« 『戦艦武蔵』を読んだ | トップページ | 『戦艦武蔵』に描かれた死に方 »

2013/12/28

『戦艦武蔵』あとがきより

Dsc_0179_s


なんか雲行きが怪しい。
そこで、吉村昭著『戦艦武蔵』のような戦争文学を読むと、寒気がする。


例えば、あとがきの冒頭から。


 昭和三十八年秋、友人のロシヤ文学者泉三太郎から戦艦武蔵の建造日誌を借用した。この日誌は、終戦後米軍が進駐してくる直前、かれらに押収されることを恐れて焼却されるはずのものであったが、建艦にたずさわった長崎造船所のある技師が、その貴重な資料が永遠に消滅するのを惜しんで秘蔵しておいたものなのである。

うーむ。これって、特定機密だよね。


武蔵の出港を隠れ見たという老いた漁師の話。


 話し終わってから、ふとその老人は、
「今の話は、だれにも言わないでくれ」
 と、顔をこわばらせて言った。
 私は、一瞬、その意味がわからなかったが、
「おれが話したなんて言うことがわかると、まずいから……」
 と、重ねて言う老人のおびえた眼の光に、私は、漸く老人の言葉の意味が理解できた。
「でも、戦争は二十年前に終わりましたし、別にどうということもありませんよ」
 私は、苦笑しながら言った。
「いや、まずい、まずいよ」
 漁師は、私に話しをしたことを後悔するようにしきりと手をふった。

苦笑できなくなるような日が、こないことを望むよ、本当に。

|

« 『戦艦武蔵』を読んだ | トップページ | 『戦艦武蔵』に描かれた死に方 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『戦艦武蔵』あとがきより:

« 『戦艦武蔵』を読んだ | トップページ | 『戦艦武蔵』に描かれた死に方 »