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2011/01/23

生物と相互作用する人体

スーパーのレジに並んで、自分のカゴを見ても、周りの人のカゴを見ても、中身はほとんどが水と有機物である。
食品はもちろん、トイレットペーパーにしろ洗剤にしろ、みな有機物である。

食品はもちろんのこと、ほとんどの製品が生物由来だ。
プラスチックや合成洗剤のように石油から作られた製品もあるが、よく考えると石油も元は太古の生物だから、生物由来と言えないこともない。

要するに、生き物を食い、水を飲み、生物由来の道具を使うという根本的なところは、人類の歴史の始まりからまったく変わっていないわけだ。

買った物をカゴから袋に移し、それを車へと運びながら、この重さと容積の大半は水と空気なのだよなぁ、と思った。

有機物の部分だけを運ぶことができたら、軽いし、かさばらなくて良いのに……。

それはさておき、カミさんやムスメとドラッグストアに行くたびに、びっくりすることがある。
何にびっくりするかというと、似たような化粧品だか美容ナントカだかの多さだ。
にきびとかシミとかたるみとか、とにかく女性は「お肌」の心配が絶えないようで、それをサポートする商品の棚が、店全体の3分の1かそれ以上を占めている。
これだけ商品があって、棚を占有し、それで儲かっているのだから、ある意味、大したものである。

そして、とくにびっくりしたのは、火山灰やら多糖類やら酸やらを用いて、表皮の角質層をはぎ取るという商品が多いことだ。
ピーリングというらしいが、ピーリングって要するに、カンナとかヤスリとかで削り取ることと同じようなもんだから、女性の「柔肌」って丈夫なもんだよなぁ、と感心したのだった。

まぁ、ゾウやサイを見れば解かるとおり、皮膚が毛に覆われず露出している哺乳類は、表皮が厚くて頑丈なのだ。
イヌやネコの皮膚は、ヒトに比べるとおそろしく薄くて繊細だ。

ところが昨日買った「にきびクリアピーリングジェル」を使った下のムスメが、顔が痛いと苦しんでいる。
肌質に合わなかったらしい(カミさんと上のムスメは平気だという)。

ケミカル(化学的)ピーリングに用いられるのは、乳酸、リンゴ酸などのアルファヒドロキシ酸(AHA)である。
これで角質層の細胞間の接着物質を分解して剥がれやすくしようということなのだろう。
リンゴ酸の0.1 % 水溶液の pH は 2.82だから、けっこう強い酸性である。
pH5.6以下の雨が酸性雨と呼ばれ、作物や森を枯らすのだから……。

さて、表皮が薄くなって水分が逃げやすいのか、乾いて痛いというムスメの皮膚には何を塗ったらよいのか?
結局、保湿性ジェルなどで、また変に刺激を与えてはいけないので、湿らせたタオルをあてがう程度にすることに。
ちなみに「保湿」をうたう尿素などは、尿素自体が水に溶けやすいものの、皮膚に塗った尿素(または尿素の水溶液)から水分が供給されるわけではない。
ワセリンやグリセリンで皮膚を覆い、蒸発を防いでおいて、皮膚の内部からの水分供給にまかせるほうが良いようだ。

そういえば、「皮膚の表面は弱酸性だから弱酸性の化粧水は肌に良い」というのも眉唾だ。
皮膚の表面が弱酸性なのは、皮膚の表面に住む乳酸菌が、乳酸を生産しているからだ(乳酸もAHAだね)。
その乳酸のために皮膚表面が酸性になり、他の細菌や菌類が生存しにくくなっているのである。
乳酸菌は、ヒトのために乳酸を生産しているわけではない。
乳酸菌は、糖類を乳酸に分解する過程でエネルギーを得ているのだ。
廃棄物として乳酸を生じることは、結果として他の微生物の侵略を防げる。
そこで乳酸菌は、ヒトの表皮や消化管の内部で繁栄し、結果として人体と共存している。
まぁ、共生というのは結果論だからね。

せっかく乳酸によって「ばいきん」から守られている皮膚を、アルカリ性の石鹸などによって中和してしまうと、感染しやすくなるわけだ。
弱酸性の化粧水を使うということは、人為的に酸性にして感染を防ごうというわけだが、乳酸菌のコロニーを壊滅させてしまうので、「肌に良い」ことにはならないのではないだろうか。
むしろ適当に汚れを落とす程度にしておいて、乳酸菌を洗い流さないようにしたほうが良いのかも知れない。

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