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2011/10/05

除染→移染の行く先は

昨日の朝日新聞の夕刊のコラムで、池澤夏樹氏が原発事故にからむ言葉にこだわっていた(池澤夏樹氏は反原発の立場を明確にしている)。
除染、除染というが、放射性物質が消え去るわけではないから、他所へ移すだけの「移染」ではないのか、と。

そのとおりだと思う。
先日「『放射能』をなくすには」に書いたとおり、放射性物質が放射能を失って放射線を出さなくなる(放射性物質でなくなる)には、長い時間待つしかない。

校庭の土や道路は「除染」によって大量の「汚染した土砂」を生み、建物を洗えば大量の「汚染した泥」が生み出され、森林の落ち葉をかいて焼けば大量の「汚染した灰」と「汚染した空気浄化フィルター」が残る。
人々の生活の場から放射性物質を取り除く「除染」は必要だが、では、「移染」先はどこか?
福島第一原子力発電所を「石棺」にして、そこに一緒に閉じ込めるしかないのか?
いったい何年間? 何百年間? 何万年間?

もう、つくづく、原子力発電を推進しようとする人たちは「未来に対して無責任」だなぁ、と思う。
想像力が足りないのか、共感能力が欠けているのか。

『放射能』をなくすには」に書いたとおり、SF的な方法でしか、原子力をめぐる問題点は解決できない。
ならいっそ、SF的な方法で根本的に解決できないものか。

もしもCERNの実験結果が本当で、ニュートリノ粒子のなかに超光速で運動するものがあるなら、過去に遡っていることになる。
SFの用語で言えばタキオンである。

しかし、タキオン=タイムマシンという発想は安易過ぎる(マスコミは大騒ぎしてすぐに忘れたようだが)。
ターディオン(通常物質)でできた人体をタキオンに変えて送信する、なんてことは(ものすごく進んだ技術があればともかく)簡単には実現できないだろう。

しかし、過去へ遡るタキオンを使って、過去に情報を送ることはできるかもしれない。
トン・ツーのモールス信号にするとか……。
もちろん、受信機が必要なので、過去においてニュートリノを観測する仕掛けがなくてはならない。

小柴さんが待ち構える1980年代のカミオカンデに向かって、「原発はヤバイぞ」「3.11に気を付けろ」と超光速ニュートリノを送る……。

ちなみに、このように過去に情報を送って破局を回避するという話はワシのオリジナルではなく、グレゴリイ・ベンフォードが『タイムスケープ』に、ジェイムズ・P・ホーガンが『未来からのホットライン』に書いている。

もちろん、カミオカンデの小柴さんとその仲間がそのメッセージに気づき、原発を止め、東北地方太平洋沖地震に備えるよう警告したとすると、その後の歴史が変わる。
まぁ、変えたいからメッセージを送るわけだが、送ったことによって「送る理由」が消滅するのである。
過去を変えることは可能か、変えたらどうなるか、というテーマは、時間SFという分野で幾度となく考察されている。
考察というか想像というか願望というか、考えるだけならいくらでも考えられるが、実際に過去を変えられるかどうかは、いまのところ、誰にもわからない。

われわれに変えられることがわかっているのは、いまのところ、未来だけなのだ。

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