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2006/04/10

『プリオン説はほんとうか?』を読んだ

福岡伸一『プリオン説はほんとうか?』(講談社ブルーバックス)を読んだ。
プリオン説とは、BSE(いわゆる狂牛病)やヒトのヤコブ病の病原体が、異常型プリオンタンパク質であるとする説である。
日本のBSE対策も、このプリオン説にのっとって行なわれている。
つまり、異常型プリオンタンパク質が多く含まれる脳や脊髄などを「危険部位」として避ける、という手段がとられている。
ところが本書では、そのプリオン説に疑義を投げかけている。
これまでのプリオン研究の結果は、必ずしも異常なタンパク質が病原体であることを示していないのではないか、というのである。
そして、もしも病原体がウイルスであったなら、日本のBSE対策は無意味ということになる。

ノーベル賞を受賞した学説が、誤りかも知れない……。
一見とんでもないことのようだが、科学的には、あっても当然のことだ。
科学とは、自然界で見られるさまざまな現象について仮説を提示し、それを証明する……あるいは仮説を放棄することなのだ。
先日読んだ『99.9%は仮説』の132ページにも書かれていた、カール・ポパーによる科学の定義、「科学は常に反証できるものである」そのものである。
プリオン説が科学であるならば、反証可能でなくてはならない。
タンパク質が病原体なのではなく、ウイルスが病原体だという証拠が揃ったとき、プリオン説は「正しくなかった仮説」となるわけだが、社会的影響はものすごく大きいよねぇ。

発表当初から画期的で魅力的で、思わずプリオンを題材に短編SF書いちゃおうかと思っていたが、しかしまぁ、実のところ、状況証拠しかなかったのかぁ。
ノーベル賞を受賞したプルシナーが、勇み足で誤認逮捕した刑事に見えてくるなぁ。
もちろん、誤認逮捕かどうかは、ウイルスが見つかっていない現在、まだ判らない。
科学は、第一級のミステリーでもあるのだねぇ。
……と思ってブルーバックスの表紙を見直したら、副題が「タンパク質病原体説をめぐるミステリー」だった。

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