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2023/07/21

科学者が科学的であるとは限らない

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島崎邦彦著『3.11 大津波の対策を邪魔した男たち』を読んだ。

元日本地震学会会長の島崎さんによれば、東日本大震災の津波被害も原発事故も、けっして「想定外」ではなかったそうだ。想定されていたが「起こらないだろう」ということにされていたのだ。

本書を読みながら考えたことは、「科学者や技術者が常に科学的に思考し判断するとは限らないのだよなぁ」ということだ。科学者や技術者には「立場」があり、その立場……というかはっきり言って「権益」を守るために、判断を誤ったり、解釈を捻じ曲げたりするのだ。

そして科学者や技術者も人間である以上、知識や情報収集力には限界がある。過去の(地震津波などの)事象をすべて知ることもできなければ、未来に起こることを予知することもできない。さらに、その専門性から知りうること・判断できることにも限りがある。

島崎さん自身もあとがきでこう書いている。

この本に登場する人たちは、一人一人はみんな良い人だと思う。しかし結果として、大惨事につながることをしてしまった。それぞれの役割、その時々の立場……いろいろなことがあったのだろう。

私自身、原発のことを、もっと知っていればよかったと思う。

それにしても不気味なのは「原子力ムラ」の力(権力?財力?)、原子力関係者への忖度である。高木仁三郎さんの著作に見られるほど露骨な脅しはなかったようだが、島崎さんの知らないところで裏会議が行われて報告書の重要な数値が変更されたり、警告が無視されたりしていたようだ。

ロシアのウクライナ進行に伴うエネルギー危機に便乗して、またぞろ原発再稼働が取り沙汰されている昨今、「原子力ムラ」の存在はとても不気味だ。

さて、本書のタイトルに「邪魔した男たち」とあるが「邪魔した女たち」はいなかったのだろうか。いなかったとしたら、そのこと自体が、この国の産・学・官の歪みを表しているような気がする。

……なんて具合に大上段に振りかぶって「国」なんて言葉を使ってみたが、こういう曖昧で抽象的な概念を使うのは好きではない。仮想的な概念を廃して個人の視点で考えよう。すると要するに、自分の身分や権益の維持に汲々としている弱っちいオトコたち(平目男?蛙男?)がグズグズしていたために、大災害になってしまったんだよなぁ。……そう思うと、なおさら腹立たしいぞ。

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