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2013/05/04

編集者の使命

Gigazineの記事「学研ムック「自然農法で野菜づくり」の中身がかなりヤバかったので販売中止へ」によると、とんでもないミスだらけの本が店頭に出回ってしまったようだ。

ワシも編集・DTP・出版にかかわる仕事をしているので、ヒトゴトではない。
なぜこういうミスが起きたのかも、だいたい見当が付く。
もって他山の石とすべく、原因を推定してみよう。

ダミーテキスト「ここに文章が入りますここに文章が入りますここに文章が入りますここに文章が入りますここに文章が入りますここに文章が入りますここに文」が入っている件:
DTP組版(コンピュータ上でのレイアウト作業)を始めるときに、原稿が間に合わなかったか、DTPオペレータが原稿が入れ忘れた。
原稿が間に合わず、編集者が初校(最初の校正)段階で修正指示を入れるつもりでいて、それを忘れるとか、初校でも原稿が間に合わなかった、なんていう場合もある。
初校でミスがあっても、再校・三校と校正を重ねているうちに直すのが普通だが、こういうミスがそのままになる原因は、次の二つのうちどちらかだ。
A)校正がいいかげんだった。
B)誤って修正前のデータを印刷所に入稿してしまった。
このうち、Bのケースでも、ふつうは最終的な色校で気付くはずなので、結局のところ編集者の責任である。
ひょっとすると、スケジュールが滅茶苦茶で、余裕がなかったのだろうか。

「コロンなのか二点なのか」
もちろん、原稿段階ではコロン(:)だったのだろうが、半角と全角が混在していたのだろう。
InDesignなどの組版ソフトでは、縦組の際に半角(厳密に言えば1バイト文字)のコロンは回転しない。ただし、少し位置がずれて見える。
全角(2バイト文字)の場合、回転せずに二点リーダー(‥)に見えることがある。
それに、二点リーダーなら、日本語組版ルールでは「‥‥」のように二倍(二文字分)で用いるはずだ。
ちなみに、三点リーダーも「……」のように二倍で用いるのが正しく、「…」のように全角(一文字分)で用いると「日本語組版のルールを知らない素人だな」と思われてしまっても仕方がない。

なお、「半角パーレンの混在多数」も同様に、全角と半角の記号を混在させてしまったのは原稿を書いた人(執筆者か? 編集者か?)の責任である。
全角と半角を混在させないように気を付けるべきなのだが、Wordなどのワープロソフトでプロポーショナルフォント(MS P明朝など)を用いると、区別しにくいことがある。
そこで、原稿書きのプロは、等幅フォント(MS 明朝など)を用いたり、ワープロソフトを嫌って「秀丸エディタ」のようなテキストエディタを用いるものだ。

「小数点がバラバラ」では、「0.6」と「0・4」、「224.7」「29,53」というように、小数点表記が統一されていない点が指摘されている。
これは校正ミスというより、編集者による原稿整理ができていないのだ。
この原因も、二通り考えられる(両方かも知れない)。
A)編集者の能力不足
B)原稿が一度に揃わず五月雨式だった

業界の実情から言うと、編集者の能力不足は否めないが、短期間に作成せざるを得ない事態だったのかなぁ、と編集者がちょっと可哀想に思えるところもある。
DTP組版が一般的になり、「デジタルなんだから簡単に修正できるでしょ」とか「あとからバッチ(一括)処理で一度に直せるでしょ」とかいった誤解が、著者や営業担当など、実際に作業しない人たちに広まっているのも問題である。
デジタルになろうがなんだろうが、人が作業する限り、手間がかかって時間もかかるから、スケジュールは余裕を持って組む必要があるのだ。

それに、デジタルだからこそ、文字化けやテキストボックスからのオーバーフローなど、思わぬミスが発生することもある。
原稿段階から誤変換があったり、そもそも文章がヘンだったりすることもある。
それらを発見するため、先入観なく、読者の視点で全体を読み通す「素読み校正」が重要なのだが、それこそ、編集者の力量と余裕のあるスケジュールが必要なのだ。

(おまけ)
こういうミスは、編集プロダクションに丸投げした場合に発生しがちである。
もちろん、発注元の出版社の担当者がちゃんとチェックすれば防げる。
しかし、そもそも丸投げしようという考える人(または組織)に、きちんとチェックするだけの力量や責任感があるのだろうか(個人の感想です)。
こういうミスを出すのにお金をもらっちゃう編集プロダクションもどうなのだろうと思うが(個人の感想です)。

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