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2013/05/20

取水口からの津波の侵入、だと?

昨日に続き、中部電力のチラシ「新規制基準への対応に向けた浜岡原子力発電所の取り組みと、『南海トラフの巨大地震モデル検討会』の強震断層モデルに基づく地震動の影響評価・地震対策の検討状況についてお知らせします。」について。
文書名も文書番号も日付も記載がないので、表題っぽいものを記すと上のようになる。

なお、以下に掲載する図は「新規制基準への対応に向けた浜岡原子力発電所の取り組みと、『南海トラフの巨大地震モデル検討会』の強震断層モデルに基づく地震動の影響評価・地震対策の検討状況についてお知らせします。」からの引用で、自宅のスキャナでスキャンしたものを用いた。
落語の「寿限無」みたいだが、引用元を明示するためには仕方がない。

南海・東南海・東海地震の際に、御前崎には21m超の津波が襲来すると予測されている。
これに備えて、浜岡原子力発電所の海側には高さ22mの防波壁が作られている。

東日本大震災で、土台をえぐられて倒れた防波堤(防潮堤)の映像をたくさんみたせいか、あんなペラペラの「壁」で高さ21m超の津波を防げるものなのか、とっても心配である。
なんといっても、津波というのは「波」ではなく、「海」なのだよ?
海が、その巨大な質量と運動量をもって押し寄せてくるのだよ?
とても安心できないなぁ。

さて、原子力規制委員会から提示された新基準の中に、取水路・放水路からの津波の流入を防ぐこと、というものがある。
その対応を図るよ、というお知らせが記載してあった。
……原子力規制委員会から要求されるまで、対策しないつもりだった……わけではないよね。

そうだよなぁ。
いくら防波壁で津波を防いでも、防波壁の内側、原子力発電所の敷地内の取水槽から海水が吹き上がり、原子炉の冷却に関わる装置や非常用発電設備を水浸しにしてしまっては、意味がない。

浜岡原子力発電所の場合、冷却水は少し沖合いの取水口から地下の取水トンネルを通じて取水槽に導いている。

20130515_danmen

放水するための放水口も、津波の際には侵入口となるだろう。
それがまた、いっぱいあるのである。

20130515_heimen

対策として、取水槽のまわりに「溢水防止壁」を作るのだそうだ。
しかし、万が一(防波壁が壊れたとき?)敷地内に浸水があった場合、取水口から排水できるように、「溢水防止壁」に一方通行の「排水用フラップゲート」を設置する、とある。
なるほど。
フラップゲートは動力を要しない仕組みなのだろう。そうでないと緊急時に作動しないおそれがあるからね。
しかし、パッシブ(受動的)な機構であっても、錆び付いたり何かが挟まったりしないように、点検する必要があるだろう。

20130515_flap_gate

フラップゲート、一つの取水槽あたり何個あるのだろう。……点検、大変だろうなぁ。
原発止めちゃえば、こんなもの作ったり点検したりしなくても済むのにねぇ。

取水槽のまわりには「溢水防止壁」を設けるとして、他の放水ピットなどの海に連絡している施設はどうするのだろう……と思ったら、「その他の開口部等は閉止する等の対策を実施します」と書いてあった。

ここで疑問が二つ。

(1)閉止しちゃって、支障はないの?
支障がないってことは、かつて必要だったけど、今は使ってなくて、放置してあったとか?
というか、そんなバックドアみたいな施設がいっぱいあるわけ?

(2)あっ、こんな施設があったのか、閉止し忘れてた、なんてことはないよね?
バックドアをキチンと閉じておくことは、セキュリティ保持のためにはとても重要だからね。

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