真を見ると、いろいろなことがわかる。<br /><br><br>
見えているのは月の裏側である。<br /><br><br>
見慣れた「海」や線条がない。<br /><br><br>
月の表側(ニアサイド)と裏側(ファーサイド)では、その表情がだいぶ違う。<br /><br><br>
地球のほぼ全面に太陽の光が当たっているので、満地球である。<br /><br><br>
そこで当然、観測衛星から見た月も満月のはずだが、妙に黒っぽい。<br /><br><br>
裏側だから黒っぽいのか?というと、そういうわけではない。<br /><br><br>
じつは月の表側・裏側を問わず、月面はこの写真のように黒っぽいのだそうだ。<br /><br><br>
地球から見た満月が明るく輝いているのは、背景(つまり宇宙)が黒いからだ。<br /><br><br>
漆黒の宇宙に比べれば、月ははるかに「白い」のである。<br /><br><br>
しかし、白い雲をまとう地球に比べれば、月は「黒っぽい」のである。<br /><br><br>
そりゃあまぁ、雲と熔岩を比べたら、熔岩のほうが黒いよね。
(NASAの宇宙気候観測衛星が160万kmの距離から撮影した月と地球の写真:月には大気がないので、月面基地を作るなら宇宙線を防ぐ仕組みが必要となる。写真の月が黒っぽく見える理由については、過去の記事を参照のこと)

大気中の酸素や窒素が宇宙線を止めて、地上に降り注ぐ量を百分の一位以下にしているのである。たとえば、宇宙からやってきた中性子線が酸素に当たると、酸素は壊れてトリチウムと炭素になる。

トリチウムは水素だから、酸素と結合して水になる。水分子は1個の酸素原子と2個の水素原子からできている。その2個の水素原子の一方、あるいは両方がトリチウムの場合、「トリチウム水」となる。

Tritium_water_20230831160001

はるか上空で生まれたトリチウムは、トリチウム水となり、やがて地上に降りてくる。雲になり、雨になり、川となって海に注ぐ。その過程でさまざまな生物の体を通過する。だから、あなたの飲む水の中にも、あなたの体にも、必ずトリチウムが含まれている。ごくわずかではあるけれども。

トリチウムは高層大気で自然にできるほか、人工的にも作られている。1950年代から1960年代にかけて、核保有国は大気中で核実験を行っていたので、その時期に作られた(核爆発の際に生成された)トリチウムが大量にばらまかれている。まったく余計なことをしてくれたもんである。

現在もトリチウムは作り続けられていて、その場所は原子炉だ。

原子炉というのは要するに核分裂エネルギーを使ったボイラーみたいなものなので、熱エネルギーを取り出すために水で冷却する必要がある。その水の中の水素が、中性子を捕獲してトリチウムになる。

原子炉の燃料棒を空気中にむき出しに束ねておいておくと、核燃料から放出される大量の中性子によって核分裂反応が暴走し、メルトダウン(炉心溶融)する。メルトダウンしては困るので、燃料棒と燃料棒の間に冷却用の水と、中性子を吸収する制御棒を入れる。制御棒には減速材としてホウ素(B)が使われているが、このホウ素が中性子を捕獲するとトリチウムが生じる。

また、トリチウムは水素爆弾や中性子爆弾の原料なので、核保有国では原子炉を使ってわざわざ製造しているようだ。まったく余計なことである。

福島第一原発では、1号機から3号機までがメルトダウンしてしまった。建屋が壊れ、地下水が原子炉内に残る核燃料デブリによって日々トリチウムが作られている。まったく余計なことになっちまっている。

東京電力「汚染水対策の状況」
https://www.tepco.co.jp/decommission/progress/watermanagement/
のページの中の「汚染水とは」という見出しの下に、「対策前の状況」というわかりにくいタブがある。そのタブを開くと、トリチウムを含む汚染水が海に垂れ流しになっていたときの状況が図示されている。

トリチウムが厄介なのは、放射性物質であることだ。言い方を変えると、トリチムは放射能を持っているのである。

トリチウムは半減期12.32年で崩壊してヘリウムになる。つまり、トリチウムが100個あったとすると、約12年後、そのうち50個はトリチウムのままだが、50個はヘリウムになっている。

Beta_decay

トリチウムがヘリウムになる際に、β(ベータ)線が放出される。β線は放射性の原子から飛び出して超高速で飛んでいく電子である。トリチウムの原子核の中性子2個のうちの1個が陽子に変わり、その際に電子が飛び出すのだ(β崩壊という)。

β線は透過力が弱いので、アルミやプラスチックの板で遮蔽できるとか、皮膚を貫通できないと言われる。では、少量のトリチウムのβ崩壊は、気にするほどのものではない、と言えるのだろうか?

……ということで、次回へ続く。

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2023/08/30

トリチウムへの長い道(2)

ウチの水道の水源は柿田川の水なので、とても旨い。だがなぜか、水道水に細かい砂粒が混じることがある。水の出が悪くなるのを防ぐため、ストレーナを清掃する必要がある。

今朝、風呂掃除の際についでに風呂場のストレーナを清掃しようと思い立った。元栓を閉じたり配管カバーを外したりストレーナをバラしたりと四苦八苦したが、大量の砂が出てきてスッキリしたので良しとしよう。

ちなみに、ウチの水道の水にも「必ず」トリチウムが混ざっている。どうしてトリチウムが混ざるのか、という話まで行けないだろうなぁ、今回は。次回説明できるかなぁ。

ということで、前回の続き。


分子模型を組み立てたり、結晶構造を説明するときには、原子は丸くて硬い玉と考えると都合がよい。

しかし原子は中身がぎっしり詰まった玉ではなく、さらに内部構造があるのだ。というか、原子というのはスカスカで、中心の原子核から離れたところに電子が動き回る軌道がある。

太陽の周りを惑星が回っているように、原子核の周りを電子が回っているという、太陽系に似た模式図がよく用いられる。この図には大きな問題があるのだが、とりあえず説明するのに便利なので使うことにする。

Atom_size

すべての原子は1個の原子核と何個かの電子で構成されている。水素は最も簡単で、1個の陽子と1個の電子で構成されている。水素の原子核イコール陽子1個なのだ。

原子核を1円玉(直径2mm)まで拡大すると、1個の原子の大きさは陸上競技場くらいになる。ただし、原子核をめぐる円形のトラックを走っている電子のサイズは人間のアスリートではなく、精子くらい(長さ数ミクロン)になる。だから「原子はスカスカ」なのである。

電子は小さいだけでなく軽い。電子の重さは陽子の重さの1840分の1だから、水素原子の重さはほぼ陽子の重さと言って良い。その陽子はプラスの電気を帯びていて、原子の中央に位置する。一方の電子はマイナスの電気を帯びている。そこで水素原子としてはプラスとマイナスが釣り合っていて、電気的に中性である(電気的に釣り合わないとイオンになる)。

原子核を構成する粒子(核子)は、陽子だけではない。中性子(ニュートロン)という核子がある。

Helium

二番めに軽い元素であるヘリウムの原子核は、陽子2個と中性子2個からできている。中性子のサイズや重さはほぼ陽子と同じだが、電気的に中性である。そこで、ヘリウムの原子核は水素の原子核の二倍のプラスの電気を帯びている。ヘリウムの原子核の周りを回る電子は2個で、ヘリウム原子としてはプラスとマイナスが釣り合って、電気的に中性となる。

中性子の重さは陽子とほぼ同じなので、ヘリウムの原子核の重さは、水素の原子核(陽子1個)の4倍である。元素には「原子番号」というナンバーが振られていて、水素が1、ヘリウムが2である。原子番号は原子核に含まれる陽子の数を表している。この原子番号が、さまざまな元素の性質の違いの元になっている。

また、原子核の中の陽子と中性子の数の合計を「質量数」という。水素の質量数は1(陽子1個)、ヘリウムの質量数は4(陽子2個+中性子2個)である。

じつはヘリウムという物質はとても安定していて、ヘリウム原子はほかの元素と反応しない。燃えたり腐食したりしないので、不活性ガスと呼ばれる。だから安全で軽い気体として、風船や飛行船、医療機器に使ったり、変な声(ヘリウムボイス)を出すのに使う。一番軽い元素は水素だが、水素は反応しやすいので水素爆発を起こしたりして剣呑なのである。

ヘリウムがなぜ安定元素なのかという話を始めると、電子軌道のK殻がどうとかと、ややこしい話になるから割愛する。元素周期表の右端の「希ガス」と呼ばれるヘリウムやネオン、キセノンなどは反応しにくい元素だということだけ覚えておくとよいだろう。ネオンはネオンサイン、キセノンはストロボライトなどの放電管に使われる。不活性ガスの中なら、金属製の電極が高温になっても劣化しないからだ。

さて、ありふれた水素原子の原子核は陽子1個だが、まれに陽子1個ではない水素ができることがある。陽子1個と中性子1個の原子核を持つ水素を「デューテリウム(重水素)」、陽子1個と中性子2個の原子核を持つ水素を「トリチウム(三重水素)」という。

Hdt

トリチウムの原子番号(陽子の数)は1なので、元素としては水素だが、質量数(陽子と中性子の数の合計)が3なので、少し厄介なところがある。

やっとトリチウムが出てきたね……。
どうやってトリチウムができるのか、そしてなぜトリチウムが厄介なのか、については次回。

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