« 冬来たりなば春遠からじ | トップページ | 『三体0 球状閃電』を読んだ »

2022/12/28

『法治の獣』を読んだ

Sketch1672304379754_20221229180501

春暮康一著『法治の獣』(ハヤカワ文庫)を読んだ。

「主観者」「法治の獣」「方舟は荒野をわたる」の中篇3編が収められていて、いずれも共通の未来世界を舞台にした宇宙SFである。

宇宙SFだが、どうやって宇宙を旅するかとか、そのあたりの物理化学的な部分が主題ではなく、主題は「生命と知性」である。

3編とも、宇宙に進出した人類が異星の生命体に遭遇するのだが、その生命体の設定がいずれもぶっ飛んでいる。生物学的ネタでセンス・オブ・ワンダーを味わうことができたのは、大変嬉しい。ワシは今でもアマチュア生態学者のつもりだからね。ちなみに〈方舟〉のような生命体のアイデアは、かつてワシも考えたことがある。ちょうどフィトンチッドとかアレロパシーとかが話題になっていたころ(1980年代)で、森林内の化学的ネットワークが……(以下ネタバレになりそうなので省略)。

ということで何を書いてもネタバレになるので詳しくは書かないが、堀晃やグレッグ・イーガンの生物学版といった感じである。著者自身が巻末の「作品ノート」に書いているように、イーガンの「ワンの絨毯」とも共通するテーマがあるし。登場する男女の間に色恋沙汰とかそういう雑音がなく、知的なやりとりがメインになっているところも堀晃やイーガンに似ているかも。

著者の筆名の由来はハル・クレメントだそうだから、ガチガチのハードSF好きによる、ハードSF好きのためのハードSFなのだ。

|

« 冬来たりなば春遠からじ | トップページ | 『三体0 球状閃電』を読んだ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 冬来たりなば春遠からじ | トップページ | 『三体0 球状閃電』を読んだ »