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2013/07/24

ロボットの身体とヒトの脳

ワールドカップ予選やらマンUワールドツアーやらを見ていて、毎度驚くことがある。

コーナーからゴール前に蹴り入れたボールに対し、ヘディングやキックのタイミングを合わせて、ゴールする。
いや、ゴールできなくても、放物線を描いて(しかも空気抵抗やマグナス効果で非線形に変化して)飛んでくるボールにタイミングを合わせされるだけでも、すごいことだと思う。

飛んでくるボールをとらえ、軌跡を予測し、そこへ身体を移動する。

この驚異的なヒトの身体能力を、ロボットは凌駕することができるだろうか?

ロボカップでは、2050年に「サッカーの世界チャンピオンチームに勝てる、自律型ロボットのチームを作る」ことを目標に研究と実践を進めているが……。

ひょっとして、ロボットの身体に人間の頭脳を結合した方が実現可能性が高いかも、と思った。
ヒトの脳は40億年の進化の結果、刻々と変化する環境に適切に反応するしくみを作り上げているのだから。

最近、スマートフォン購入時に半ば強制的に加入した dマーケットで、アニメ『攻殻機動隊 S.A.C』と映画『サロゲート』を観たので、そのあたりから考えてみよう。

『攻殻機動隊 S.A.C』では、機械の身体(義体)に脳を納めたサイボーグの公安警察官が活躍する。
高所から飛び降りたり、ロボットの腕をへし折ったりしていたが、そういう行動は生身の人間には不可能だ。

生身の身体ではできないことが、機械の身体ならできる、ということを「理解」していないと、機械の身体ならではの能力は発揮できないだろう。
「理解」といっても、マニュアルを読んで操作して体感する、というレベルではなく、無意識に「できる」と思えなくてはならない。

『サロゲート』は、サロゲート(surrogate,代理)と呼ばれるロボット(アンドロイド)を、脳波だか脳電位だかで遠隔操作する。
刑事や殺人犯人が、サロゲートの体で高所から飛び降りたり、車の屋根にしがみついたり。

この場合も、サロゲートなら可能だという「理解」が必要だ。
サイボーグであれば、常日頃使う身体が機械だから、適切なリハビリテーションによって、機械の体を自分の体と認識できるようになるだろう。

だが、サロゲートの場合、仕事や遊びに使うにしても、ときどき生身の身体に戻ってトイレに行かなくてはならない。
食事もしなければならないし、夜は家に帰って寝なければならない。

その都度、ロボットの身体能力と、ヒトの生身の身体の能力との差に戸惑うことはないだろうか。

それだけでなく、遠隔操作の場合はタイムラグが問題となる。

TVの現場中継を見ていると、視覚と聴覚だけの伝達なのに、明らかに現場とスタジオでタイミングが合わない。
電波での信号伝達や、コンピュータでの処理に要する時間がそれだけ必要だということだ。

技術がいくら進歩しても、光速や導線内の電子の移動速度は変わらないから、限界はある。

だから、サロゲートが完全なリモートコントロールだとすると、サッカーをすることはもちろん、通りを歩くことすら出来ない。
自動車の運転などもってのほかだ。
なにしろ、サロゲート経由でヒトが見る(感じる)環境は何ミリ秒か前のものであり、ヒトが考えて反応し、指示を出すのはさらに数ミリ秒後になるだろう。

では、サロゲートのような遠隔操作ロボットは実現不可能だろうか?

完全なリモートコントロールではなく、ある程度自律的に動くようにすれば良いのではないか?

ヒトは「仕事に出かけよう」と思うだけ。
すると、サロゲートに仕込まれたコンピュータが周囲の環境を観察し、家から会社へと歩き出す。
電車に乗るとかそういった動作もサロゲートが自律的に行い、必要に応じてヒトの判断を求める。

どっちかというと、ヒトは観察し、判断するだけで、身体を動かすわけではない。

よく考えると、これはヒトの生身の身体に対する大脳の前頭葉の統合野の役割ではないか。
身体を動かすのは大脳の前頭葉の運動野と小脳の役割だからね。

そう考えると、遠隔操作でロボットの身体を動かすのは、案外難しいことではないのかもしれない。
もちろん、サロゲートを日常的に使う生活が人々を幸せにするかどうかは、わからないが。

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