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2023/03/31

タチツボスミレとスミレ

先日、香貫山の尾根上の明るい林床と湿った斜面にタチツボスミレが咲いていたという話を書いた。

その記事の中で触れた、ウチの駐車場で咲いているタチツボスミレを撮った。

P3290086

駐車場のコンクリートと犬走りの間の隙間に根を下ろしている。まったく、いろいろなところで咲くものである。

タチツボスミレを漢字で書けば「立坪菫」で、「坪」つまり庭に咲く、茎が「立つ」スミレという意味である。

まだこの時期は茎があまり立っていないが、初夏には高さ15cmくらいまで茎を伸ばし、葉を広げる。ちなみにウチのタチツボスミレは、その時期になるとツマグロヒョウモンの幼虫に食われて丸裸になる。

さて、ウチの庭の芝生には、タチツボスミレではなく次の写真のスミレが咲く。

P3290087

このスミレは、「ナントカスミレ」ではなくただの「スミレ」である。説明するのがややこしいな。

たとえばタンポポという「種」はない。よく見かけるタンポポは、「キク科タンポポ属セイヨウタンポポ」であり、ウチの庭で大切に自生させているのは「キク科タンポポ属トウカイタンポポ」である。「キク科タンポポ属タンポポ」という種はない。

ところがこのスミレは、「スミレ科スミレ属スミレ」という種なのである。日本に自生するスミレの仲間(スミレ科スミレ属)は、変種を含めて100種類を超えるが、「スミレ」という名前のスミレ科スミレ属の種は、このスミレだけである(ややこしいな)。

だったらニホンスミレとかそういう名前にすれば良いのではと思われるかもしれないが、日本特産ではなく、朝鮮半島や中国本土にも分布している。学名は Viola mandshurica だから、「満州の菫」である。

さてさて、ウチの敷地という狭い範囲での話だが、なぜタチツボスミレは駐車場のコンクリートの隙間、スミレは芝生というように棲み分けているのか? タチツボスミレの適応領域は広そうなのだから、タチツボスミレが芝生に生えていても良さそうなものだが……。

答えは、儂という環境要因の存在である。

芝生を維持するため、定期的……と言わないまでも、年に数回短く刈り込む。このとき、スミレは地上茎がないので、刈られても成長点が残る。それに対してタチツボスミレには地上茎があるので(茎が立っているので)成長点を失ってしまう。そのため、タチツボスミレは芝生では生きていけないのだ。

タチツボスミレは刈り込みには(おそらく草食動物による被食圧や山火事などにも)弱いのである。逆に言えば、刈り込みなどの環境変動に弱いので、林床や斜面、コンクリートの隙間などのあらゆる環境に適応して生存を図っているのだ。

一方、スミレは刈り込みに強いだけでなく、じつはコンクリートの隙間などでも生存できる。だからいずれウチの敷地内でも、スミレがタチツボスミレを脅かすようなことになるのだろうか?

今後の推移を見守りたい。

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