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2012/08/01

非科学的な、あまりに非科学的な

いまだにこんなことを言う人がいるのか、と呆れた。
「福島の原発事故では、放射線の直接の影響で死んだ人はいない」

おいおい、そんなら、タバコを吸ってニコチンの直接の影響で死んだ人もいないんじゃないか?
2〜3本食えばニコチン中毒で死ぬが、煙にして吸えばなかなか死なない。
もちろん、長期的には(ニコチンではなく)タールなどの影響でガンになるリスクが増加する。
ひょっとすると、フィルター越しに煙を吸っている喫煙者よりも、喫煙者と同居している子供のほうが、ガンになるリスクが高いかもしれない。

事故で放出された放射性物質も、同様に長期的なリスク、とくに子供への影響が懸念される。
それなのに、「死んだ人はいない」だと?

低レベル放射線の長期的な影響や、食物を通して摂取された放射性物質による内部被爆の影響については、充分な知見は得られていない(ヒロシマ・ナガサキの被爆者のデータはあるはずだが、それを原子力災害に役立てる発想はなかったのだろうか)。

それに、原子力発電の危険性は、事故で漏れた放射線の直接の影響だけではない。
津波のがれきに埋もれ救助を待ちながら死んだ人、避難地区の病院から移送中に亡くなった入院患者、ふるさとを追われ生活の希望を奪われて自ら命を絶った人たちは、原発事故の犠牲者ではないのか?

リスクは地震や津波だけではない。
ウラン鉱山での環境汚染、使用済み核燃料の超長期にわたる保管、原子炉・燃料運搬船・保管施設へのテロの危機、そして人為的な操作ミス。
そのへんのことを全部無視して、なぜ「安全だ」と言い切れるのか。

大気圏内で連続的で大規模な核分裂反応を起こそうということ自体、非科学的ではないかと思うのだが(個人の感想です)。

「原子炉建屋から海に漏れた放射性物質は薄まる」なんて発言もあったね。
水俣病の原因である水銀を含む工業廃液に関しても、同じような話を聞いたような気がする。
何十年も昔だが。
まったく、「御用学者には学習能力がないのか」と言いたくなるね。

そういえば、御用学者の皆さんは、「千年に一度」の科学的な意味が解っているだろうか。
千年に一度の大震災、大津波が襲来した後、「これから千年は大丈夫」なわけではない。

プレートに歪みのエネルギーが蓄積するには時間がかかるから、そのエネルギーが解放された後、再び蓄積するには時間がかかる。
だが、ゼロリセットされたと、誰が解る?
残念ながら(地震学者の皆さんが認めているとおり)現在の科学では、巨大地震のメカニズムは解明されていないのだ。
だから、「千年に一度」の大地震が数年後にふたたびやってくる可能性もあるわけだ。

短期的には、あるいはサンプル数が少ないときには「平均」にあまり意味はない(統計学では常識だがね)。
サイコロの1の目が出る確率は六分の一だが、二回連続で1の目が出ることだってある。
「千年に一度」の大地震が短期間に連続して起こることはないと、誰が科学的に証明できる?

大飯原子力発電所の原子炉の下の断層についても、非科学的な発言をいっぱい聞いた。
断層かどうか断定できないので、調査すべきかどうか検討する、っていうのはナニ?
断層かどうか断定できないなら、当然、調査するのが唯一科学的な方法だろう。

もちろん、調査方法には充分に注意する必要がある。
科学において嘘をつくのに最も適した方法は、サンプリングを誤魔化すことだからだ。

誤ったデータからは、誤った結果しか得られない。
それを逆手にとって、都合の良い結果を導くべく、サンプリングを誤魔化して都合の良いデータを得ること、または都合の悪いデータを捨て去ることは、「非科学的な科学者」の常套手段だ。

このような誤魔化しを防ぐには、何度も繰り返し、立場の異なる専門家が調査する必要がある。

「前にやったから大丈夫。もう一度やる必要なんてない」なんていう言いぐさは、いじめが露見するのを恐れるいじめっ子と同じレベルの非科学性ではないかね?

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