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2009/11/06

プルトーンの火

プルサーマル始動。

うーん、あまり良い考えとは思えないなぁ。

核燃料の「燃えカス」からまた燃料を作ってもう一度燃やそう、という発想は、(廃棄物が一切出ないなら)悪くない。
ところが、「燃えカス」の中の燃料であるプルトニウムが曲者だ。

もちろん放射性物質だが、強力な毒物でもある。
その毒性については、高木仁三郎著『プルトーンの火』(現代教養文庫)で読んだ覚えがあるが、さて、どれくらいのものだったか……。
粉末になったものを吸ったりすると、近距離被爆でとても危ないとか……。

プルトニウムは、ウランよりも少量(数キロ?)を一箇所に固めるだけで、臨界に達する。
臨界とは、核分裂反応が連続的に起こり続ける状態である。
核爆発のような急激な反応ではないが、放射線が放出され続ける。

そのプルトニウムとウランを混ぜて新たに核燃料を作る作業は、日本ではできないので、フランスまで「燃えカス」を運び、核燃料にしてもらって、また持って帰る。
この輸送手段は、もちろん船である。

核テロをたくらむテロリストと結託した海賊に狙われたりしないのだろうか……。

まぁ、プルトニウムを入手しても、核爆弾を作るのはそんなに簡単ではないらしい。
きわめて短い時間に、プルトニウムの球殻を限られた容積にまとめるよう、精密に制御された爆発を起こす必要があるからだ。

だがすでに書いたように、爆発させなくても臨界状態にすることは簡単である。
1999年9月30日、茨城県の東海村で、JCOの核燃料加工施設の作業員が被曝し、うち2名が死亡する、という悲惨な事故が起きている。
「バケツで臨界」と冗談のように言われるが、人が死んでいるのだ。冗談では済まされない。

この事故ではウラン溶液だったが、ウランに限らず、放射性物質を(減速材抜きで)一箇所に集めるだけで、むき出しの原子炉ができてしまうのである。
そういうテロを考える輩がいないとも限るまい。

……というわけで、プルトニウムの輸送経路は秘密にされているが、過激な環境保護団体は経路を察知し、抗議活動をしている。秘密にしておく意味はあまりないような気がする。

ちょっと待てよ。
船で輸送する、ということだが、船は当然、石油(重油)を燃料としているよね?
……ということは、原子力発電所の燃料を輸送するために化石燃料を燃やし、大気中の二酸化炭素を増やしているのである。
放射性廃棄物のことはさておき(置き場所に困っているのだが)、原子炉を廃炉にするにも大規模な工事が必要になるから土木機械を長期間働かせるわけだが、土木機械も化石燃料を消費して二酸化炭素を出しまくるよね?

それなのに、「原子力は地球温暖化抑止に貢献する、地球に優しい発電方法」なんて言うか?
CMを見ると、「発電の過程では二酸化炭素を放出しない」と科学的に正しく述べているが、要するに「発電以外の過程では、二酸化炭素出しまくり」と言わずにいるだけ、ではないのか?

……やっぱり、あまり良い考えとは思えないなぁ。

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