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2009/03/10

熱線とか磁力線とか

浦沢直樹のマンガ『プルートゥ』は、手塚治虫の『鉄腕アトム』の中の一話、「地上最大のロボットの巻」をリメイクしたものである。
したがって、登場するロボットや、登場人物の台詞などに、原作へのオマージュがたくさんある。

第6巻でロボット刑事ゲジヒトがプルートゥと闘っているとき、「私の体はゼロニウム合金でできている。熱線や磁力線は役に立たない!」と言う。
この台詞も、原作とほぼ同じだ。

……というか、熱線や磁力線が武器として使われていたのは40年前の SF であって、最近の SF ではそんなものは使わない。

熱線とは、赤外線である。
赤外線を武器にしようと思ったら、方法は二通りある。
一つは、大量の赤外線を放出して、あたり一面焼き尽くすという方法で、すでに核兵器として実用化されている。
熱線だけでなく放射線や放射性物質を放出するため、悲惨な結果を生む非人道的な兵器である。
ロボット同士の戦いに用られては、ちょっと困る。
それに、核爆発に耐えられるようなロボットというのも、作るのは難しいだろう。

ということで、赤外線レーザーにするしかないだろうか。
しかし、レーザーは波長が短いほどエネルギー密度が小さくなるから、SF に登場するレーザーは、可視光線か紫外線、すごいものになるとX線レーザーである。
ところが、赤外線には大変な利点がある。
波長の短い光は大気中で散乱したり、気体分子に吸収されたり、気体分子の破壊にエネルギーを奪われたりするため、到達距離が短い。
それに対し、波長の長い光(赤っぽい光)は到達距離が長い(夕陽が赤いのはこのため)。
そこで、大陸間弾道弾を地上から撃破するためのレーザー兵器として、赤外線レーザーが考えられている。

いっぽう、磁力線は等高線のようなものだから、武器にはできない。
N極からS極にむかう「流れ」のように描かれるが、「何か」が流れているわけではない。
実際、地球の南極付近から北極付近に向かう磁力線が、そこらじゅうを(ワシらの体を含めて)貫通しているわけだが、何も感じないよね?
等高線同様、仮想的な線なのだから、感じなくて当然だ。
磁力線は、銃から発射したり、アンテナから放出することはできないのである。

現実の世界では、暴徒鎮圧にマイクロ波を使うとか(電子レンジと同じ理屈で、皮膚の表面の水分を加熱・蒸発させる)、電磁パルス(EMP)で電子機器を狂わせるとか、数十年前の SF では考え付かないような武器・兵器ができているらしい。

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