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2006/05/29

『ブレイブ・ストーリー』を読んだ

宮部みゆき『ブレイブ・ストーリー』(角川文庫)を読んだ。
3巻構成の上巻の終わり近くまでが第一部、現実世界の話だ。
第一部では、ちょっとばかり幻界(「ヴィジョン」という異世界)と接触するが、ほぼ、宮部みゆきのお得意の「悩める普通の子供たち」の話である。
11歳の主人公の少年が、現実世界での苦しい運命を変えるべく幻界に旅立つところから、第二部となる。
中巻と下巻は、この少年の幻界での冒険譚で、少年の好きなRPGさながらのファンタジーである。

じつのところ、剣と魔法と異種族に満ち溢れた幻界の描写は、ファンタジーとしては「ありがち」である。
……というか、ファンタジーはみな似たり寄ったりに「なってしまう」のかも知れない。
ファンタジーでは「想像を絶する世界」を描くことはできない。
「想像を絶する世界」は、SFの十八番である(重力や大気組成や生化学的基盤の異なる世界、など)。
人間の想像力を超えるには、科学的な知見が必要なのだ。

「ありがち」なファンタジー世界での少年の冒険と成長という、これまた「ありがち」な話……のようだが、なるほど、宮部みゆきが書くとこうなるか、と思ったところがいくつかある。
幻界での南北問題、人種差別、所得格差、宗教間の対立は、もちろん現実世界の反映である。
やがて幻界にも産業革命が起こるかもしれないという予感や、幻界の創造神の意図への疑問なども、ファンタジーとしては「新しい」描写かも知れない。
ファンタジーの世界って、文化水準が停滞しているか、あるいは衰退しつつある(やたら回顧的だったりする)ものが多いように思うからね(まぁ、SFにくらべりゃファンタジーはほとんど読んでないに等しいワシの言うことだから、アテにならないけど)。
そのあたりのところは、アニメーション映画でも描かれるのだろうか?

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» ブレイブ・ストーリー [乱読日記]
宮部 みゆき ブレイブ・ストーリー(上) なんか、ファイナルファンタジーみたいな本だな。 ってか、ファイナルファンタジー タクティクス みたいっていうか。 主人公がいきなり幻の世界に言ってしまうところなんかそっくりだし。 もっとも、にている... [続きを読む]

受信: 2006/05/30 20:51

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