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2007/08/23

洪積世パーク構想

『日経サイエンス2007年09号』の「洪積世パーク構想」(C.J.ドンラン)を読んだ。

学生時代、自然保護/環境保全についていろいろ考え、仲間と議論した。
その話題の中に、自然保護とは「人間が手を触れない」ようにすることなのか、それとも「現状を維持する(または、かつての状態に復元する)」ことなのか、というものがあった。

現在の日本の国立公園における「特別保護地区」は「人間が手を触れない」ことによって原生的な自然を維持しようというものだ。
ブナ林などのように極相(クライマックス)に至り、安定した生態系ならそれでもいい。
しかし、例えば湿原は、時間がたてば草原化し、森林になる。
このように「自然のままにおけば」変化してしまう場合、そのまま変化しておくに任せることが良いのだろうか、それとも、「湿原の状態を保つ」必要があるのだろうか。
もしも、「湿原の状態に保つ」ことが求められるのであれば、積極的な人間の関与が必要だ。

また、現在の日本の自然は本来の「自然な姿」ではない。
例えば、オオカミが欠けている。
シカやサル、クマやイノシシによる農作物への被害、人的な被害が発生する一つの原因は、日本の生態系の頂点に位置した大型肉食動物、オオカミの絶滅である(もちろん、山林の開発などにより生息地が奪われ、人里に出てこざるを得ない、というより大きな原因はあるが)。

「日本の本来の自然の姿」を取り戻すには、オオカミを復活させるしかないのではないか、なんていう議論を思い出した(オオカミの復活は、研究者を交えて真剣に検討されている)。

数千年前に北米では絶滅した大型動物……ラクダ、ゾウ、ライオン、チーターなどを絶滅が危惧されているアジアやアフリカから導入しようという「洪積世パーク構想」は、オオカミ復活プロジェクトと似ている。
かつての生態系を取り戻すために、積極的な環境保全策をとろうとするものだ。

おそらく、カギの一つは、ハイテク・フェンス(柵)だろうなぁ、と考えていて、「マクスウェルの悪魔フェンス」というものを考えた(マクスウェルの悪魔:気温の等しい二つの部屋のつなぎ口に居て、平均速度より遅い気体分子は通し、速い分子は通さない、という小さな悪魔。マクスウェルの熱力学に関する思考実験に登場する。この悪魔の働きの結果、一方の部屋の気温は下がり、一方の部屋の気温は上がる)。
管理区域をフェンスで囲み、要所要所に一方通行のゲートを設ける。
一方通行といっても、登山者や研究者は出入り自由だ。
ゲートに認識能力を持たせて、ヒトと他の動物を見分けさせるのである。

また、フェンスは電牧でんぼく(電気牧柵)のほうが良いだろう。
ただし、経験から言うと電牧は周囲の草木によって漏電するので、思うように効果が上がらないことも多い(牧場でアルバイトをしたことがあるのだ。一緒に働いたヤツは、電牧の見回りのとき、草を刈っていてフェンスに頭が触れ、ぶっ倒れかけた。ウシの逃亡を防ぐには、それくらいの高電圧が必要なのである。もちろん低電流だから、実害はないが)。
そこで、漏電したらその位置を通報するようなインテリジェントなフェンスが必要になる。
もちろん、電源は太陽電池だ。
かくして、テクノロジーが自然を守るのである。

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