【科学的逍遙】にも書いたのだが、植物によるアレルギー性接触皮膚炎にかかってしまった。
以前に処方された合成副腎皮質ホルモン入り軟膏を塗っていたのだが、上腕の発疹とただれがなかなか直らず、ついに水泡までできてしまったので再び皮膚科へ行った。
その結果、さらに強力な軟膏と、飲み薬が処方された。
抗炎症剤のリンデロン錠(ベタメタゾン)、かゆみを抑えるゼスラン錠(メキタジン)、消化性潰瘍用剤セルベックスカプセル(テプレノン)の3種類である。
セルベックスは、リンデロンの副作用である胃炎や胃潰瘍を抑えるためのものだ。
リンデロンというクスリ、ちょっと調べてみたら、結構副作用の強いクスリのようだ。
ムーンフェースになったり、毛深くなったり、精神が不安定になったりするという。
ゼスランも、眠気が出るほかパーキンソン病様の自律性機能障害のきっかけになるそうだ。
やたらしゃっくりが出るのも、横隔膜の自律性機能障害と言えるだろうか。
もともと、副腎皮質ホルモン剤というものは、皮膚炎やアレルギーに効果的である代わり、投与の仕方が難しいらしい。
副腎皮質ホルモン剤を投与すると、血液中の副腎皮質ホルモンの濃度が上がるため、患者の副腎皮質がホルモンの生産をやめてしまうのだ。
そうなった状態で、副腎皮質ホルモン剤の投与をやめると、副腎皮質が急に働き始めることができず、副腎皮質ホルモン不足で障害が発生してしまう。
ということで、副腎皮質ホルモン剤の投与はいきなり中止するのではなく、徐々に服用量を減らしていく必要があるのだ。
さて、副腎皮質ホルモン剤の服用を始めて三日が過ぎ、朝・昼・夜の1日3回2錠ずつのパターンから少し減らして、朝2錠、昼・夜各1錠のパターンに変わった。
ところが、会社で弁当を食べた後、リンデロンとゼスランとセルベックスをブリスターパッケージから出しているときに悲劇が起こった。
マーフィーの法則によれば、丸いモノは転がってしまい、小さなモノは無くなってしまうものなのだ。
昼に飲まなければならないリンデロン1錠が、机の下に転がっていってしまったのだ。
かなり探したのだが、見つからなかった。
小さな白い丸いものはたくさん見つけたが、どれもパンチ穴の紙くずだった。
午後、ゼスランのもたらす眠気に耐えながら会議に出ていると、胸が苦しくなってきた。
胸が苦しいというか、胃がもたれたのか空えずきが出てくる。
これは、リンデロンの投与を中断したことになるのだろうか?
会議が終わってからインターネットで検索したところ、リンデロンを飲み忘れたと気付いたときにすぐ飲めとあった(次の回まで待って2回分飲んではいけない)。
そこで、早引けして帰宅し、夕食後に服用する分を飲んでおいた。
ようやく少々気分が落ち着いたので、この記事を書いている。
いやぁ、つくづく人体というものは生化学的バランスの上に成り立っているのだなぁ、と思った。
というか、ちょいとクスリを与えたり取り上げたりすれば、気持ちも体も変調させることができる。
神秘体験をさせるために幻覚剤を投与してたカルト集団があったが、ぜんぜん神秘的でもなんでもない。
ほんのちょっとの化学物質によって状態の変わってしまう身体、なかんずく脳という器官の不可思議さに驚くだけだ。
腕のかゆみはほぼ消えたが、まだ赤くただれている。
早いところ、物騒なクスリから逃れたいものだ。