« 多少安全になっても、安心はできない | トップページ | 初冠雪ふたたび »

2021/09/26

植物は「端だけ」成長する

約15年前、「トトロの大木は一夜にして成らず?」という記事を書いた。
アニメ映画『となりのトトロ』の有名なシーンをネタにしたものだ。

どのシーンかというと、このシーン。
スタジオジブリ提供の「場面写真」を載せておく(ジブリさん、ありがとう。使わせてもらいます)。

Totoro035

植物の成長については学生時代から観察してきたので、現実の成長のしかたとは違うなぁ、と思い、模写したのが次の図である(当時、DVDを一時停止して、テレビのブラウン管にトレーシングペーパーを押し当てて、トレースした)。

Treeg1_1 Treeg1_2

木の成長につれて、下のほうにあった小さな枝の位置が、上へと移動している。

Treeg1_3

このように描いたほうが、より成長しているように見えるのはわかるが(だから作品世界の中の描写としては否定しないが)、植物の成長の法則は、動物とは大きく異なる。

Img_20210924_1044562

ウチの庭で「緑のカーテン」にしているリュウキュウアサガオは、彼岸を過ぎても元気に成長を続けていて、地を這う茎(つる)が、2.7メートルのウッドデッキの下を抜けて、テラスを横断しつつある。
その伸びる様子を、2日ほど観察してみた。
茎についている葉と脇芽の位置をパステルでマークし、写真に撮ったのだ。

約24時間で伸びた長さを調べてみたところ、次のようになった。
ちなみに、植物学では葉と脇芽の出ているところを「節(せつ)」といい、節から節までの茎の部分を「節間(せっかん)」という。

Sketch1632661283657

先端のほうの節は約20cm移動している。
その次の節は約11cm移動しているので、この節間は1日で約9cm伸びていることになる。
同様に、約11cm移動した節の次の節が約2cm移動していることから、この節間も約9cm伸びている。

しかし、その次の節間の伸びは約2cmだ。
根に近いほう(写真の右側)に行くにつれて伸び方が鈍くなり、葉が展開すると、もう節間は伸びない。
ウチのリュウキュウアサガオの場合、地上を這う茎の節間は、どれも約20cmで止まっている(9cm+9cm+2cm=20cm)。

トトロの世界の植物と異なり、現実の植物は茎の先端部分だけが伸びていき、根元のほうは伸びないのである(もちろん、地中では根の先端部分が伸びている)。

植物の細胞は体の先端(成長点)で分裂を繰り返し、新しくできた細胞が大きくなることで、茎や根や葉が伸びていく。
体中の細胞が分裂する動物とは、成長の法則が違うのだ。

さて、茎や根の先端が伸びるだけでは、植物は太れないはずだが、実際には太っていく。
そこで、茎や根が太ること(肥大成長)は、先端が成長することと違うじゃないか、と思うかもしれない。

だが、茎や根が太るのは、表皮のすぐ下の部分の細胞が分裂して、その後大きくなるからだ。
茎や根の中心から見れば「端」にあたる外側へ、外側へと成長していく。

だから、やはり植物は「端だけ」成長するといってよかろう。

|

« 多少安全になっても、安心はできない | トップページ | 初冠雪ふたたび »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 多少安全になっても、安心はできない | トップページ | 初冠雪ふたたび »