オオトカゲが聖母なら、キリストは女性か?
朝日新聞に「聖母?オオトカゲ、交尾せず産卵 英の動物園」という記事が載っていた。
英国の動物園に飼われているメスのオオトカゲが、オスと交尾することなく産卵したとのことだ。
有性生殖をする動物の卵が、オスの精子との結合無しに発生を始めることを単為発生という。
このような生殖方法を単為生殖という。
アリマキ(アブラムシ)やアリ・ハチなどの昆虫ではよく見られる。
オスアリやオバチは、すべて単為生殖によって生まれる。
しかし、単為生殖はセキツイ動物では珍しいのだ。
もちろん、交尾せずに産卵する、なんてことなら毎日何億羽(推定)というニワトリがやっている。
しかし、ニワトリが産む無精卵は、ヒヨコになることはない。
したがって、ニワトリの産卵は単為生殖ではない。
このオオトカゲたち(2匹なのだ)の卵は、2007年1月に孵化する予定だという。
つまり、オスの関与なく、メスだけで子供を作ることができる、ということなのだ。
聖母マリアがイエスを身ごもったように。
……ということで、クリスマスの話題としてネイチャーに載ったらしいのだが、一つ問題(?)がある。
オオトカゲの性決定についてはよく知らないので、生まれてくる子トカゲがオスだけ、メスだけ、オスメス両方、のいずれになるのかは判らない。
爬虫類の場合、卵の置かれている場所の温度が性決定に関与する、という話も聞いたことがあるしね。
オオトカゲはともかく、ヒトの場合、単為生殖によって生まれてくる子供は、必ず女性となる。
ヒトの性別は性染色体により決定され、XYの組合せなら男性、XXの組合せなら女性である。
普通の有性生殖であれば、メスの卵のX染色体と、オスの精子のXまたはY染色体の組合せで、オスかメスか、どちらかが生まれてくる。
単為生殖の場合、オスの精子の関与はないのだから、メスの卵のX染色体しか持ちようがない。
ヒトの場合、染色体が半数では生まれてくることができないから、発生の過程のどこかで染色体が倍化したとして、やっぱり性染色体はXXだ。
従って、生まれてくるのはメス(女性)である。
もしも本当にマリアが単為生殖によってイエスを産んだのだとしたら、イエスは女性でなくてはならない。
クリスマスの話題として、生物学を学んだものにとっては面白いが、キリスト教徒にとっても面白い話なのだろうか?
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