平川いくを著『またまたへんないきもの』(バジリコ株式会社)を読んだ(文中敬称略)。
『へんないきもの』の続編である。
前作同様、奇妙な姿かたち、行動・生態の生物を、軽妙な文章と精緻な(それでいて笑いを誘う)イラストで紹介している。
しかし、前作とは異なる印象を受ける部分も散見された。
(1)扱っている生物の範囲が拡大した。
単細胞で明瞭な核をもつが動物にも植物にも分類されないべん毛虫や、生物でも無生物でもないウイルスも挙げられている。
これで、もっと不可思議ないきものの宝庫である「菌」の世界に入っちゃうと、マンガ『もやしもん』と競合するかな? 相乗効果が得られるかな?
(2)とくに見かけが奇妙というわけでなくても、突き詰めて考えると「へん」な生物も取り上げられている。
例えば、オオスズメバチとかイヌとか。
オオスズメバチについては、文中に描かれたニホンミツバチの生態のほうが「へん」というか「驚異的」だが。
ニホンミツバチがスズメバチの襲撃へ抵抗する様子は、10年以上前からドキュメンタリー番組などで扱っているが、まったくもって驚異的である。
イヌについては、悲しくなるのでコメントを控えさせていただく。
……ということで、これに関連して(3)だ。
(3)懸命に生きることへのエール、滅び行くことへの哀悼、無知と無恥により環境破壊を続けるヒトへの警告、というか怒りが鮮明になっている。
詳しくは、読んでいただこうか。
さて、ワシが生物学を志すようになったきっかけは、じつは「へんないきもの」だった。
もちろん、三十ン年前の話であるから、本書ではない。
中学校の図書館にあった、『原色日本海産動物図鑑』とか、そういった図鑑である。
ホヤとかゴカイとかウミウシとか……そういった奇妙な、見たこともない生物たちの姿に触れて、そのいきものたちの暮らしを知りたくなったのである。
その後、専攻を海の生物から畑の雑草へと変えるわけだが、その話はいずれまた。