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2019/09/25

原発処理水問題の(解決にならない)解決法

福島第一原発のメルトダウンした原子炉から汲み出された汚染水は、放射性核種の分離処理後に原発敷地内のタンクに貯蔵されている。
タンクを設置できる高台は、あと3年でいっぱいになるという。

その「処理水」には放射性物質であるトリチウム(三重水素)が含まれている。
トリチウムは水素の同位体だから、酸素と結合して「水」になっている。

3年後には貯めておける場所がなくなるのだから、トリチウム入りの「処理水」の海洋放出が検討されているそうだ。
トリチウムは自然界に存在する物質だから大量の海の水で薄まってしまえば「科学的に」大丈夫、という話だが、本当だろうか?

どうだかなぁ。
原子力が好きな人は、内部被曝を甘く見ている感じがするからなぁ。
海は広大だから問題ないくらい薄まるっていう考え方も、「生き物」としての海を見ていない気がするし(でっかいバスタブとか水泳プールとかに塩酸のビンを投げ込んでも薄まるから大丈夫とか、そういう発想だったりするからなぁ)。

福島の漁師さんたちが風評被害を心配するのはもっともである。
やはり日本全国で責任をとらざるを得ないのだろうか。

いっそのこと、「処理水」は福島沖を除く日本の経済水域全体に均等に撒いてはどうだろう。
外国の漁船にサンマやイカが獲られることも減るのでは?

※もちろんここでは、海流などという複雑で変動の大きい要因は考えない。自然科学の思考実験で行う「捨象」ですな(要因を省きすぎると、もはや「モデル」にならないのだけどね)。

さて現実的には、海洋放出したトリチウムが生態系の中でどのように動くのかがはっきりしないと、「安全」と言い切ることはできないだろう。
とくに原子力を推進する立場の人たちが「安全」と言っても、まったく説得力がないしね。

原子力を推進する人たちは事故以前に、少量の放射線を浴びているほうが免疫力が高まって健康によい、とか言っていたが、いまでもそれを信じているのだろうか。
信じているなら、是非、こんなふうにして処理していただきたい。

Tritium_water

もちろん冗談である。
経口摂取された水素は(トリチウムも)数日から数十日で排出されるから、下水道が汚染されてしまうからね。

排出されないで、体内の有機物(脂肪やタンパク質や核酸、つまり遺伝子DNAなど)に取り込まれるトリチウムもあるだろう。
そのトリチウムは、半減期12年でヘリウムに変わる。
そのとき放射線(ベータ線)が放出されるが、要するに電子線なので破壊力や透過力は小さい(だから放射線科学的にはほとんど害がないという理屈だ)。

問題は、水素と同じ役割で有機物を構成していたトリチウムが、ヘリウムになって有機物から抜けてしまうことだろう。
その有機物がDNAなら、遺伝子の鎖がそこで切れる。

それが原因となって、ガンや遺伝的な病気になる可能性が増すだろう。
……運が悪ければ、ね。

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