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2023/08/30

トリチウムへの長い道(2)

ウチの水道の水源は柿田川の水なので、とても旨い。だがなぜか、水道水に細かい砂粒が混じることがある。水の出が悪くなるのを防ぐため、ストレーナを清掃する必要がある。

今朝、風呂掃除の際についでに風呂場のストレーナを清掃しようと思い立った。元栓を閉じたり配管カバーを外したりストレーナをバラしたりと四苦八苦したが、大量の砂が出てきてスッキリしたので良しとしよう。

ちなみに、ウチの水道の水にも「必ず」トリチウムが混ざっている。どうしてトリチウムが混ざるのか、という話まで行けないだろうなぁ、今回は。次回説明できるかなぁ。

ということで、前回の続き。


分子模型を組み立てたり、結晶構造を説明するときには、原子は丸くて硬い玉と考えると都合がよい。

しかし原子は中身がぎっしり詰まった玉ではなく、さらに内部構造があるのだ。というか、原子というのはスカスカで、中心の原子核から離れたところに電子が動き回る軌道がある。

太陽の周りを惑星が回っているように、原子核の周りを電子が回っているという、太陽系に似た模式図がよく用いられる。この図には大きな問題があるのだが、とりあえず説明するのに便利なので使うことにする。

Atom_size

すべての原子は1個の原子核と何個かの電子で構成されている。水素は最も簡単で、1個の陽子と1個の電子で構成されている。水素の原子核イコール陽子1個なのだ。

原子核を1円玉(直径2mm)まで拡大すると、1個の原子の大きさは陸上競技場くらいになる。ただし、原子核をめぐる円形のトラックを走っている電子のサイズは人間のアスリートではなく、精子くらい(長さ数ミクロン)になる。だから「原子はスカスカ」なのである。

電子は小さいだけでなく軽い。電子の重さは陽子の重さの1840分の1だから、水素原子の重さはほぼ陽子の重さと言って良い。その陽子はプラスの電気を帯びていて、原子の中央に位置する。一方の電子はマイナスの電気を帯びている。そこで水素原子としてはプラスとマイナスが釣り合っていて、電気的に中性である(電気的に釣り合わないとイオンになる)。

原子核を構成する粒子(核子)は、陽子だけではない。中性子(ニュートロン)という核子がある。

Helium

二番めに軽い元素であるヘリウムの原子核は、陽子2個と中性子2個からできている。中性子のサイズや重さはほぼ陽子と同じだが、電気的に中性である。そこで、ヘリウムの原子核は水素の原子核の二倍のプラスの電気を帯びている。ヘリウムの原子核の周りを回る電子は2個で、ヘリウム原子としてはプラスとマイナスが釣り合って、電気的に中性となる。

中性子の重さは陽子とほぼ同じなので、ヘリウムの原子核の重さは、水素の原子核(陽子1個)の4倍である。元素には「原子番号」というナンバーが振られていて、水素が1、ヘリウムが2である。原子番号は原子核に含まれる陽子の数を表している。この原子番号が、さまざまな元素の性質の違いの元になっている。

また、原子核の中の陽子と中性子の数の合計を「質量数」という。水素の質量数は1(陽子1個)、ヘリウムの質量数は4(陽子2個+中性子2個)である。

じつはヘリウムという物質はとても安定していて、ヘリウム原子はほかの元素と反応しない。燃えたり腐食したりしないので、不活性ガスと呼ばれる。だから安全で軽い気体として、風船や飛行船、医療機器に使ったり、変な声(ヘリウムボイス)を出すのに使う。一番軽い元素は水素だが、水素は反応しやすいので水素爆発を起こしたりして剣呑なのである。

ヘリウムがなぜ安定元素なのかという話を始めると、電子軌道のK殻がどうとかと、ややこしい話になるから割愛する。元素周期表の右端の「希ガス」と呼ばれるヘリウムやネオン、キセノンなどは反応しにくい元素だということだけ覚えておくとよいだろう。ネオンはネオンサイン、キセノンはストロボライトなどの放電管に使われる。不活性ガスの中なら、金属製の電極が高温になっても劣化しないからだ。

さて、ありふれた水素原子の原子核は陽子1個だが、まれに陽子1個ではない水素ができることがある。陽子1個と中性子1個の原子核を持つ水素を「デューテリウム(重水素)」、陽子1個と中性子2個の原子核を持つ水素を「トリチウム(三重水素)」という。

Hdt

トリチウムの原子番号(陽子の数)は1なので、元素としては水素だが、質量数(陽子と中性子の数の合計)が3なので、少し厄介なところがある。

やっとトリチウムが出てきたね……。
どうやってトリチウムができるのか、そしてなぜトリチウムが厄介なのか、については次回。

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