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2014/09/21

4億8千万年の領土紛争

ウチの玄関先の東側は駐車場、西側はローズマリーの生垣になっている。
駐車場は枕木の間にヒメコウライシバを植えてある。
ローズマリーの生垣の下にはシダ(イヌワラビ?)やコケ(ヒョウタンゴケ?)が生えている。

さて、「動物は動けるが植物は動けない」なんてことを言うのは生物学に無知な人であって、生物学を学んだり、学んでなくても観察力の優れた人は植物が「移動」することを知っている。
植物の「移動」はウチの敷地内という狭い空間においても現在進行中である。

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最近、ヒメコウライシバが西進し、上の写真のようにコケの間にランナー(ほふく茎)を伸ばしている。
ヒメコウライシバの勢いはものすごく、遠からずウチの周囲はくまなくヒメコウライシバに覆われるのではあるまいか。

上の写真の状況を見ていてハタと気づいたのだが、これはじつは4億8千万年にわたる領土紛争の最新の状況なのだ。

地球40億年の生命史のうち、最初の35億年の間、地上には目に見えるサイズの生物はいなかった。
植物の陸上進出は4億8千万年前の出来事で、現在のコケの直接の祖先にあたる植物である。
その後シダ植物が現われ、さらに1億年ほどかかって種子で増える植物(種子植物)が登場した。

陸地が森林に覆われ、現在と植物の種類は違うもののそんなに違和感のない景観になったのは、2億年前ほどのことなのだ。
ただし、そのころ、草原というものはなかった。
火山の噴火や土砂崩れ、洪水などで森林が失われたとき、日光に満ちた地表を覆うのは、シダとコケだった。

火山の噴火や土砂崩れ、洪水などで森林が失われたとき、そこに「草」つまり背が低く花の咲く被子植物が一面に生えるようになったのは1億年ほど前からである。
それ以来、「空き地」を奪い合うシダ・コケ・草の領土紛争は延々と続いている。

その紛争に「最近」といっても4千万年ほど前に参戦したのがイネ科植物である。
ちょうど同じころに地上を闊歩するようになった哺乳類と一種の共生関係にあるイネ科植物は、現在世界中の草原で見られる。
シバやススキのように、成長点が地表付近にあるイネ科植物は、草食哺乳類に地上部を食われても、すぐに新たに葉や茎を伸ばすことができる。
踏まれても踏まれても、ひょろひょろ高く伸びた茎や広い葉がないのだから、へっちゃらである。
むしろ、他の草や木の芽を食べてくれるので、イネ科植物にとっては草食哺乳類は「益獣」である。

刈り込みや踏み付けに強く、地表を覆うので他の草を抑えることができ、裸足で歩いても気持ちがよいものだから、シバはヒト(人類)と共生状態にある。
シバとヒトのここ数万年の共生関係が、いま、ウチの玄関先でコケの領土に侵攻している。

ワシはヒトの一員ではあり、シバの生育を助長しているものであるが、その一方、コケに覆われた地面も風情があって捨てがたいと思っている。
そこで、ワシはこの、4億8千万年にわたる領土紛争の現在の状況に、どのように介入すべきか悩んでいる。
このままシバが侵攻するに任せ、玄関先一面を芝生にしてしまうのか。
シバの侵攻を抑止し、一定の領土をコケに占有させておくべきなのか。
はてさて、どうしたものか……。

(参考)
東京農業大学「コケ植物の乾燥耐性機構を究明

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