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2019/08/18

『フォッサマグナ』を読んだ

藤岡換太郎著『フォッサマグナ』を読んだ。
驚いたのは、国内最大の大地溝帯で、世界で唯一の地形であるフォッサマグナがどのようにしてできたのか、まだ明らかになっていないということだ。
フォッサマグナの西の端は、糸魚川-静岡構造線と呼ばれる大断層帯だ。
その南のほうは高さ2000メートルに達する逆断層となっていて、「南アルプス」と呼ばれている。
あの山脈が断層だというだけでびっくりなのだが、フォッサマグナの基盤は地下6000メートルくらいだろうと思われていて、じつは確実な深さはわかっていない、ということにも驚かされる。
そして、フォッサマグナの東の端がどこなのか、これもはっきりしない。
八ヶ岳や大菩薩峠から南アルプスのほうを眺めると、眼下に諏訪盆地や甲府盆地が広がる。
その地下が得体の知れない状態なだけでなく、八ヶ岳や(大菩薩峠を含む)関東山地がフォッサマグナの端なのか内部構造なのかわからない。
フォッサマグナの北部では海底の堆積物、南部では火山の噴出物に覆われていて、その成因が異なることがわかる。
フォッサマグナの北部は、1500万年前に日本海が形成されたとき、東北日本と西南日本の間にできた割れ目(リフト)で、その後堆積物で埋められたものらしい。

日本海の形成がまた、プルームテクトニクス(プレートテクトニクスを引き起こす原因でもあるマントル物質の大循環)によって説明される大事件であって、アジア大陸の沿岸部にあった日本列島の素が、200万年で700キロも移動したという。

1年間あたり35cmだから、『日本沈没』にもリアリティを感じてしまう。
一方、同じく1500万円年前、フィリピン海プレート上の伊豆・小笠原弧が南から日本列島に衝突する。

これによって日本沈没は阻止され、南部フォッサマグナが形成されたのだろう。

伊豆の火山島は伊豆半島になり、丹沢山地が形成される。
南からのプレートの圧力で、南アルプスはなお高くそびえ立つ。
沈み込んだフィリピン海プレートをマグマの供給源として、やがて富士山や周囲の火山が形成される。
いやはや、なんとも激動の大地の上に、ワシらは生活しているわけだ。
最近気になっているのは、リニア中央新幹線のこと。

静岡県内を通るけれども停車しないので静岡県民が非協力的だとか言われるけれど、ちょっと違うかな、と思う。

南アルプス北部にトンネルを通すそうだが、そこは大井川の水源なので、大井川の流量に影響が出るのではないかということで、県知事がJR東海に対応を迫っている。
南アルプス北部は大井川の水源というだけでなく、フォッサマグナの西の端、静岡-糸魚川構造線の断層帯である。
『日本沈没』の最初のほうのエピソードで、リニア新幹線の工事が進まず、主人公の友人がそれを気に病んで自殺してしまうというものがある。
日本沈没の予兆となる地形的な変動により、トンネルや橋梁がズレてしまうことが、工事の遅れを招いたのだ。
『日本沈没』はフィクションだが、現実のフォッサマグナは生きている地形である。
断層と付加体、それに火山の集合体の地下にトンネルを掘って、磁場を変動させながら高速で移動する物体を走らせて大丈夫なのか?と思ってしまうのである。


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(大菩薩峠から朝焼けの南アルプスを望む。甲府盆地は雲海の下)

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