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2011/12/01

足尾往還で不可能事を知る(2)

Dsc_0046ss

なんとも情けない荒れてぼろぼろの手だが、この手の甲の引っ掻き傷は、イバラにやられたものだ。
足尾でニホンカモシカの生息頭数のために名もない山に登ったときのことである。

定点観察ポイントまでの道(作業道)は荒れていた。
防鹿柵にすがらないと前へ進めないところもあった。

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この防鹿柵がまた、支えにもなったが邪魔もしてくれた。
背負っていたザックの脇に三脚をくくりつけていたのだが、その三脚の頭(雲台)がワイヤーに引っかかったのだ。
前にも進めず、後ろにも下がれない。
進退きわまった状態になって少し考えた。
幸い、足元は幅・長さとも1メートルくらいは安定している。
ザックの負い紐から腕を抜き、ザックを抱えて三脚を柵から外し、一度ザックを足元に置いた。
三脚にフィールドスコープ、カメラ、防寒具、昼食、湯の入ったポットやらで、ザックの重さは10キロくらいはあるはずだ。
そのザックをやっこらしょと背負い直し、また登り始める。

足場がしっかりしていれば良いが、浸食されて柵の土台が浮いていたリ、道がなくなっていたりするところもあった。

崩れないように岩場全体を金網で覆ってあるところでは金網をつかんで四つん這いになって登り、頑丈な柵で仕切られていれば柵によじ登り、五十路も半ばのオヤジに何をさせるのだ、と思いながら尾根上を進んだ。
尾根上にはススキやエニシダが茂っていて進路をふさぐ。
邪魔なので手の甲で押し退けると、間にイバラが隠れているのだ。

足もとが心もとなくて、手に傷を負うことなど気にしていられなかった。

しまいには、エニシダもススキもイバラもなくなり、ガレ場(細かい岩くずの斜面)を行かなくてはならなくなった。
若いころは、ガレ場を崩れるよりも速く登る、なんてことをやったものだが、もはや不可能だ。
ガレ場を横切るシカの踏み跡の上を慎重にたどり、最後の1〜2メートルだけ跳んだ。

Pb260260ss

そうやってようやくやってきた経路は、写真に加えた黄色い矢印のような具合だ。
東側の久蔵沢に面した斜面は緑化の効果で草や低木に覆われている。
西側の松木沢に面した斜面は、いまだに草木も少なく、崩壊が著しい。
今年の地震や台風の影響もあったのだろうか。

何とか登ってはきたものの、このルートを「前向きに」降りるのは不可能だ。
十年くらいまえまでなら、なんとかなっただろう。
膝ががくがくしてすばやく反応できない今となっては、不可能だ。

かといって、後ずさって「後ろ向きに」降りるのは現実的ではない。
久蔵沢側の、ヤシャブシの生えた尾根を伝って下りることにした。

頂上に立ち、下山ルートを決めたところで、カモシカを探し始めることにした。
そこでまたいくつかの不可能事に思い至るのだが、それはまた明日書こう。

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▲西側の眺め(TG-810のパノラマ機能で撮影)

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▲北側の眺め(TG-810のパノラマ機能で撮影)

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