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2018/10/28

映画『エリジウム』を観た

SF的な設定はいいのに、CGやSFXの質はいいのに、そして豪華名優を並べているのに、B級感が否めない、という点で『アルマゲドン』に通じるところがあるかも。

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まず、宇宙を描けてない。
上の図でスペースコロニーに接近するシャトルは、当然前方に噴射して減速していないと変だ。ところがエリジウムに接近するシャトル(映画ではこの図のようなわかりやすい形ではなくて、もっと凝っているが)は、まるで大気中のジェット機のように後方に噴射し続けているのだ。

それだけでなく、コロニーの居住区の上に着陸しちゃう。
いやいや、コロニーのトーラス(円環)に内側からランデブーするには、かなり複雑な軌道操作が必要で、燃料も浪費するだろう。
だから普通、宇宙船やシャトルはハブ(車軸)にドッキングし、人や物資はスポークを通じてトーラスに降ろすはずだ。

そもそも、トーラスの居住区の「空」が宇宙に解放されているのが変だ。
トーラスの遠心重量が1Gだとしても、数十~数百メートルの壁では、空気の漏出は防げない。
エベレストの頂上だって空気が(薄いけど)あるのだから、空気を留めるための壁の高さは1万メートル以上必要だろう。
そんな壁を作るより、天井を作って密閉したほうがいい。

密閉しなければならない理由はほかにもある。
紫外線や放射線への対策だ。せめて天井をUVガラスにしないと、イリジウムの住人は日焼けや皮膚ガンで苦しむことになる(すぐ治療できるのかも知れないが、苦しむだろう)。
じつはUVガラス程度では太陽からの荷電粒子などは防げないので、コロニーの居住区への光は、二つの反射鏡を使って取り込むことになる。
そのしくみは、ホーガンの『未来の二つの顔』にわかりやすく描かれている(星野之宣が漫画化している)。

・・・という具合で、ツッコミどころ満載なのである。
まぁ、ツッコミを入れることを楽しむ映画だと思えばいいのだが。

名優を生かしきってない点も残念だ。
『コンタクト』で科学者を演じていたジュディ・フォスターが冷徹な長官なのは新鮮で面白かったのに、あっさり死んじゃうし。
同じく『コンタクト』で盲目の科学者、『ブラックホーク・ダウン』では果敢な軍曹を演じていたウィリアム・フィクナーが人間味のないCEO役で、やっぱり死んじゃうし(しかもシャトルの座席に座ったまま)。

もうちょっと、兵器や人体破壊とは別のところにSF的なネタが欲しかったかなぁ。

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