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2010/02/28

津波警報の一日

2月27日15時34分頃、チリ中部沿岸で発生したマグニチュード 8.6 の地震は、日本の沿岸にも津波をもたらした。
幸いにして、大きな被害がなかったようで良かった。

朝、津波警報発令のニュースを見ていたとき、下のムスメが聞いてきた。

「どうして波が地球の反対側まで届くんだろう?」

津波は「ソリトン」である。
一定の速度で進行し、運動量を維持している波である。

縄跳びの縄や、掃除機のコードの一端を軽く上下に一度振ってみよう。
一つの波ができ、その波が一定の速度で反対端へと進んで行く。

縄を上下に振ることが海底で発生した地震に相当する。
大きさを(あまり)変えずに進んでいく波が、津波である。

実際の津波は非常に波長の長い波で、100キロメートルを超えるものもあるらしい。
普通の波(風浪)の波長は数百メートル程度だそうだから、津波はものすごくゆるやかな波である。
そのため、津波は怖いのである。

チリで発生した津波は、ハワイで1m程度、なのに日本での予報は3m。
なぜかというと、ハワイは深い海底から突き出した火山島であるのに対して、日本は大陸の縁にあって浅い沿岸部を持ち、しかも海岸の地形が入り組んでいるからだ。

そして、海岸にぶち当たったとき、短波長の波のように砕けず、障害物を乗り越えて流れて行く。
インド洋津波のときの映像を見ると、津波はまるで洪水のように、木や車や人を押し流して行く膨大な量の川のようだった。

津波は浅い海底で反射して盛り上がり、速度を落とすと後続の波に追いつかれて高さが増す。
そのため、第二波、第三波のほうが高くなり被害が増すのだそうだ。

だのに、津波警報の出ていた沼津の千本浜海岸では、高さ30cmの第一波到着後、見物する人がたくさん居た。
いや、ワシは見物しに行ったわけではない。
国土交通省沼津河川国道事務所のライブカメラで見たのだ。

今日は午前中は家の掃除や片付け、午後は自治会の仕事などで忙しく過ごした。
その合間にライブカメラを見ていたら、まぁ、たくさんの人が千本浜海岸の堤防の上を散歩したり、海を見ていたりするではないか。

ダメだよぉ。
結果的に数十cmの津波だったとしても、津波を舐めちゃ。
波っていうのは、重ね合わせによって思わぬ高さになったりするのだから。

……ということを考えていて思い当たったのだが、最近の中学や高校の理科では、波(波動)についてはほとんど何も習わないのではないか?
ホイヘンスの原理とか重ね合わせとか干渉とか、まったく知らずに大人になっちゃって良いのだろうか?

そういえば今回、津波の到達予想時刻を見ていて気付いたことがある。
チリからの津波は、ほとんど東の方角から来るのだ。
メルカトル図法やモロワイデ図法の世界地図を見ると、チリは南東に思える。

そこで地球儀を取り出して、日本から東へ東へと地球の曲面に沿って進むと、チリに至るのだ。
正距方位図法の地図(東京中心の航空路など)を見てみると良い。

……というわけで、自然災害に向き合うには、社会の要素も知っていないと困る。
リアス式海岸とか大陸東岸の地形とか……。

理科・社会を知らないと、死ぬようなことになるよ。

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