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2006/06/19

今ここで起きる進化

ツマグロヒョウモン(2004年6月撮影)今年は、ツマグロヒョウモンの成虫も幼虫も、あまり見ていない。成虫は、ぼろぼろの羽のメスを一回見ただけ、幼虫もスミレを求めて玄関先を彷徨っている1個体を見ただけだ。
アゲハチョウも少ないように思うので、今年は夏のチョウが出遅れているのか、どうなのだか……。

……と考えていたら、nikkeibp.jp で気になる記事を見つけた。
すぐそこにある危機:北上するチョウの受難」によれば、本来の生息地でない温帯に進出したツマグロヒョウモンが、目立つので鳥に食べられやすいのではないか、というのだ(伊藤嘉昭・元名古屋大学教授の報告による)。
【科学的逍遙】のクイズの題材にツマグロヒョウモンを使ったとき、その解説に、ツマグロヒョウモンの擬態の話を書いた。
ツマグロヒョウモンは、とっても不味いカバマダラそっくりの模様をしているので、天敵である鳥などが敬遠するため、食べられずに済むという戦略をとっている。
ただし、この戦略が有効なのは、カバマダラが生息している地域だけだ。
なぜなら、鳥は先天的(生得的・遺伝的)に「カバマダラは不味い」と知っているわけではなく、カバマダラを食べて不快な思いをして学習し、カバマダラに似たツマグロヒョウモンを避けるようになるからだ。

カバマダラは、日本では奄美大島以南でないと見られない。
もちろん、ワシの住む沼津市では、見たことがない。
カバマダラの居ない地域では、ツマグロヒョウモンの目立つ模様はベーツ擬態にならず、むしろ鳥を引きつけるネオンサインになってしまう。
そんな理由で、ツマグロヒョウモンは鳥に食べられて減ってしまうのだろうか。

だが、もしツマグロヒョウモンの中に、(鳥から見て)目立つ模様でないメスが現れたら、どうなるだろう?
カバマダラの居ない環境では、(少しでも)目立たない模様のほうが生存に有利なので、生き残って次の世代に遺伝子をつなぐことができるだろう。
ひょっとすると、何世代かのうちにツマグロヒョウモンのメスの模様が変わってしまう、なんてこともありうるのではないか?
もちろん、ツマグロヒョウモンが北上している原因である(と考えられている)「温暖化」の影響や、ツマグロヒョウモンのオスの好みの問題などもあるので、そう簡単に模様が変わるとは思えないが、可能性はある。

このように進化というものは、ワシらの見ている目の前で起こりうることなのだ。

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